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Re: 金色の絆 ( No.58 )
日時: 2010/04/30 23:30
名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)

〜26〜

  ___六時間目___
  わたしは、あの五人の班には入れなかった。
  葵……
  わたしと葵は最近、本当に話すことが少なくなった。
  ……いや、話さなくなった、というのが正しい気がする。
  それほどまでに話さなくなってしまった。
  それは、わたしの勝手な意地が大部分を占めている。
  葵は、大して気にしているような感じじゃないのに。
  わたしの意地。
  わたしのわがまま。
  わたしのプライド。
  それが捨てられたらどんなに楽だろうと思う。
  居たい人と一緒にいて、居たくない人とは極力一緒にいることを避ける。
  そう、内ノ宮苺みたいな生き方。
  わたしみたいに言いたいことをずばずば言うような人じゃないけど、言わなくちゃいけないこと
  ははっきりという。
  そんな人。
  わたしは彼女のことが大嫌い。
  嫌いで嫌いで狂ってしまうぐらいに。
  そのくらい大嫌い。
  嘘じゃない。
  本当に。
  でも、わたしは狂ってしまった。
  嫌いすぎて……嫌いすぎて……
  狂ってしまった。
  だから、わたしは今までしたことがないような”いじめ”をした。
  やってしまったんだ。
  取り返しの付かないことを……
  「純?」
  同じ班の人がわたしの名を呼ぶ。
  わたしはこの人のことも嫌い。
  わたしを狂わせたから。
  敵。
  敵なのにっ!
  敵なのに、この人たちとしか一緒にいられない。
  他のグループには混ざれない……
  勿論、まったく話さないわけじゃないし、他のグループのまとまりに遊びにいくことはあるけれど、  やっぱり、ちょっとした溝を感じてしまう。
  ここに居る人は、純粋で、無垢で、いじめなんてしたことがないような人たちなんだって、そう思っ
  てしまうから……
  「先生に報告してきたよ〜」
  同じ班の人がわたしに向かって言った。
  それから、少し遅れて、葵のグループの楽しそうな話し声が聞こえた。
  同じ班の敵の楽しそうに話す声と、葵たちのグループの笑い声に、
  わたしは一時間、耐え続けた。


  「会長」
  「何かな? 中城さん?」
  まだなんですか?
  会長はわたしと話すために仕事の手を止めてくれない。
  一年仕事をともにしてきたのに、まだ心を開いてくれていないのでしょうか?
  「……質問が、あるんです」
  「……質問?」
  「はい」
  「なに? 答えらる様なことならこたえるよ」
  「昼休みの……双子の方々は貴方とどのような関係なのでしょうか?」
  会長が少し黙った……
  答えられるようなことなら答える、会長は確かにそういいました。
  それでは、この質問には答えにくいってことなのですか?
  それとも、わたしには関係ないと、そう突き離したいのでしょうか?
会長は、昼休みに親友といいました。
  それは本当なのですか?
  「彼女達は中学の同級生で、親友だよ。それで、充分?」
  「それにしては仲がとても良いようですが……」
  わたしは気になっていたことを口にする。
  会長が誰かを呼ぶために他クラスに行ったことなんて一度もありませんし、
  そもそも、誰かを呼び捨てするなんて、考えられません。
  聞いたことありませんから。
  だから、わたしが一番最初に名前を呼んでもらおうと思ってました。
  ショックとか、そういうレベルではありません。
  お願いです、会長。
  何もない、ただの同級生だから気にするな、と優しく笑って言ってください……!
  「ねぇ? 中城さん」
  「……はい」
  会長は、やっぱり仕事から目を離さなかった。
  「僕と君の関係って、何?」
  「……生徒会長と副会長兼書記……です」
  自然と声が震えてしまう。
  「うん、そうだよね」
  ……こわい……
  これから、会長にいわれる、その言葉が。
  会長の口から紡がれる、その言葉が。
  わたしの夢が、終わってしまう気がして……
  気がするだけなのに、それはまるで現実になりそうなこの気持ちが……
  たまらなく恐くて……

  「“それだけ”の関係だよね」

  その言葉を聞いた時に、わたしが壊れてしまうと、思ったから……
  「……っ」
  終わったの?
  長く、儚く、美しかった夢が……
  わたしは、会長の前でなきたくなかったから、部屋を飛びだしてしまった。
  会長は、わたしのこたなんてお構いなしに仕事を続けていた。
  “それだけ”の関係……
  会長、違います……
  わたしにとってはそれだけじゃありません。
  会長のことが好きなのに……
  ずっと見てきたのに……
  貴方に追いつくために、わたしは頑張ったのに……

              ___すべてを否定された___

  貴方にとってのわたしは、そんなに弱い存在だったんですね……
  もう、疲れました……
  努力したって、うまくいかないんです。
  だったら、努力なんてしたくない。
  どうせ報われないんだから……


           だったら、“いかさま”をしても良いですよね?