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Re: 最強次元師!! ( No.7 )
日時: 2010/05/01 10:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 7hsLkTT7)

第006次元 わがまま皇女様Ⅳ
 
 「おぉ〜倒してくださいましたか・・・。なんと礼を詫びたらいいのか・・・」
 「当然の事ですから」
 「それじゃあ俺らはもう行きますんで」
 「報酬の方はそちらに振り込んどきます。では、ご武運を・・・」
 「まぁ、あんた達にしては良くやった方じゃない?」
 「こら、レイス・・・・」
 
 レイスはそれだけ言い残して自室へと戻っていった。
 
 「すみませんね・・・。あいつ、幼い頃に母を亡くしてからひねくれてしまって・・・」
 「お母さんを?」
 「ええ・・・。昔はもっと心を開いてくれる子だったのに」
 「そう、ですか・・・」
 「あの、レイスの部屋を案内して下さい!」
 「な、お前何言ってるんだよ」
 
 ロクは、黄緑色の綺麗な瞳を真っ直ぐ皇帝へと向けた。
 
 「・・・・分かりました」
 「有難うございます」
 「はぁ・・・・まぁいいか」
 
 レトは深い溜め息をついた。
 まさかロクがこんな事を言い出すなんて。
 
 「ここです。では・・・」
 「はい、有難うございました」
 「おい、ロク何か考えて・・・」
 
 ロクは思いっきり息を吸った。
 
 「出てきなさい!このひねくれ娘!」
 なんて無茶苦茶な。
 皇女にそんな事を大声で言える奴はいないだろう。
 少なくとも女では無理なのでは・・・。
 
 「な、何の用!?」
 「貴方、母を亡くしたのね」
 「・・・!?」
 「そんな事じゃ、強くなれないよ」
 「貴方に関係ないでしょ!?」
 「貴方はこう言った。『私は誰一人として傷つけちゃいけないの』と」
 「・・・そうだけど?」
 「あれは、もう二度と死人を出したくない。って言いたかったんでしょ?」
 「な、何で・・・・!」
 「あたし達も、母を亡くしたの。しかも貴方と同じ、幼い頃に」
 
 ロクは、自分の辛かった過去について、語り始めた。
 いや、自然に声が出てしまったのかも知れない。
 
 「あたし達は死ぬ程義母さんに会いたかった。もう、どうなってもいいから、会いたかった」
 
 レトが、後ろの方に顔を向けた。

 「そして、あたし達は人としての道を踏み外したの___」
 「え・・・?」
 「あたし達には、幼馴染がいるの。その子は一瞬にして両親を失った」
 「・・・・・」
 「あたし達は、慰める事さえ、出来なかった」

 

 だけど、あたし達は自分達は大丈夫って思ってたの。
 毎日、義母さんの笑顔を見る度、自分達も笑顔になった。
 義母さんが大好きだった。
 誰よりも、一番大好きだった。
 あたし達は、いつも通り、家の手伝いをしてた。
 お母さんが後でそっちにも手伝いに行くっていってくれてたの。
 でも、何十分待っても来ないからおかしいなと思った。
 そしたら、義母さんは倒れてたの。うつぶせの状態で。
 急いで医者を呼んだけど、義母さんの命は助からなかった。
 葬式の日には、夜遅くまで、いや、次の日になるまでお墓の前で泣いてた。

 どうする事もできなかったあたし達兄妹の前に、1人の少年が現れたの。
 あたし達と同じくらいの年の子が。

 その子は言った。

 「母親に、会いたくない?」
 
 と。
 その言葉であたし達に希望が出てきた。

 「あ、会えるの・・・?」
 「あぁ、もちろん。君達が願うなら」
 「ど、どこなんだ!?母さんは?」
 「今からちょうど半年後、夜に君達は自分の部屋に行くんだ、いいね?」
 「うん、それだけでいいの?」
 「ああ」
 「母さんに・・・、会え・・、る・・」

 あたしもレトも、半年後が待ち遠しくてたまらなかった。
 やっと会える、やっとお義母さんに会える。
 あたし達はそう思っていた。
 
 ううん、そう、信じていたんだ。