コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 金色の絆 ( No.74 )
日時: 2010/06/26 00:05
名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: Fn07flnU)

  「…なぁ、僕はどうすればいい?」
  「難しいね。これはいってしまえば苺の問題だね」
  だからって、引き下がれるはずがない。
  僕は苺を守るのためにいるんだから。
  「まぁ、君が落ち着いていられないのも、重々承知さ」
「……」
  「でも、これは苺の問題なんだよ、実」
  その通りだ。
  空理は何一つ間違っていない。
  でもね、空理。
  僕達は君達と別れた後もずっと一緒にいたんだよ。
  僕は苺が、苺は僕が必要で、それを互いに埋めあっていたんだ。
  中学のときと違うのは、周り。
  ただそれだけだよ。
  僕と苺の関係は変わらない。
  今までも、そしてこれからも、一緒にいるんだ。
  僕達は二人でひとつなんじゃない。
  一人が二分の一なんだ。
  だから互いに一緒にいるんだよ。
  お前にだって分かるんじゃないのか?
  空理、お前のお兄ちゃんはお前と一緒にいて、一緒に問題を解決してくれただろう?
  「……ま、いいさ。それが実だからね」
  受話器から少しほっとしたような声が聞こえる。
  変わってない、そう思ったんじゃないかな?
  実際は、変わってる。
  いろいろなものが変化している。
  きっと、変わらないものなんてないんだ。
  でも、それって、哀しいことかな?
  僕はそうは思わない。
  変わることが僕じゃなくなることと同じではないんだから。
  変わっても、僕は僕。
  変わらないことが大切なんじゃない。
  変わっても、“僕”でい続けることが大切なんだって思うよ。
  「それに……」
  「それに?」
  空理の躊躇いがちな声が聞こえた。
  「……ううん、これは今度でいいや。苺にこのことは伝えなくていいから」
  「ふうん…ま、いいけどね。…苺に? 別にいわないけど……」
  「ん、分かった。じゃね、実。……近いうちにまた会えるから……」
  「え? 空理、今なんて……」
  ……切りやがった、あいつ……
  たく、最後になんていったんだか聞き取れなかったし……
  でも、そうだね、空理。
  なんだか、すごく胸騒ぎがするよ。
  きっと、もうすぐ何かが起こるんだね。
  そのときに僕は何ができるかな?
  僕は何かしていいのかな?
  ……よく分からない。
  でも、これだけは分かる。今もはっきりとしている。
  苺のためになら、僕はなんでもするよ。
  _______それがあの日の“償い”なんだ________