コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.298 )
- 日時: 2010/04/04 00:33
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 9H03YzTC)
第061次元 ペンダント
「んー・・・」
分厚い本を前に、図書室で腕を組み悩んでいる男が一人。
コールド副班だろう。
首を傾げ、何度も唸っている。
「どうしたんすか?コールド副班」
「あぁレト、ちょっとこの本を見てくれ」
「ん・・・」
レトがコールド班長の指差した本に目を向けた。
その本はいかにも古く、ところどころに傷もあり破れている所もあった。
何年前のものかも想像がつかない。
「何、これ・・・」
「本の倉庫から見つけた。かなり昔のものだな」
「本、ねぇ・・・、ちょっと読んでみていい?」
「いや、この本何故だか開かん。魔法でもかけてあるみたいにな」
コールド副班はさっきからそれを気になって本の前で悩んでいたのだ。
どうやらこの本は開かないらしい。
「ふーん、ん?ここに鍵穴があるな」
「あ、ホントだ。でも鍵なんて持ってないぞ?」
(ん・・・?まさか、この形・・・)
「・・・・、ちょっと待ってて」
レトは何か心当たりがあるのか図書室から出て、自室ではなくロクの部屋に向かった。
ドアを開けてもロクはいなかった。
任務室にでも行ったのだろう。
(昔ロクが俺と兄妹になった時から持ってたあのペンダント、何処だ)
レトが探していたのは、ロクのペンダントだった。
ロクが拾われた時、首にかけていた物。
鍵のような形をしていて先の方がハートの形になっている不思議なペンダントだった。
「お、あった」
レトはロクのベットの近くにあった小さな引き出しからペンダントを取り出した。
そして、それを右手に握って走って図書室に向かった。
「副班!!」
「うぉ!?レトか・・・。何なんだ、いきなり走り出して、青春か?」
「違うとだけ言っておこう。それらしき鍵を持ってきた」
「ほ、本当か!?」
「ちょっとやってみるか」
レトがペンダントを本に向け、鍵穴に差し込んだ。
すると、見事にかちゃっという音がなり、本が開くようになった。
「う、そだ、ろ・・・」
「そ、そのペンダントなんだ!?」
「いや、ロクの物だけど・・・」
「どうしてそのペンダントがこの本の鍵なんだ?」
「知らない。まずは読んでみようぜ」
レトが1頁目をぱらりとめくった。
だが、最初は何も書いてなく、ただ白紙になっていた。
「白紙かよ・・・」
「次をめくってみよう」
コールド副班に言われるがままに次の頁もめくった。
だが、そこにも何も書いていない。
レトが不思議になって全部の頁をぱらぱらとめくった。
しかし、何処にも何も書いていなかった。
「何だこの本、つまんねぇのー」
「いや、この本少しおかしい」
「へ?」
「この本、借りていいかな」
「いいと思うぞ?あ、もし何かあった時は俺が班長に言っとくさ」
「ありがとさん」
レトは急いで自室に戻った。
この本を、一体どうするのだろう。
(どっかに必ず秘密はある——————、絶対に見つけ出す)
レトが引き出しから眼鏡を取り、かけてベットに座り込んだ。
また本をめくり、1頁ずつ確認していく。
「おかしい・・・、何で何も書いてない本に鍵穴なんかあったんだ・・・?」
レトは、1日中その事について考え込みながら一生懸命秘密を探ろうとした。
何故このペンダントがこの本の鍵穴に入ったのか。
何故何も書いてないのか。
それが気になったのだろう。
(あれ、最後の頁だけ何か書いてあるな・・・・、【FERRY】・・・・!?フェリー!?)
最後の頁の端の方に書いてあったのは、【FERRY】という文字だった。
それがあのフェリーなのか、どうなのかは分からないが。
「何で。フェリーが・・・・」
(ますます分かんなくなってきたぜ・・・)
レトは白紙の紙を出して、必死になって考えた。
自分の考えた事をまとめるためだろう。
いつの間にか、もう夜は明けて朝になっていたとも気付かずに。