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Re: 最強次元師!! ( No.262 )
日時: 2010/04/11 15:27
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)

第057次元 8年前

 一仕事終え、医療室から出てきたのは金髪の少女。
 新人の医療部隊のキールアだろう。
 彼女は医療部隊の先輩に一礼し、自室へと戻っていった。
 浴室に入り、温まったところで出て、タオルを首にかけて出て行った。

 (はぁ・・・、今日も疲れたなぁ・・・)

 キールアはポットからお湯を出し、紅茶を飲み始めた。
 少し熱いが、とてもほっとする。
 そこで、キールアの扉をこんこんと叩く音がした。

 「はーい」

 キールアが返事すると、第二部隊の副班長、フィラ・クリストンが肩に蛇梅を乗せ入ってきた。
 キールアが礼をすると、フィラ副班はベットに腰をかけた。

 「何かご用でしょうか」
 「まぁね、あ、これ食べる?」

 フィラ副班は右手に持っていたかごを出した。
 かごの中には美味しそうはスコーンが入っている。
 
 「わぁ・・・、美味しそうですね」
 「出来立てよ、さっき作ってきたの」
 「ロクなら喜んで飛びつきそう」
 「ふふ、そうね。もしかしたら気付かぬうちになくなってるかも」

 2人が笑いながら話していると、蛇梅も少し体を動かしていた。
 蛇なりの喜びの表現だろうか。

 「・・・ところで、少し聞きたいんだけどね」
 「はい、何でしょう」
 「レトとロクって、どうやって仲良しになったのかしら」
 「え?」
 「ほら、2人って義理の兄妹じゃない。だから」
 「あぁ、いいですよ。話します」
 「ありがとう」
 「そうですね、確かにあの2人、最初は全然仲良しじゃなかったんですよ。

 ————今から8年前————

 1023年。12月25日。 
 ロクはクリスマスの日に隣の町でレトのお母さんに拾われました。
 ロクは捨て子だったらしいのですが、その事実を知っているのはレトのお母さんだけです。
 それで、レトとロクはその日から兄妹となって暮らすようになったのです。

 「はいレトヴェール、ロクアンズよ、仲良くしてあげてね?」
 「・・・、レトヴェールって長いね、いっその事レトにしちゃえば?」
 「うるさい。つうかお前を妹と認めた覚えないから」

 でも、あまりの冷たさにレトに友達はいなくて、あたしは隅っこの方で本ばかり読んでました。
 それはレトも一緒で、誰とも関わろうとしなかったのです。
 レトはその時6歳で、ロクは5歳でした。

 私達は小さな勉強会というものを村でやっていて、そこは年齢制限なく通える学校のようなものでした。
 そこであたしやレトは勉強していましたが、レトは頭が良いものですからすぐやめていきました。
 それで、レトが年上の上級生に絡まれた時。

 「おい小僧、お前生意気だよなぁ?幼稚な癖になんでサボってんだよ」
 「あそこはバカが行くところだからに決まってんじゃん」

 その時から性格が冷たく、誰もよせつけない天才だったレトは、6歳にして喧嘩ばかりやっていました。
 それで、ロクが転入してきたのです。
 私達の、学校に。

 「はい!あたしは、え、と・・・、あ、ロクアンズ・エポールです!」

 ロクは、自分の本当の名前を知らなかったから、レトのお母さんからそう名づけられていたの。
 ロクが勉強会に来てからレトは一層冷たくなりました。

 「あ、レトーー!」

 ロクが教室でレトに話しかける度、レトは不機嫌になっていきました。

 「うるさいな。勝手に人の名前呼ばないでくれる?」
 「だってレトじゃん。レトヴェールって長いんだもん!」
 「勝手に略すな」

 ロクがいくらレトに話しかけようとしても、レトは相手にもしませんでした。

 ロクは、転入初日から、いじめられるようになりました。
 何故か・・・、それは、私達の村が全員金髪の子だったからなんです。
 ロクは拾われた頃から黄緑色の髪で、よく皆にいじめられてたんです。
 私も、だったんですけどね。

 「やーいやーい、ここはお前の来るところじゃねぇんだよーだ!帰れ帰れー!」
 「うるさいなぁ!髪の毛が何だって言うの?それならあんたも黄緑に染めてやろうかー!」

 ロクも毎日喧嘩三昧で、それからあの2人は有名になっていきました。
 だけど、ロクが家に帰ってる時、ロクは見たんです。
 花に水をあげたり、木から落ちた小鳥を戻したり、怪我してる動物を手当てしたりと。
 ロクはその時初めて知ったんです。
 レトの・・・・、本当の優しさを。
 
 そして、半年くらい経ったある日の事でした。
 レトはいきなり上級生の10歳くらいの人達に呼び出され、人気のない所で連れて行かれました。

 「それを、どうしてキールアちゃんは知ってるの?」
 「あたしも、見てたんです。でも、何も言えなくて・・・・」
 「・・・そう・・・・・」

 それで、裏庭に連れて行かれたレトを、4〜5人の男子達が囲みました。
 
 「おい、お前、いい加減にしろよ」
 「はい?」
 「お前のせいで俺らがどれだけ苦労して世話してるの思ってんの?あぁ?」
 「世話されてないし」 
 「つくづくむかつく餓鬼だな。頭がいいからって調子に乗るなよレトヴェール!」

 上級生の男子達はレトのお腹を殴り、レトを軽々と持ち上げました。
 
 「ぐ・・ぁ・・・・」
 「これくらいじゃ済まねぇよ。いくら6歳でも容赦しないからな」
 「やっちまおうぜ!」
 「おう!」

 レトは、泣かないようにと我慢して耐えてたんです。
 ずっと、ずっと。
 そんな時、レトの前を誰かが走って通り過ぎ、上級生の顔を思い切り殴る、少女の姿が見えました。

 「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」

 その少女は腰に手を当てて、人差し指で上級生を指し、大声で叫びました。
 綺麗で長い黄緑色の髪の毛を靡かせ、首にチョーカーを巻いた、ロクアンズ・エポールが。