コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.224 )
- 日時: 2010/03/27 19:57
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第051次元 獣を捕らえる少女
戦闘開始から約30分。
両者ともボロボロ—————、ではなかった。
神族、アニルとグリンは少しのかすり傷しかなかった。
それに対しレトとロクはもう体も体力も限界になっていた。
「ちく・・・、しょう・・・」
「はぁ・・・強、すぎ・・・」
「これで終わりなのかな?」
「つまんないね。所詮はただの人間」
二人とも、よろける体を無理やり起こし、息が上がっているのにも関わらず前を向いた。
その場を離れているキールアは、ただ胸の辺りで両手を合わせ、祈っている。
(お願い・・・・、二人をこれ以上傷つけないで・・・!!)
その時、桃色の少女がうっすらと目を開けた。
その少女の目の前に移ったのは、必死に戦い続けるレトとロクの姿だった。
「さて、これで終わりにするか」
「そろそろ飽きてきたもんね」
「ちく、しょう・・・」
「これ以上は、戦えないの・・・?」
「レ、ト・・・・、護らな、きゃ・・・」
「消えろーー!!レトヴェール!!」
「レトーーー!!」
アニルが長く尖った爪をレトに向かって突きつけた。
その瞬間。
「牢閉縛ーーーー!!」
一人の少女の言葉で、アニルが下から突如現れた箱型の牢屋に捕まり、上まで吊り上げられた。
その光景に、レトもロクも驚いている。
「な・・・ッ!?」
「み、み・・・」
顔を伏せ、青白く染まった右手と左手を突き出している少女。
そして顔を上げ、一息ついた。
蛇梅隊新隊員、ミル・アシュランだった。
「ミル・・・・」
「レトを傷つけるなら、あたしが許さない!!」
「そんな・・・・、あのアニルを捕らえるなんて!!」
グリンが大きな声を上げた。
猛獣、動物の本能を持つ俊足のアニルを捕らえるなんて、信じられないと思ったのだろう。
「貴方・・・、戦えるのね」
「なんだ此処は!?どうなってる!!」
「安心しなさいアニル。死にはしないわ」
「戦えるよ。あたしだって一応次元師だからね」
「ミル・・・、良かった」
牢屋の中でもがき続けるアニルは、まるで捕らえられた獰猛な獣のようだった。
ミルが確信した目でアニルの方に顔を向けた。
「閉!!」
ガシャンッ!!という効果音とともに牢屋が完全に閉じた。
もうアニルの姿は誰も見えない。
ミルが右手をアニルの牢屋に向けた。
そして、思い切りアニルに向かってその手を握り締めた。