コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.274 )
- 日時: 2010/04/02 12:25
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第060次元 妖精の神
「・・・・さて、着いたな」
「んじゃまず聞いてみますか」
ロクとレトは第一図書館の中に入り、そこで働いている女性に声をかけた。
「あ、あのー・・・」
「はい、何でしょうか」
「千年前の神族の、妖精について知りたいんですけど・・・」
「あぁ、知ってますよ」
「「え」」
2人は声を合わせて驚いた。
昨日散々探した情報を、何故この人が?と思ったのだろう。
「え、と・・・」
「それに、その妖精についての情報ならあちらの本に」
「えぇぇ!?あったの!?」
「はい、一番奥の本棚に並べておいてあります」
「・・・・・・」
「あ、お気を悪くしたでしょうか・・・・」
「あーいや、いいよ、うん」
「ご親切にありがとうございました・・・」
ロクとレトの苦労は何だったのか。
昨日の13時間を返して欲しいと思っただろう。
「ん・・・、2冊あるな」
「あたしが右読むからレトは左読んで?」
「分かった。手分けして読もうか」
2人が椅子に腰をかけて1頁目をめくった。
それからもくもくと読み続ける事1時間。
分厚く小さな文字ばかり並べられていた本を、やっと読み終わった。
「・・・・どういうことだよ」
そこで、レトが小さく呟いた。
本に何か、書いてあったのだろう。
「・・・お前は?」
「あたしは妖精さんの生い立ち」
「俺は、その人の全てというか、活躍した事だそうだ」
「神族妖精の名前・・・・、『フェリー』だったんだ」
「しかも、フェリーには2つ名前があった」
「何で2つ目の名前が載ってないの?」
「こんなんじゃ、得した気分にもならねぇな」
レトとロクが最初に見つけたのは妖精の名前。
その名は『フェリー』。
だが、フェリーには2つ目の名前があった。
その名前が、まさか載ってないとは。
「あと他には?」
「あたしの所は、生い立ちだったけどやっぱり神族だからね。ちょっと・・・」
「ん?」
「神族は、母、つまりマザーの元から生まれるって書いてあった」
「マザー?」
「そう、神族の母、ゴッド・オブ・マザー。その人が神族を生み出し、再生させている元凶」
「でも、そのマザーって奴はこの世界には存在しないんだろ?」
「・・・・多分ね」
ロクが本から見つけ出したのは神族の母、ゴッド・オブ・マザーと呼ばれる存在。
その名の通り神族の母で、神族を生み出している元凶でもある。
さて、妖精の方がどうなったか。
2人ともその事についてはまだ名前しか言ってなかった。
「ロク、フェリーについてはどうだ」
「・・・フェリーは、戦争で唯一人間を護ろうとした、神族だって」
「あの文の通りだな」
「え?」
「お前が洞窟の中で発見した看板の文、覚えてるか?」
「え、と・・・」
人と神が交わる時
月が満ち やがて戦いは始まる
一人の神が人を護り
戦いは終焉を迎えた
しかし 神は護れなかった
己が一番愛した人間を
その者は心の神 妖精
この世はその者を裏切ったかのように
その者を死へと誘った
千年の時を超え
また妖精はこの世に君臨し
世界を 人を
護る事となるだろう
「・・・だった」
「よし、そこに出てきたのとやっと一致するな」
「妖精フェリーは人間を護ろうとしたんだよね」
「あぁ、だけど失敗して、戦争では結局神族の勝ちだったと」
「ん?待って、ちょっとおかしくない?」
「何処が?」
「あたしの本に、フェリーは処刑されたって書いてある」
「いつだ」
「0034年、12月25日に」
「なるほどな。今から997年前だな」
「となるとー、フェリーはその日に死んだと」
「千年前の戦争は、0033年に行われていて・・・・・」
「ってことはフェリーはその時死ななかったんだ」
「一年後に処刑された、という事だ」
「でも何で?フェリーは必死になって人間を護ったんじゃないの?」
ロクの言う事には一理あった。
フェリーは人間を護り、人間のために尽くし、生きてきた存在。
それが何故処刑されるか。
「人間と神は、関わっちゃいけないっていう掟があるだろ?」
「あ・・・・」
「それで、処刑されたんじゃないかな」
「でも酷いじゃん!何で人間を護ってきたのにその人間に殺されなきゃいけないの?」
「それが・・・、この世の一番の掟だからだ」
レトは、本をじっと睨んでいた。
千年前の戦争で人間を護る事ができなかったフェリーは、1年後、人間に処刑された。
あまりに酷い現実だった。
「ねぇ、レト」
「ん?何だよ双斬」
「僕達をずっと支えてくれたある人、ってね」
「その、フェリーさんだったんだよ」
「え?あぁそういえば雷皇達って千年前の・・・?」
「うん、僕達はフェリーさんと毎日毎日遊んでた」
「とっても楽しかったよ。戦争でも、一緒に戦った」
「でも・・・」
「でも?」
「フェリーさんは、戦争でたった一人残った」
「!?」
「他の次元師達は全員殺されて、僕達は元霊にされて」
「う・・・、そ・・・・」
「人間を護れなかったフェリーさんはそれで処刑された」
「それ以来、あたし達の街はどん底に落ちた。あたしは上から見る事しか、できなかった」
「フェリーさんの処刑からは残念ながら全然知らないや」
「力になれなくてごめんね?ロク」
「ううん、いっぱい教えてもらったから大丈夫だよ」
「さて、これからは複雑になりそうだな」
「うん、あたしも妖精について知りたいし」
「妖精フェリー・・・、どうして人間を護ろうと思ったんだろうな」
「まだまだ知らない事ばっかだね。これからはもっと分かるといいな」
「ってか眠いから帰ろうぜ。つうか気分わりぃ」
「あたしも、ちょっと頭痛いから帰ろうっと」
妖精フェリーの事について初めて知ったロクとレト。
フェリーが何故人間を護ったのか、それにどうして人間を護りきれなかったか、まだ分からない。
フェリーの事について知らない事もたくさんある中で、一つだけ分かったのが、
フェリーは、最も人間を愛していた、という事。
流石に千年前の事になると現在知らない人も多い。
手がかりも少ない。
だが、それでも今回の戦争までには見つけなければいけない。
フェリーの本当の真実を。
(何だろう、本を読んでる間すごく頭が痛かったな。やっぱ千年前の事になると気分悪いや)
ロクの頭痛も回数が増えていった。
レトも、帰る途中は一言も会話を出さなかった。
妖精の神族フェリー。
もしかしたら今現在、この世界に存在するのかもしれない。
いや、必ず存在する。
千年の時の時を超え、また妖精はこの世に君臨する。
その言葉が、本当ならば。