コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.203 )
- 日時: 2010/03/26 10:24
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第048次元 心の神
レト達が訪れた街、ルイシェル。
そこは、海沿いのある、豊かな船町。
「おぉ、眺めがいいなぁ」
「そうだね。こんなとこ、来たことないなぁ」
「やっほーい!泳ぐぞーー!」
「目的が違うぞロク」
「えぇー!?」
「まぁ、まずはミルを探そうぜ」
「ちぇー」
「ぐれないの、ロク」
キールア、レト、ロクは、ミルを探すため街を出歩いた。
だが、今回の目的も忘れてはいけない。
逃げた囚人を追わなければ。
「おーい、ミルー?」
「何処なのー?」
「腹減ったー」
「一人だけ言ってる事が違う!!」
レトはぽかんとロクの頭を引っ叩いた。
こんな時によく暢気な事を言ってられるものだ。
「あ、あの・・・」
レトの横に、ひょこんと誰かが立っていた。
その存在に気付いたのか、レトは横に向いた。
「あぁ、依頼主さんですか?」
「ええ、やはり貴方方が蛇梅隊の次元師様ですか。どうかお助け下さい・・・」
「勿論、そのつもりで来ましたから」
「囚人の名前は、ルポスと言います」
「ルポス?」
囚人ルポス。
嘗て、ミルが処刑したガルラスの友人。
囚人仲間という事だ。
ルポス・カージアンとは、有名な名で通っていた。
「ルポス・カージアン・・・。聞き覚えもないな」
「だってあたし達田舎育ちだし」
「だよなぁ」
「・・・・とにかく、ルポスって奴を捕まえればいいのね」
「ついでにミルに裁いてもらうか」
「そうしようか」
レト達は、ミルを探して森の中へ入っていった。
大きな木々が、上からレト達を見下ろしている。
赤、黄、青・・・、色々な色をした花があちらこちらで咲き誇っている。
「すげぇな・・・・」
「綺麗ー・・・」
「なんか、神秘的ー♪」
綺麗な鳥の声。
花を躍らせる一膳の風。
流石海沿いの町。
心が豊かになりそうだ。
「あ、洞窟があるよ!」
「行ってみるか」
「えぇー!?ミルちゃんは!?」
「あいつもいるかもしんないじゃん」
「そんな無責任なぁー・・・」
「探検♪探検♪」
キールアの言う通りだ。
ミルを探さなくてもいいのか。
全く暢気な兄妹だとキールアは思った。
洞窟の奥。
いや、レト達は更に奥に進んでいった。
進むとどんどん暗くなり、光りはまわりの蝋燭だけとなった。
「さ、寒くねぇか・・・?」
「なんか、変な感じ・・・」
寒気がする洞窟の中、遂に広いところに出た。
だが、そこには何もなく、ただっ広い光景が広がっている。
「何処だ・・・、此処」
「み、見て!、真ん中の方に看板がある!」
「行ってみるか」
レトは看板に歩み寄った。
だが、そこには知らない言葉がずらずらと述べられている。
「何だ・・・これ・・・」
「読めないね・・・、何処の国の言葉だろう」
『人と神が、交わるとき』
「!?」
「ロク、読めるの!?」
『月が満ち、やがて戦いは始まる』
一人の神が人を護り
戦いは終焉を迎えた
しかし、神は護れなかった
己が一番愛した人間を
その者は 心の神 妖精
この世はその者を裏切ったかのように
その者を死へと誘った
千年の時を超え
また妖精はこの世に君臨し
世界を 人を
護る事となるだろう
「何だよ、それ・・・」
「暗号?それに妖精って・・・」
「ロク、これで全部か?」
「うん・・・」
何故看板に書かれた言葉をロクが読めたのかは、分からない。
だが、文章中にあった『妖精』という言葉に、キールアは引っかかった。
「妖精・・・って?」
「まさか、あのワルドが言ってた神族の一人か!?」
「神族と戦った時、何か言われたの?」
「あぁ、この世には六人の神が存在する、ってな」
「六人も!?」
「あぁ、世界、自然、動物、運命、妖精、神。だそうだ」
「その中の神、妖精ね」
「妖精ってさぁ、どんな能力なんだよ」
「知らないよ、神の方が知りたい」
レトとキールアが言い合っているのにも関わらず、ロクは看板の前に立っていた。
だが、ロクの顔は、青褪めたようにも見える。
「どうした、ロク」
「妖精・・・、千年前・・・・」
ロクの胸の奥が、鼓動の音に満ち溢れた。
鼓動が速くなっていくにつれ、ロクはがたがたと体を震えさせた。
『あたしは・・・、生きてちゃいけないから』
そして、誰かの言葉がロクの頭を過ぎった。
ロクは頭に触れ、何かを思い出したかのようにはっとした。
「・・・・・来る!!」
「な!?」
大きな爆音が鳴り、この場の全体を包み込んだ。
レトは、地面に膝をつき、真正面を向いた。
「だ、誰だ!!」
「あーら、僕達の事、忘れちゃったぁ?」
「アニル、さっさと片付けよう」
そこにいたのは、前回レト達の目の前に現れた動物と自然の神。
アニルとグリンだ。
「お前ら、何しに来たんだ」
「何しにって・・・・、倒すために決まってんじゃぁーん?」
「少し頭でも使えば?」
「これが・・・、神族・・・」
いきなりの神族の登場に戸惑うレト達。
だが、ロクはこんな状況の中でも神族の方に目も向けず、ただただ看板の前に立ち尽くしていた。