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- Re: 最強次元師!! ( No.264 )
- 日時: 2010/04/20 22:56
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: JPqqqGLU)
第058次元 3人の友情物語
「な・・・・ッ」
自分より年上の男子の左頬を思い切り殴るロクの姿は、すごく勇ましかったんです。
あたしも見ていて驚きました。
こんな子もいるんだな、って。
「ってめぇ、レトヴェールの妹か」
「うん。そうだけど文句あんの?」
「文句も何もお前には関係ないよ、おチビちゃん♪」
「関係ないなら殴り飛ばしたりしないから」
「口の減らない餓鬼だね。こいつもまとめてやっちまおうぜ!」
「おう!」
「お前、何しに来たんだよ!」
レトは、倒れた体を起こし、ロクに向かって大声で叫びました。
ロクは必死に上級生の暴力を受け、傷だらけになってまでレトを守ろうとしたんです。
「すごい・・・」
「でも、これだけじゃありませんよ」
「まだ、続きがあるみたいね」
「はい」
ロクは、体力の限界で倒れこんでしまいました。
そこら中が痛かったんじゃないでしょうか。
とても息が荒かったんです。
「・・・もういい、お前は関係ないから下がってろ」
「関係なく・・・、ない」
「関係ないだろ、第一何で来たんだよ」
「何でって、大事なお義兄ちゃんが殴られてるのに、放っておけないもん!」
「・・・・だから、何で・・・!」
「そろそろ片付けるぞ。もう二度と俺達に逆らうなよ?チビ兄妹」
「嫌だ」
「逆らう気満々かよ」
「威勢良すぎだろ」
「黙れって言ってんだよ!!」
レトのまん前にいた男子がレトの顔を思い切り殴りました。
その光景に周りの男子がずっと笑ってて、レトは、本当に倒れてしまったんです。
あたしもその時びっくりして助けを呼ぼうを思ったけど、そんな勇気もなくて・・・。
「あっはっは!!こいつ、やっぱ倒れたぞ?」
「面白いや!もっと痛めつけて———」
「やめなさいよ」
そこで、ロクが立ち上がって男子達に向かって小さい言ったんです。
ロクはレトを男子達より遠くに離すと、きッと男子達を睨みました。
「何だよ、チビ」
「ふざけないでくれる?誰がレトを殴っていいって言ったの!」
「許可なんていらねぇだろ。お前もレトヴェールみたいにしてやろうか?あぁ?」
「・・・・これ以上・・・」
「聞こえないなぁ。もっと大きい声で————」
「これ以上レトを傷つけるならあんた達なんて絶対許さない!!」
「・・・言うね。どうすんだよ。そんな体で」
「あははははッ!!ありえねぇっつうの!」
「バカじゃねぇのこの餓鬼」
「レトヴェールも所詮はこういう奴だったんだよ」
「違う・・・」
「あぁ?」
「レトはそんな人じゃない!!」
ロクは遂に切れちゃって、そして、あの呪文を唱えた。
「次元の扉発動——————!!」
「な・・・、何だよそれ」
「どっかの真似事かぁ?」
「雷撃ーーーーーーーー!!」
ロクは右手を前に出して、自分の手から雷が出てきたのを感じました。
ロクの右手からは大きな雷の一つの塊が出てきて、それが男子達に命中。
ロクもきょとんとしていて、あたしも何が何だか分からなくなりました。
「え・・・・?」
「いでぇぇぇぇ!!」
「な、なんだこの餓鬼!!か、雷出てきたぞーーー!?」
「とりあえず逃げろーーー!」
ロクは自分の右手をずっと見ていましたけど、顔はすごく不思議そうな表情になっていました。
そこで、後ろで見ていたレトの目もすごく驚いていました。
「・・・え?」
「とりあえずやったぁ!」
「よ、良かったのか・・・?」
「レト立って!あたし勝ったよ!」
「あ、あぁ・・・・」
天才なレトでも、流石に次元技の事については何も分からなかったみたい。
一番不思議なのは、さっきまで戦ってボロボロになっていたロクがあんなに笑顔な事でした。
「家帰ろう。今日の事は転んだって言っておけばいいと思うから!」
「あ、あのさぁ」
「ん?」
「ありがとな、『ロク』」
「・・・へ?」
「ロクアンズ、じゃ長いだろ」
「・・・・うん、そうだね!」
それからレトとロクはそう呼び合うようになって、仲良くなったの。
それからもロクはいじめられ続けたんだけど、2人の仲を裂く人は誰もいませんでした。
「・・・へぇー・・・」
「はい、あたしもいじめられてたんですけど」
「キールアちゃんのも聞きたいな」
「はは、いいですよ」
「やった♪」
あたしの場合は、その後の事です。
あたしはいつも地味で、お母さんもお父さんも良く出かけてたから一人ぼっちでした。
たまに大事な物を川に落とされたり、無視されてたりしました。
あたしは弱虫で泣き虫だったから、友達なんていなかった。
「えぇー!?キールアちゃん弱虫だったの?」
「はい、今はそこまで弱虫じゃなくなりましたけど」
「いやー・・・、随分逞しくなったわね」
「よく言われますよ」
それであたしがいつも大事にしていた本を、クラスの子に川に落とされて、川の所で泣いてたんです。
ずっと本を探してて、でも見つからなくて、二度と見つからないんじゃないかって、不安でした。
それで泣いてたら、あたしの目の前に本がありました。
差し出してくれたんです、あの子が。
「これ、大事な物なんでしょ?」
「・・・え・・・・・」
「ねぇ、泣いてないで上を向きなよ」
「・・・・・」
「良かったらさ、あたしと友達にならない?」
ロクは笑顔であたしに手を差し伸べてくれました。
ロクにそう言われた時はすごく嬉しくて、泣いちゃって・・・。
ロクはびしょ濡れで笑ってて、あたしすぐに気が付きました。
あぁ、この子はあたしの本をこの広い川から探して拾ってきてくれたんだって。
「うん・・・、あ、りが・・・と・・・・」
「いいの?じゃああたしの事ロクって呼んで!」
「ロ、ク・・・?」
「うん、ロクアンズ・エポール略してロク!」
「あたし・・・、キールア・シーホリー」
「キールアかぁ、可愛い名前!」
ロクはあたしの名前を褒めてくれました。
ずっといじめられてきたあたしの名前を。
雨の中、あたしの本を広い川から拾ってきてくれたロクは、あたしにとって最高の友達でした。
ロクは雨の中、あたしの大事な物を探してくれた。
それだけで、あたしはロクの事を大好きになっていきました。
「すごいのね・・・、ロクって」
「はい、とても優しくて」
「それから3人の友情物語が始まったと」
「はは、そうですね」
夜の10時過ぎ。
キールアとフィラ副班は、キールアの昔話で盛り上がっていた。
ロクとレトが寝ている間にくしゃみをしていたのは言うまでもない。