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- Re: 最強次元師!! ( No.230 )
- 日時: 2010/03/29 18:50
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第052次元 敗北
「アニル!!」
牢屋が一瞬揺れ、その場はしんと静まり返った。
アニルの声が聞こえない。
アニルは死んだのか。
「嘘・・・・、アニル・・・?」
「これくらい、楽勝♪」
「ミル・・・・」
「すげぇよ、お前」
「へへ」
ミルが頬を赤く染め、笑顔になった。
が、次の瞬間。
「何が、楽勝なの?」
「—————————え?」
ミルの耳元で、誰かが囁いた。
ミルの腹は、大きく鋭い爪のようなもので貫かれていた。
ミルの腹から血が流れ、そして、ミルは血を吐きながら倒れた。
「み・・・ミル・・・・?」
「ミルーーーー!!」
「え・・・・」
グリンとロクとレトが見たもの。
それは、ミルの後ろで不快に笑う動物の神、アニルだった。
アニルは傷一つしていなかった。
月のような形に裂けた口を開き、笑っていた。
「何だよ、つまんないなぁ。もっと楽しめるかと思ったのに」
「え・・・、み、ミル!!」
「千年前と一緒だな。なぁ、幸罰を操る次元師さん」
「アニル・・・、お前、なんてこと!!」
「千年前の戦争でも、幸罰はすごい力を発揮した」
「千年前の・・・、戦争・・・・?」
「そうさ。あの戦争で最後まで残っていたのが、幸罰の使い手だよ」
アニルが語った千年前の戦争。
ミルは倒れ、アニルはそのミルを踏みつけた。
「!!」
「お前らの負けだよ、次元師さん」
「ふざけんな!!俺はまだ戦え・・・・」
レトが咳き込み始めた。
血を吐きそうなその痛み、立ち上がる事もできない。
「ち・・・、くしょう・・・」
「そこの、ロクアンズも怖いだろう?」
「あ、たし・・・」
「お前、ロクアンズ・エポールか」
「そ、そうだけど・・・?」
「あのフィードラス・エポールの娘だろ」
「あたしとその人は血が繋がってない」
「・・・・ふぅん・・・」
アニルが細い目でロクをまじまじと見つめた。
アニルはため息をついた。
「まぁいいや。今度会う時はもっと強くなっててよ、ロクアンズ、レトヴェール」
「その時は、容赦なく殺すから」
アニルとグリンは、その場から一瞬で消えた。
この洞窟で取り残されたレトとロクとミル。そしてキールア。
ロクは、力が抜けたのか地面に膝をついた。
(負けた・・・・、俺達は、負けたんだ・・・・!!)
悔しさのあまりレトが涙目になっていた。
今まで、敗北を経験しなかったレトとロクが、初めて負けた。
最悪最強の神、アニルとグリンに。