コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.104 )
- 日時: 2010/03/05 23:05
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第037次元 蛇梅隊入隊試験
街を歩いていたレトは、眼鏡を外して本部へと戻った。
門を通ろうとすると、門の前にフィラ副班がいた。
「お、ただいま」
「おかえりなさい、レト君」
レトは自室に戻り、隊服を羽織った。
ロクがひょこんとレトの部屋の中に入ってきた。
「・・・・なんだ?」
「新しい次元師、入るらしいよ♪」
数秒沈黙が続いた。
レトは持っていた髪ゴムを落とした。
「え・・・まじ?」
「まじまじ、今から試験だから見てみる?」
「行く」
「んじゃ行きますか」
レトとロクは試験会場へと足を運んだ。
その途中でも色々な試験官の姿が見えた。
「でもきついよねー、なんで蛇梅隊に入るのに試験が必要なんだろ」
「そりゃそうだろ。ここでは一番の情報が手に入る。入りたい奴もいるさ」
「ま、実際あたし達も受けたしね、試験」
「お前最初断固拒否ってたじゃねぇか」
「あの時は、ね・・・」
昔。
ロクとレトは次元師になるために蛇梅隊に入るために修行を重ねてきた。
「結構前、だよねぇ・・・」
そう、今から一年前。
あたしとレトが無次元に行って目と内臓を亡くした時。
「・・・・なぁロク、どうする?これから」
「どうするって・・・何もないのに」
「俺、考えたんだけどさぁ」
「な、何・・・?」
「蛇梅隊に入らないか」
そう言われた時、すごく嫌な気持ちになった。
あたしは、そういう軍隊が嫌いだった。
「何言ってるの・・・?」
「だから蛇梅隊に・・・」
「あたしは入らないよ、絶対に」
「え、何でだ?」
「あたし、そういうとこ嫌い。だから入らない。レトだけでも入れば良いじゃん」
「お前なぁ、蛇梅隊に入れば色々な情報だってつかめるんだぞ?俺達の目標、神族の情報だって!」
「でも違う!!目標はそうだけど、でも違う。あたしは、嫌!!」
あたしはそう言い切った。
でも、レトは悲しい表情を浮かべた。
「ごめん、無理やり言って、ごめんな。お前はそういうの、嫌いだったな」
そう言ったレトの顔は、落ち込んでて、元気がなかった。
あたしのせいかな?とも思った。
でも、やっぱり言えなかった。
あたしは、戦い自体、あまり好きではなかったから・・・。
蛇梅隊試験当日。
やはり、レトは向かった。
でもあたしは家に残った。
嫌だったから・・・。
(レトの・・・分からずやぁ・・・)
そう思ってた。
支度を終えたレトがあたしの顔を見て話した。
その表情はあの時と同じ、悲しい表情を浮かべてた。
「んじゃ行ってくるから。・・・・ほんとごめん。でも、絶対戻ってくる」
「・・・・あ・・・」
あたしの小さな声は届かなくて、レトは扉を開けて旅立った。
あたしは何が言いたかった?
今、レトに何を言おうとした?
今まで自分が大嫌いだった戦いの世界へ、レトが入り込んでいった。
それが、すごく嫌だったのかもしれない・・・。
「・・・・それではこれより、レトヴェール・エポールの蛇梅隊入隊試験を始める」
「はい」
「それじゃあ、見せてもらおう、君の力を」
あたしは、いつの間にか走ってた。
レトに会いたくて。
離れるのが嫌で。
ただ、それだけの理由で———・・・・・
「これで終わりかい?レトヴェール君」
「ま、まだまだぁぁぁ!!」
「威勢の良い子だ」
「隊長!もう一人、試験を受けに来た者が来ております!」
「うぬ?誰だね」
ただ、レトに会いたかった_________
「ロクアンズ・エポールだああああ!!」
「は!?」
「ほほぉ、兄妹ときたか」
「はぁ、間に合ったー!」
「ロク!?何で!?」
「あたしも、受けに来たの。レトと一緒に!」
「・・・・そうかい。見せ付けてやろうぜ俺らの力!」
「いえっさーー!」
こうしてあたし達の試験は終わった。
見事に受かったあたし達は、二人でもう二度と離れない事を約束した。
「懐かしいなぁ」
「でも、あの時は土壇場だったし」
「ま、いいってことよ」
「そだね」
ロクはレトと走りながら試験場へと向かった。
あの懐かしい、二人の絆が再び結ばれたあの試験場へ。