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Re: 最強次元師!! ( No.268 )
日時: 2010/04/01 20:02
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)

第059次元 

 普通の学校の教室くらいあるこの部屋。
 いや、ここは教室だった。蛇梅隊本部内の。
 欠伸をしている次元師や普段着のままの次元師達がぞろぞろと入ってきた。

 「よし、全員そろったな」
 「班長ー、俺の席何処だっけ?」
 「わ、忘れたのかレト。お前は一番端だっただろうが」
 「あぁ、そっか」
 「班長ー、流石に一ヶ月に一回この部屋に来ると忘れます」
 「しょうがないなぁー・・・、んじゃあ机の上に名前でも彫っておくか!」
 「何で彫るんだよ」
 「なんか名前の紙でも貼ってればいいじゃん」

 ここは一ヶ月に一度、次元師達が次元技の事についてテストを行う教室。
 現在蛇梅隊の子供の次元師は7人いる。 
 その全員でテストを行う。
 と言っても、普通のペーパーテストだが。

 「んじゃあ先月のテストを返すぞー」
 「・・・・・」
 「何でそんなに親密な空気になるんだ」
 「だって班長絶対女子のテストひいきしてんじゃん」
 「してないぞー!いや、してるかも・・・」
 「「ふざけんな!!」」

 レトとラミアが席から立って班長に向かって大声で叱った。
 流石ロリコン。
 こういうテストでもひいきするのか。

 「大丈夫だ。今回は全くひいきしてないぞー」
 「証拠は?」
 「ん?実は採点中、真横にフィラがいたんだよ・・・」
 「あぁ、それじゃひいきは不可能っすね」
 「んじゃ返すぞ。まずは皆分かってるよなぁ?」
 「・・・・・・」
 「れ、レト・・・、100点」
 「やっぱレトちゃんすごーい♪」
 「レトは天才にも程があるな」
 「っていうかレト!そこはまだ教えてないぞ、何で分かった?」
 「昔、9歳くらいの時に本で」
 「・・・・・」

 レトは勉強好き、読書好きなため、どうしても頭が良くなってしまう。
 いつもテストで100点を取るのはレトだけだった。

 「んじゃあ次、98点のロクー」
 「「「え!?」」」
 「はーい」
 「ロクさんって、頭良かったんですね・・・」
 「ロクちゃん、いがーい」
 「一言余計だし、しかも何でレトと反応が違うの?」
 「だって、ねぇ・・・」
 「ロクさん、勉強してたんですね」
 「・・・・ロクアンズ、当てずっぽで答え書いたでしょ」
 「信用してくれないんだ・・・」

 皆が驚く理由が少し分かる。
 ロクはいつも行動が派手でどこからどう見てもバカキャラに見えるのだろう。
 ラミアがロクに対して疑いの眼差しをかけていた。
 この場でロクの点数に驚いたのはラミア、ガネスト、ルイル、ティリ、ミルのレト以外全員だった。
 レトは昔からロクと一緒だから知っていたのだろう。

 「次ー、89点ガネストー」
 「ガネストは優秀だもんね♪」
 「ガネストは、何か分かるな」
 「あたしは分からないってか」
 
 ロクがぼそっと呟いた。
 なんせガネストとレトと、反応が違うのだから。

 「85点、ティリー」
 「・・・・・」
 「あぁ、ティリもそんな感じする」
 「ティリちゃん頭いいもんねー♪」
 「何で8歳で85点が取れる・・・?」

 ロクが首を傾げた。
 いや、確実にロクの方がおかしいと思った人はこの場に何人いただろう。

 「んじゃ73点、ラミアー」
 「はーい」
 「ラミアさんは分かりますね、何か」
 「うん、73点って感じするもんね」
 「何だよそれ」
 「名づけて73点人間!!」
 「黙れロク。天才のくせに」
 「え、天才じゃ悪いんですか!?」
 「・・・お前、キャラ崩壊だろ、完璧」
 「あぁ、そう・・・・」
 「んじゃ次ミルー、68点だ」
 「はぁーい」
 「ミルちゃんも高得点だねぇ」
 「いや、高得点かなぁ?」
 「でも、入って間もないわりにはすごいんじゃん?」
 「レトが褒めてくれるならいいや♪」

 ミルがレトに抱きついた。
 レトは少し困った表情だったが、班長はすごく睨んでいた。
 
 (あのやろう・・・、あとで殺る!!)

 と、泣き目になりながらも心の中で呟いた。

 「最後はルイルだな。34点」
 「わぁ、前回より2点上がったよぉー!」
 
 ルイルが飛び跳ねながら喜ぶ。
 その光景は誰もが可愛いと思うだろう。

 「ルイルってさ」
 「ん?」
 「こう見れば可愛いよね」
 「少なくともロクよりは可愛いぞ?」
 「レト、殴らせてもらっていい?ねぇ?」
 「はいはい」
 「んじゃ全部返したからこれで解散な!」

 班長の一言で解散した皆はぞろぞろと揃って任務室へ向かった。
 ロクが椅子に腰をかけた時。
 またロクの頭をあの言葉が過ぎった。

 
 『助ケテ———・・・・・・・、アタシ、裏切リナンテ———————』


 (また・・・・?)
 
 ロクの頭に時々現れるこの言葉。
 誰の言葉か。どんな意味を表すのか。
 神族と戦って以来、何度も続いたこの苦痛。
 一体声の主は誰なのか。

 「・・・・」
 「ロク、ちょっと外へ出てみようぜ」
 「あ、あぁ、うん」
 「ちょっと街の人達の声も聞きたいね」
 「神族について?」
 「いや、妖精についてだ」 
 「そうだね」

 ロクとレトは任務室の後にして、外へ出かけようとした。
 玄関で色々な援助部員に出会い、礼をして出て行った。

 「なぁロク、誰が知ってると思う?」
 「んー・・・、やっぱ第一図書館にいた人達かなぁ」
 「あぁ、やっぱそう思うか?」
 「んじゃ行こー!」

 ロクとレトが外を歩いていると、一人の大きな男が見えた。
 瞳が赤く、金髪の男。
 レトが、その男とすれ違う時に顔を眺めていた。
 男は視線に気が付いたのか、レトを見下ろした。

 「・・あ・・・・」
 「お前・・・・、いや、何でもない・・・・」
 「・・・え・・・?」
 「どうしたの?レト、さっさと行こうよー!」
 「あ、あぁ・・・」

 男は何かいいかけて、そのまままっすぐに歩いていった。

 (何か・・・・、何かある気がする・・・)

 考え込んでいたレトを見てロクがレトの顔を覗きこんだ。

 「レートー・・・?」
 「うわぁ!おま、怖いな・・・・」
 「行くよ、ぼーっとなんかしてらんない!」
 「お、おう・・・」

 レトとロクは、街の中央を歩きながら、街の風景を楽しんでいた。
 レトは、ずっとあの男の事を、考えていた。