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Re: 最強次元師!! ( No.245 )
日時: 2010/03/31 18:47
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)

第055次元 声

 ロクは、ばっとベットから飛び起きた。
 こめかみには汗が滲んでいて、息も荒かった。

 (今の・・・、誰・・・・・?)

 はぁはぁと息をしながら、起きてみると、もう朝になっていた。
 時計を見てみると朝の8時。
 朝食の時間だろう。

 食堂は、いつもの通りに大勢の人が座って話していた。
 そこには、レトやキールアもいる。

 「おうロク、お前早いなぁ」
 「いつもは昼頃なのに、どうしたの?」

 ロクは、今朝の夢の事は話さないでおこうと思い、首を振った。

 「何もないよ、珍しいだーけ」 
 「そか、ロクも一緒に食べよう?」
 「うん」
 「待てキールア、ロクと一緒に食べるとロクがテーブル全部に食べ物置くぞ、隣に座れないぞ」
 「え・・・・、マジ?」
 「ハンバーグ72人前お願いしまーす♪」
 「やっぱりか・・・」
 「まぁ、これがいつもだもんね」

 笑顔で注文するロクは心の中で何を思っているだろう。
 今朝の夢の事か、それとも神族か。
 どっちにしろ、良い事を思い浮かべているわけではなさそうだ。

 「ロク、今日任務行くの?」
 「んー、どうしよっかなぁ」
 「何か悩み事でもあるのか?」
 「別に。どうもしてないよー」
 「そうか、あ、そういえばまだ第一図書館行ってなかったな」
 「確かに、行く?」
 「だな、んじゃあ準備したら玄関な」
 「僕も行くー♪」
 「はいはい双斬もね」
 「ずるいぞー!あたしもいくんだかんねー?」
 「はいはい雷皇も」
 
 ロクは食事を終えるとすぐに自室に戻り、着替えを始めた。
 その時、一瞬刃物が刺さったような鋭い痛みがロクの頭を過ぎった。

 (いたッ!!)

 ロクは頭に触れ、痛さに耐えた。
 それは一瞬の事だった。

 (さっきから・・・、何か様子が可笑しい・・・)

 ロクは自分の右目にそっと触れた。
 鏡で見れば忌々しいこの傷跡。
 綺麗に雷のような傷ができている。

 (考えるのはやめよう。余計頭が痛くなる・・・)

 ロクは部屋の電気を消し、黒いコートを羽織り、部屋から出て行った。
 広い玄関には、レトが立っていた。
 
 「待たせた!さぁ、行こっか」
 「だな、この間はまさかのワルドと遭遇しちまったし」
 「災難だよねぇ」
 「神族ってさ、ワルドみたいな奴もいればアニルみたいに最強もいるんだな」
 「だね、他の神族も強いのかな」
 「不安か?」
 「いや、あたしが全員叩きのめす!!」
 「威勢が宜しいことで」
 「へへっ」

 ロクが照れ笑いすると、大きな坂道を両手を広げて子供みたいに下っていった。
 まだ本当の子供みたいな——・・・・・。

 (ホント、餓鬼みてぇ)

 レトが心の中でそう思うと、ロクが石に躓いて転がっていった。
 ロクがごろごろと滑りながら下っていくと、お店の看板に顔をぶつけた。

 (何やってんだ・・・、あいつ)

 レトが呆れると、寝っ転がっているロクを素通りした。
 ロクがレトの足を掴み、必死になって助けを求めている。

 「ひどいよー、置いていかなくてもいいじゃんかぁー・・・」
 「知らねぇよ。つうかお前は餓鬼か」
 「助けてよー、痛いよー」
 「黙れ、変な目で見られてるだろうが!」

 ロクとレトのまわりには人が集まっていた。
 あの有名な兄妹がこんな事をしていれば誰もが驚くだろう。

 「ねぇママー、この人達なにやってるのー?」
 「顔を合わせてはいけません」
 「・・・・レト、起こして」
 「あぁ、いいよ」

 レトも諦めたのかロクを起こした。
 こんな恥ずかしいところを見られてしまったレト達は速歩きで図書館に向かう。

 「お前、いいかげんにしろよな」
 「だってー」

 ロクが口に空気を含ませぷいっと怒っていると、またあの言葉が過ぎった。

 『助け————て———————』

 「!?」

 ロクが必死に頭を抑えた。
 ロクは痛さに耐え、治まるのを感じた。

 「どうした?ロク」
 「な、何でもないの!、さっさ行こう!」
 「あ、あぁ・・・」

 レトを後ろから押し、ロクは痛みと戦った。
 ロクはいつまで、この苦痛と戦わなければいけないのだろう。
 
 (何なんだろう・・・・、誰・・・・?)

 ロクの笑顔には、限界があった。
 レトは不思議に思い、まぁいいかという風に歩き進めた。

 (この前の、『裏切り者』って言った人と同じ声だ・・・、本当に、誰・・・)

 ロクがそう考えているうちに、2人は第一図書館についた。
 レトは第一図書館へ向かって走るロクを見て、小さく微笑んだ。
 だがロクのその姿は、どうしても空元気にしか見えなかった。