コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の絆 ( No.41 )
- 日時: 2010/02/06 00:30
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: dCakVx3H)
「実? もうそろそろ帰ろう?」
苺が頃合を見計らって話しかけてきた。
ん?
あぁ、話に夢中で気が付かなかったが、15分ぐらい話していたらしい。
「じゃあ、鏡介、僕達い……」
「会長?」
僕達は一斉に屋上の入り口を見た。
そこには一人の少女が立っていた。
ここは生徒会役員しか入れないわけだから、生徒会の人……かな?
「……あぁ、ナカグスクさんか。どうかしたの?」
ナカグスク?
変な名前だな……
苗字……だよな……?
名前だったら、いくらなんでもかわいそう……って、人の名前につっこんじゃ駄目か……
「えっと……いえ、わたしはいつもここにきているので……日課みたいなものです」
ナカグスクさんはおずおずと答えた。
ナカグスクさんは……これといった特徴がない。
強いて言うなら、眼鏡をかけた黒髪のまじめそうな生徒……ということぐらいかな。
あとはいたって普通。
あ、でも、みるからに勉強ができそうなかんじだな、うん。
「あの、会長。彼女達は?」
「うん? あぁ。紹介が遅れてしまって申し訳ないね。彼女達は内ノ宮兄妹という名で有名では
ないかな?」
そんな名で有名になりたくないよ……?
なんか、嬉しくないんだけど……
まぁ、そもそも、目立つこと自体が嫌いだけどね。
「えっと、聞いたことはありますかね……」
ナカグスクさんが答えた。
「そうですか。あー……こっちが内ノ宮苺」
鏡介は苺の手を引いて近くに立たせた。
「で、こっちが、内ノ宮実」
つぎに、僕の手を引いて近くに立たせた……んだけど、その際にこけそうになったことは黙って
おこう。
「僕の親友だよ」
少し恥ずかしいけど、やっぱり嬉しいものだ。
ん? 『僕』って言ってるってことは、‘表’ってことだよな。
ナカグスクさんは驚いたようだったけど、すぐに笑顔になっていった。
「はじめまして、内ノ宮苺さん、実君。わたしはナカグスクチネンっていいます。ナカグスクは中
身の中と城って書きます。チネンは知るに念じるの念です。学年は二年生、同い年です。よろ
しくお願いしますね」
感じのよさそうな人だな。
おそらくいい人……なんだろう。
「あ、実、苺、彼女は僕と同じクラスで、生徒会役員をしている」
あー……やっぱりな。
そういわれれば、選挙時に見た気がしなくもない……かな?
と、紹介を終えた鏡介が苺に話しかけた。
二人は仲良さそうに話している。
微笑ましく思いながら、ふと中城さんのことを見た。
周りの空気が変わったように感じた。
彼女は……中城さんは、苺のことを睨んでいた。
睨んでいるように見えた、じゃない。
睨んでいる。
確実に。
苺と鏡介、僕と中城さんの間の温度差がすごかった……
例えるならば、苺たちはお花畑、僕達は南極とか北極にいるようなかんじ。
本当に、何なんだろうなぁ……?
せっかく一つ問題が解決したっていうのに……
まったく、困るんだけどな。
特に、苺に相当な恨みがある人は。
何をしでかすか分かんないからね。
多分、今回も苺は悪くないんだろうな……
大丈夫だよ、苺。
僕らが守ってあげるから。
苺は何もしなくていい。
ただ、いつも笑っていて欲しい。
お日さまのような暖かい笑顔で、昔のようにね。
鏡介も、きっとそれを望んでるよ。
あの二人も。
あぁ、でも……
こういうの、何ていうんだっけ?
そうそう。
『一難去ってまた一難』って感じだね。