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Re: 金色の絆 ( No.9 )
日時: 2010/01/11 22:23
名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952

     〜8〜

  (どうしてこうなったんだっけ…?確か…そう、体育の授業が終わって…そのあとに寿さんが私 
  のところに来て、13秒で走るコツを教えろといわれて…あぁ、それで今に至るのか…)
  「理由…なんだけど…」
  由梨が恥ずかしがりながらゆっくりと話し始めた。
  「あの…五木っているじゃない?五木功輔。で、あの…その…五木の好みが、100メートルを1
  3秒で走る人で…だから、教えてもらいたいなぁ…なんて…」
  (ふーん…つまり…)
  「五木君のことが好きなのね…?」
  (あれ…?心の中で言ったつもりなのに…声に出ちゃった。寿さん、そんなに顔を赤くして…怒っ
  てるのかな…)
  「そ…そうだよっ!!」
  由梨がいきなりおおごえをだした。苺はびっくりした。
  「私は、い、五木のことがっ…その…」
  俯きながらぼにょぼにょといっている。苺は、よく大声でいえるな…、と半分感心していた。
  「…だから…お願いっ!!」
  「嫌。」
  苺が即答した。
  「…え?」
  由梨はまさか断られるとは思っていなかったのだろう。
  「な…なんでっ!?」
  「笹川さんに聞いたほうがいいと思うよ。」
  「だ…だって、13秒台いってるのはあなただけなのよっ!!ねぇ、何でもするから、お願いっ!」
  苺は困ったような顔をして言った。
  「そういう意味じゃなくって…ただ…とりあえず笹川さんに聞いてくださいっ!」
  苺は走ってその場を去った。由梨はただ呆然とその姿を見送っていた。
  

  (…嫌な思いしただろうな…)
  苺は放課後一人教室にいた。さっきのことが気がかりなのだ。
  (でも…私じゃだめなんだ…私はそういう感情を知らないから…)
  苺は、少し悲しそうな声で窓の外にうつる茜色の空を見ながらつぶやいた。
  「…知ってはいけないから…」