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Re: 最強次元師!! ( No.138 )
日時: 2010/03/15 20:50
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)

第040次元 幸福、幸運

 始まった時よりも会場がざわついていた。
 やはりさっきの技を見せられると、次何か来るか分からない。
 
 「第五次元発動!、断決!
 「さっきの、技ね」
 
 またしてもミルの手が光り始める。
 さっきと同じように、右手が青白く、左手が神々しい光りを放っている。
 
 「汝が善き者というなら幸福を、汝が悪しき者というなら処罰を与えよ!!」
 「今度はどっちなんだろうな」
 「フィラ副班は良い人だから多分幸福・・・だと思う」
 「だと思うってお前、副班信じてねぇだろ」
 「へへ」
 「笑うな」
 
 レトとロクも次の言葉に期待を抱き、待っていた。
 この時、フィラ副班はどんな気持ちだっただろうか。

 「あれ?フィラ副班の肩、蛇梅乗ってなくない?」
 「あ、確かに。でもなんか任務で大怪我したって聞いたぞ?」
 「そうなの!?」

 レトの言うとおり。
 フィラ副班の肩には、いつもの蛇梅がいない。
 今は病室で検査を行っているのだろう。

 「汝を善き者と認定。今から汝に幸福を与えよう!!」
 「お、やっぱ幸福じゃん」
 「やっぱ、か。つうか幸福ってなんなわけ?」
 「さぁ?」
 「幸福、か・・・。良かったぁ・・・」

 フィラ副班が一息つくと、ミルの両手が神々しく光り始めた。
 でも、何も起こらないようだ。

 「何なの?」
 「まぁ待って下さい、少々お時間を頂くので」
 「・・・・?」
 「・・・できました、さぁ、御出でなさい蛇梅!」
 「へ、蛇梅・・・?」

 任務で大怪我をした蛇梅が大きな扉から出てきた。
 その光景に、会場が驚きの声を上げる。
 フィラ副班は涙汲んでしまった。

 「へ、蛇梅ぇ・・・」
 「な、何で!?」
 「これが幸福なの、か?」
 「貴方の蛇梅は完治しました。さて、続いていきますよ?」
 「嘘・・・」
 「奇跡か?」
 「ミルって子、すごいね!レト!」
 「あ、あぁ・・・」

 会場が歓声を上げた。
 大怪我をした蛇梅が今、この会場に現れたのだ。
 奇跡、偶然、どちらにしてもこの技は天才並みだった。

 「ん、次は何にしようかな・・・。あ」
 「蛇梅、大丈夫・・・?」
 
 蛇梅はこくんと頷いた。
 フィラ副班が幼児のような声で心配した。
 でも、すごく嬉しそうだ。

 「それじゃあこれはどうでしょう?」
 「へ・・・?」
 
 フィラ副班が振り向くと、ミルは右手からポンと百合の花束を出した。
 その光景にも驚いたフィラ副班はまたしても涙を落とす。

 「か、可愛い・・・」
 「さて、これくらい、かな?」
 「何故フィラが百合を好きなのを・・・?」

 班長が何か小さく呟いたようだ。
 フィラ副班は昔から百合が好きで、家中百合の花でいっぱいだったという。
 しかし、何故それをミルが知っていたのか。

 「なんで、あたしが百合を好きなのを?」
 「ん?んー・・・、とても似合うなと思いまして」
 「それだけ・・・!?」 
 「はい、貴方には百合が似合っております」
 「すげぇ・・・」
 「ってかあたしも知らなかった!」
 「お、俺も・・・」
 
 会場がざわめく中、隊長がごほんと咳をした。
 そして、皆が話すのをやめ、隊長に目を向ける。
 
 「・・・では、これで蛇梅隊入隊試験を終了する。ミル・アシュランの報告は、後に発表するだろう」
 「はい!」
 「あいつ、入るかな」
 「多分、ね。だってすごいもん!」
 「だ、だといいけど・・・」

 処刑されたガルラスは後に地へと埋められた。
 でも、牢屋を壊したわけではない。
 ガルラスの処刑後の姿は誰も見ていないのだ。

 「じゃあ、いこうかレト」
 「だな」

 ロクとレトは会場から出て行った。
 他にもぞろぞろと帰っていく次元師が見えた。
 ミルの目線は、明らかにロクの方向へと向けられていた。