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Re: 最強次元師!! ( No.44 )
日時: 2010/02/16 18:42
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: hap96gvm)
参照: 元『紅兎』だよヾ(>ω<。)ノシ

第019次元 誇り高き閃光の騎士Ⅰ

 レトとロクが二人で組手をしていると、家からキールアがタオルを持って出てきた。

 「お疲れ〜」
 「お、ありがとな」
 「っていうかレト、強すぎ・・・」
 「俺をなめんな」
 「ねぇ、レト」

 二人で言い合いしていると、キールアがその会話を遮った。

 「隣町に用とかって、ある?」
 「へ?何で?」
 「もし用があったら一緒に行こうかなーっと・・・」
 「あぁ、ある、けど・・・」
 「ホント!?」
 「あぁ・・・」
 
 レトがきょとんと不思議がっていると、キールアは喜びながらはねていた。
 
 「ありがとう。じゃあちょっと待ってて?」
 「レトだけずる〜い!」
 「ロクはお留守番だな」
 「何その子供扱い・・・」
 「だってお前チビじゃん」
 「なッ!言ったね・・・?」
 「あ」
 
 レトの顔は青ざめていた。
 そう、ロクにとって『チビ』というのは禁句なのだという。
 ロクは身長が152cmしかないために、その言葉が禁句となった。
 
 「お待たせレト。って・・・」
 
 キールアが見たのはボロボロになったレトの姿だった。
 その怪我からして、あの事だろうとキールアは察した。

 「これはレトが悪い」
 「わ、悪かったよ・・・」
 「レトなんか知らないよーっと」
 「・・・・・大丈夫?」
 「何とか、な・・・・」

 レトとロクは仲が非常に良い。
 だが時に非常に悪い時がある。
 これは兄弟喧嘩と言って良いのか・・・。

 「んじゃ、行くか」
 「うん。行こう」

 そして、二人で隣町まで足を運んだ。
 その二人の姿は、誰から見ても恋人同士のデートに見えただろう。

 「っていうか、何でこの町に?」
 「この町に最新の薬品の元があるって聞いてさ〜」
 
 何か女の子らしい発言かと思えば・・・。
 やはりキールアはキールアという事になる。

 「やっぱりか・・・」
 「んでレトは?」
 「俺は本を買いに」
 
 ・・・・似た者同士だ。

 「それじゃあたし、買って来るね〜」
 「あぁ、三時にこの時計台な」
 「うんッ」
 
 二人で別れた瞬間だった。

 「もうシェルなんか知らないッ!」
 「あぁ俺だってアリルの事なんか知らないねッ」

 いきなりレトの耳に入ったのは夫婦喧嘩か?
 レトが不思議そうにその家を見ていると、何処からか知らない老いぼれたお婆さんが話始めた。

 「あの二人、昔はあんなに仲良かったのにねぇ」
 「知ってるんですか?」
 「あぁ、この町じゃ有名な仲の良い幼馴染さ。元気が良くて、アリルの方はこの町の看板娘さ」
 「すげぇ・・・」
 「でも、この頃何があったか、喧嘩しっぱなしなんじゃよ・・・。どうしたものか・・・・」

 その話を聞き終わったと同時に家から可憐な少女が出てきた。 
 その娘はさっきの話に出ていた『アリル』という人物だろう。
 
 「もうシェルなんて大ッ嫌いなんだからッ!」
 「・・・・・勝手にしろよ」

 レトは、他人事だと思い、その場に立ち去ろうとした。
 だが、
 
 「あ、話、聞いたんですか?」
 「え、あ、まぁ・・・・」 
 「お願いですッ!ついてきて下さいッ」
 「あ、へ、へ!?」

 と、勝手に巻き込まれてしまった。


 「あ、あの、迷惑、でしたか?」
 「あーいやー・・・・」

 つれてこられたのは美しい花が咲き乱れている庭園だった。
 カラフルな花があちらこちらで風に揺られながら踊っていた。

 「んで、何があったんだよ」
 「喧嘩、しちゃって・・・・」
 「それは分かる」
 「実は、この前、あの少年、『シェル』が街中で女の子とデートしてたの」
 「!?」

 バトル系の男子にそんな恋愛話はきくのか・・・。
 レトは驚いた。
 いきなり浮気の話になるとは・・・。

 「でも、シェルは全く反省しないの。あたし、別にシェルと付き合ってるわけじゃないけど・・・・」
 「つまりお前はあの男、じゃなくてシェルが好きなんだな?」

 レトは、思ったことを口にしてしまう性格だ。
 アリルは顔を真っ赤にさせてしまった。

 「あ、わりぃ・・・」
 「ううん、いいの。本当、だから・・・」
 「は!?」
 「あたし、シェルが好きなんだけど、全然シェルは分かってくれなくて・・・」

 レトはため息をついた。
 しかも深い。
 
 「どうしたら、いいかな?レトヴェールさん」
 「レトでいい」
 「え・・・」
 「皆俺の事はレトって呼ぶから」
 「分かった・・・」
 「やっぱり、素直が一番なんじゃないのか?良く分からんけど」
 「素直・・・?」
 「素直な気持ちだったら、相手に伝わるんじゃないかって・・・」
 
 アリルがまっすぐで綺麗な瞳でレトを見つめた。

 (素直な、気持ち__________)

 そして、決心した。
 
 「ありがとうレト。あたし分かったような気がする」
 「へ?」
 「怒ってばかりじゃダメなんだって。自分で、謝るべきだって・・・」
 「そうか」
 「うん」

 レトがふいにこんな事を聞いた。

 「なぁ、シェルは、次元師か?」
 「うん」
 「人族代表になりたいとか、言ってたか?」
 「言ってたな。それで世界の人々を守るのが夢だって、ね」
 「そうか。ありがとな」
 「ううん、こちらこそ」
 「素直な気持ちで謝るんだぞ?」
 「うんッ」

 アリルは、今まで泣いていた顔を笑顔に変えた。
 いきいきしてて、今までで一番可愛い顔だった。
 
 「じゃあね!ありがとうレト!あたし、頑張って素直な気持ちで謝るからッ!」
 
 レトは、軽く手をふった。
 アリルは笑顔で町へ戻った。
 レトは、アリルがシェルに謝って仲直りできる光景を浮かべた。
 でも、その想像が大いなる悲劇を生むとは、誰にも分からなかった。