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- Re: 最強次元師!! ( No.65 )
- 日時: 2010/02/21 18:50
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: RAGGUceS)
第028次元 約束の朱い蛇Ⅳ
最後まで逃げ切ろうとしたロクだったが、班長が目を輝かせ紐を取り出し、ロクは見事に縛られた。
勢いで転がってしまったロクはぴくぴくと魚のように動いている。
「さぁーて、説明してもらおうか?」
「分かりましたよ・・・。英雄大六師とはですねー・・・」
ロクは英雄大六師の情報を全て班長に報告した。
班長はロクの説明に合槌を打ちながら聞いた。
「ほほぉ・・・なるほどねぇ・・・」
「これで分かりましたよね?」
「分かった。雷皇や双斬もそうなんだな?」
「そうですよ。やれやれこれだから班長は・・・・」
「何か言ったかロク」
「いえ何も」
ロクは間髪も入れずに真顔でそう答えた。
班長は紐の先端部分を掴み、ロクを引きずった。
「え、ちょ、班長!?」
「めんどくさいからこのまま行くぞー」
「えーーー!?」
「全く・・・」
フィラ副班がため息をつき、ロクの泣き顔を悲しそうに見ている。
(あれ、何でだろ涙がでてきた・・・)
ロクは苦笑いでそう思った。
ロクの目は死んでいたように見える。
フィラ副班も、こう思った。
(・・・どんまい、ロク)
一人で愉快に笑い続ける班長はいつになく楽しそうに見える。
そこで、フィラ副班と班長の動きが止まった。
「・・・着いたぞロク。ここがケルンだ」
「わぁー・・・」
ロクは思わず絶句した。
空気が美味しく、人が絶えず、笑顔も絶えず、まさに二人の故郷に相応しい場所だった。
元気に走り回る子供達の姿も見える。
楽しそうに喋る母親達の姿も見える。
思わず自分も笑顔になってしまいそうだった。
「すごい・・・」
「だろう?でもここは、酷い場所なんだよ」
「さぁ行きましょう」
「・・・・うん」
蛇梅を埋めたりする人達に見えない。
ロクはそう思った。
「だれが、蛇梅を殺せって言ったんだろうね」
「さぁ・・・。そのうち分かるわよ」
「・・・?まぁいいか」
「んじゃそろそろ着くから準備しろ」
班長やフィラ副班の姿を見て驚く人々がいた。
この隊服が珍しいのだろうか。
全身黒いコートに左胸には蛇梅隊独特のエンブレム。
ロクはコートの中にオレンジ色の無地の服を着ていた。
それは悪魔でロクなりの服装だが。
「ねぇママー、あの黄緑の女の子ちっちゃーい」
「こら、例えそうでもそんな事言っちゃいけません!」
ロクは久しぶりにぶちぎれ、縛られているにも関わらずその子に歯を向ける。
舌が蛇のようになっていて目が尖っていた。
「チビ言うなーーーー!!」
「ロク、今はそんな時じゃないでしょ」
「何故そんなに敏感なんだ・・・」
班長がまたしても足を止めた。
そして、鋭い目つきでその場所を睨みつける。
「ここが・・・・処刑場、だ・・・」
「ここが・・・・?」
「ええ・・・・」
そこは砂漠のような場所で、中に入れぬように厳重になっていた。
あの時とは違ってフェンスも、三重くらいになっていた。
「厳しくなってるわね」
「見て、人がいる!!」
「な、誰だ!!」
班長が大声を出して呼びかけると、一人の青年は振り向いた。
横にいた小さな少女も、笑いながらこっちに目を向けた。
「待ってたよ、咎に落ちる者達よ」
「やっと来たよー!今まで戦えなかった分鬱憤を晴らしてあげる♪」
「・・・・え?」
「敵、か」
「戦うの?」
「ロク、戦ってくれるな?」
「もっちろん!」
ロクが縄を解き、肩を回した。
青年と少女はにやりと微笑みこちらに向いた。
「こんなへんちくりんなんか吹っ飛ばしてあーげーる♪」
「結構強い殺気を放ってる・・・。ここではロクしか戦えない、準備はいいな?」
「うん、いつでもいいよ」
青年が指をぱちんと鳴らした。
ロクはごくりと息を飲み込む。
「じゃあ、Game Startだ」