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Re: 最強次元師!! ( No.179 )
日時: 2010/03/19 18:37
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)

第044次元 コア

 レトは、次々に襲い掛かるロクの攻撃を避けながら、薬を口の中に入れた。
 こくんと飲み込むと、回復したかのような顔を見せ、体勢を立て直す。

 「ありかよ・・・・、つうか反則だろ・・・」
 「俺の辞書に反則なんて言葉はないね」
 「あぁ、そう」

 レトは必死に考えた。
 どうすればロクを元に戻せるか。

 (そういえば・・・俺、一回も攻撃が当たってねぇな・・・)

 レトは、自分の体を見た。
 まだレトは、一度も攻撃が当たっていない。

 「雷撃ーーー!」
 (やば、避けられな・・・!)

 ロクからのいきなりの攻撃にレトが戸惑った。
 レトは瞬時的に目を開けた。
 だが、レトへの攻撃は当たらなかった。

 (今、確かに俺を狙って・・・・)

 レトは自分の体とロクを交互に見つめた。
 そして、ある事に気が付いたかのような表情を見せた。
 
 (ま、まさか・・・ロク・・・・)

 レトは、ロクの目の前に立ち始めた。
 ワルドは、その光景を不思議に思いまた笑った。

 「何してんの?あ、まさか死ぬなら妹の攻撃で死にたい、とかか?」
 
 ワルドが意地悪っぽくそうレトに言った。
 だがレトはその場から離れない。
 レトは口元をふっと歪ませ、少し笑った。

 「やっぱ・・・・そうか・・・」
 「おい、何してんだよ、やっぱとか何?勝利への確信か?」
 「・・・そうだけど?」
 「やれるもんならやれよ小僧」
 「言われなくてもやりますよ」

 レトは調子の乗った口調でそうワルドに告げた。
 ワルドはますます怒り、ロクの方に向いた。

 「ロクアンズ!!あいつに攻撃しろ!!」
 
 ロクは、右手を構えるとレトの方向へと目線を向ける。
 
 だが。

 「今だ、ロク!!」
 
 レトの一言でロクが方向を変え、ワルドの方に目を向けた。

 「雷撃ーーーーーー!!」
 「な、なんだと、ロクアンズが、何故・・・!?」

 ワルドにロクの雷撃が直撃した。
 煙のたつ中で、ワルドはむくむくと立ち上がった。

 「な、何でだ!?確かにロクアンズは俺の操り人形に・・・!!」
 「バーカ、ロクがお前の操り人形なんかになるかってんだ」

 レトの横に立っているのは、清清しい顔を見せているロクだった。
 ワルドは意味も分からずロクを睨んだ。

 「嘘だろ・・・、俺の能力をやぶる奴なんて、この世で神族だけなんだぞ!?」
 「それほど、ロクが強いって事じゃねぇの?」
 「そうかもねー、あ、あたし最初からあんたの操り人形ごっこをしてたから♪」
 「そ・・・・んな・・・」
 
 ロクはワルドに向かってべーっと舌を出した。
 ロクは最初から、レトに攻撃なんかしてなかったのだ。

 「レトに攻撃が当たらないように結構頑張ったんだよ?」
 「俺も途中で気が付いたけどな」 
 「・・・・・おい」

 ワルドは、二人に向かって低音で呼びかけた。
 落ちていたサングラスをかけると、タバコを吸いだした。

 「なんだよ」
 「神族の心臓が、何だか知ってるか?」
 「へ?心臓は心臓じゃ・・・・」
 「違うんだなぁ、神族の心臓ってのは・・・」
 「嘘・・・、心臓がないの!?」
 「ないわけじゃないな、ただ、ないに等しい」

 ワルドは卑しい笑みを浮かべ、また二人を見下ろした。

 「神族の心臓はお前と一緒だよ、レトヴェール」
 「————!?」
 「え、ま、まさか!?」
 「コアだよ、コア、それが俺ら、神族の心臓だ!」

 コア。
 人工心臓と言ってもいい、仮の心臓。
 レトの体内にある心臓も、コアだ。
 
 「待てよ・・・コアは、簡単じゃねぇが人間にも作れるんだぞ!?」
 「俺とお前のコアは違うな。お前のは人工心臓。俺のは、本物の魂そのものと言ってもいい」
 「え・・・、何が、違うの?」
 「違い?そんなの・・・」

 ワルドはまた笑い出し、タバコを落とし、踏んだ。
 煙も、まだ立っていたというのに。

 「俺のコアは一度壊されても、この世から神族がいなくならない限り再生する神族専用もんよ!!」

 その言葉に言葉を失ったレトとロク。
 まさか、神族と人族のコアがこんなにも差があるとは。

 「再生って・・・・」
 「そんな、何で!?」
 「それが神族のコアだ。お前らは、たった1秒でも神族をこの世から消す事はできるか?」
 「それじゃあ・・・」 
 「もし、神族がこの世から1秒でも消え去った場合、二度と再生はできないの?」
 「そうだ。だが、お前らみたいな人間には、無理かもな」

 ロクとレトは頷き合った。
 二人の心は、一緒だったようだ。

 「だとしたらそうするな」
 「1秒でもこの世から消し去ればいいんだね?」
 「そうだが?」
 「それなら俺達はそのために戦おう!」
 「なかなか威勢がいいな・・・」

 ワルドは、腹の部分から流れる血を抑えながらも話し続けた。
 
 「だが、神族のコアは何処にあるか分からない。もしかしたら足かもしれないし、手かもしれない」
 「え、じゃあ・・・」
 「俺は、腹だったんだよ・・・」
 
 ワルドは、目をゆっくり閉じた。
 息はしてないようだ。

 「本当に、死んだのか・・・?」
 「でも、あたしも、疲れた・・・・」
 「だな、報告するために、一度帰ろうぜ、本部に」

 レトが気が付いた時にはもうあの世界は消えていて、あたりは、先ほどと同じ風景を見せている。
 驚かないのか、レトの顔は冷静な表情だった。
 だが、レトもロクも、流石の神族との戦いに、その場に倒れ込んでしまった。