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Re: 最強次元師!! ( No.52 )
日時: 2010/02/17 19:09
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: RAGGUceS)

第023次元 誇り高き閃光の騎士Ⅴ

 レトが目を開ければそこには酷い光景が広がっていた。
 全身血だらけのシェルが立っていたのだ。
 息も絶え絶え、出血も止まらない。

 「シェル・・・・?」
 「お前ッ!動けたのか!?」
 「悪い・・・な、アリル・・・。俺はお前の事が大事だから、大切だから・・・傷つけたく、ない」
 「シェル、でも・・・・」
 「だから、許してくれない、か・・・?絶対戻ってくるから、俺を・・・戦わせて、ほし、い・・・」
 「シェル・・・・・・」
 「絶対、戻ってくる。死んだりなんか、しないさ。だって俺は・・・」
 「俺は・・・?」
 「アリルの、騎士だからな」
 「・・・・ッ!」

 アリルが泣き続けているとシェルがポンとアリルの頭をなでる。

 「もう泣くなよ・・・。アリルには怪我一つさせねぇから」
 「だって・・・怪我、がぁ・・・」
 「これでも一応次元師だ。さぁ、かかってこいよ・・・」

 シェルの体力はもうきれていたはずだった。
 でもそれは間違いだったようだ。
 シェルは血だらけの手で剣を握り締め、男を睨んだ。

 「てめぇ・・・」
 「これで終わらせる」
 「まだ力が!?」
 「第八次元発動!!」

 シェルが真上に剣を構えた。
 レトもアリルも、ただシェルだけを見ていた。

 「黒陽刃ッ!!」
 「またあの技か!!」

 シェルの黒陽刃が男に直撃した。

 「ぐああああああああああああああッ!!」
 「や、ったか・・・?」

 男がまたしても大声を出した。
 一瞬、勝ったかと思われたが・・・。

 「これ・・・だけか・・?小僧・・・」
 「まだ立ち上がって・・・!!」
 「俺はなぁ!負けるわけにはいかねぇんだよ!!お前みたいな小僧に負けるなんてありえねぇ!!」
 「くっ・・・」
 「第八次元発動!!」
 「あ、あいつも八次元か・・・」
 
 男が鎌を構えた
 鎌は忽ち大きくなり、黒く尖っていく。

 「大振りーーーーーーーッ!!」
 「シェルーーーッ!」
 「終わり、か・・・・!」

 大きな爆音が鳴った。
 だがシェルの姿は見えない。

 「な・・・何処に・・・!?」
 「こっちだよ」
 「な!?いつの、間に・・・!」
 「第九次元発動!!」
 「九次元だと!?」

 八次元や九次元までの強さになると、最強技になる。
 八や九や十などの数字が出せるのは最強級の次元師だけだ。

 「王道斬______ッ!!」
 「なに!?何処から!?」

 シェルが目を閉じた。
 剣を上に向けた時、剣の周りは黄金に輝いた。
 シェルが素早く目を開け、男の腹を貫いた。
 
 「いっけーーーーーーーッッ!!」
 「ぐああああああああッ!!」

 シェルの黄金の剣はいつもの輝きになり、男は倒れた。
 男はもう戦闘不能になった。
 レトがほっと一息ついた。
 アリルは泣きながらも微笑んだ。

 「ごめんな、アリル」
 「ううん。ありがとうシェル。あたしの騎士でいてくれるんだよね?」
 「え・・・あ・・・まぁ///」
 「ありがとう。約束やぶったら承知しないわよ?」
 「あぁ。それにレト、お前もありがとな」
 「さぁ?何のことやら」
 
 レトはそう言っていたが口は歪み、微笑んでいた。
 シェルは流石に怪我をしすぎたので・・・。

 「ちょっとレト!?これはなんなの!!」
 「まぁあれだキールア。ちょっと事件が、なぁ・・・」
 「もうー・・・。まぁいいわ。あんたも座っといてね。今包帯持ってくるから」

 キールアの家に行き、シェルとレトの治療を受ける事になった。
 
 「お前の幼馴染か?」
 「まぁな。怖いけど」
 「お前も頑張れな?」
 「何が」
 「言ってみれば?『俺が必ず守ってやる』って」
 「は、はぁ!?///」
 「ま、言うかどうかはお前次第だけどな」
 「ってめぇ〜〜ッ!!」
 
 レトとシェルは気が合いそうだ。
 レトは少し頬を赤らめながら、そっぽを向いていた。
 
 「持ってきたわよ〜。・・・・随分と無茶したわねぇー・・・」
 「男の戦はこうじゃないとな」
 「ま、そういうこった」
 「何それ・・・」

 シェルの包帯を巻き終わると、シェルとアリルはキールアの家から出て行った。

 「本当にありがとな。助けられちまった。今度は俺が助けてやる」
 「ほほぉ。やっともらおうか。俺はその日を楽しみにしてるぞシェル」
 「あぁ!」
 「ありがとうレト。レトが来てくれなかったらどうなっていたか」
 「困ってればお互い様だしな?」
 「うん。ありがとう」

 シェルが別れ際にレトにぼそっと何か呟いた。

 「あの女の子にさっきの言葉言えよ?裏切りはなしだからな?」
 「な、なんであんな事言わなきゃなんねぇんだよ!」
 
 シェルは大きくを手を振った。
 今までにない笑顔で。

 「またなーレトー!今度戦をするときゃ俺を呼べよーー!」
 「あぁ、約束するよ!」

 レトが家に入った時にはキールアがちゃんと待っていた。
 
 「あんたの治療、まだ終わってないんですけど」
 「あぁ・・・。あの・・・さ・・・」
 「ん?何?」
 「言いにくいんだけどー・・・、今度、何かあった時は・・・」
 「・・・?」

 レトは恥ずかしかったのか、小さく言った。
 キールアは聞き取れなかったらしい。

 「何?聞こえなかったんだけど」
 「やっぱなんでもない!ただ・・・」
 「ただ?」
 「キールアに何かあった時は俺が守ってやる、からな・・・」
 
 キールアも驚いたらしく、少し赤かった。
 
 「ありがとう。絶対だからね?」
 「あぁ、絶対だよ」
 「あらあら〜?何だかお二人さんお熱いようで?」
 
 レトの背後にはロクがいた。
 びっくりしたレトはにやにやしているロクに怒鳴りつける。

 「ってめぇ聞いてやがったのかよ!」
 「おぉっとあたしが聞いたのは最後の良い雰囲気だった言葉だーけ♪」
 「もうロクったら!///」

 こうしてまた三人は笑い続けた。
 シェルという名の誇り高き騎士はこれからも世界を守ってくれることだろう。
 少なくとも、今のうちは。