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- Re: 最強次元師!! ( No.346 )
- 日時: 2010/05/03 18:15
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 7hsLkTT7)
第068次元 千年に続く魔人Ⅲ
「あ・・・、はい」
「こんにちは、あの、村長さんですか?」
「いかにも、わしがガイルンの村長、ヒュウド・エイテルじゃ」
「あの・・・」
「分かっている。お前らがロクアンズとレトヴェールの義兄妹だろ?」
「!?」
「な、何で!?」
「何でも分かる。この泉が教えてくれるからの」
「い・・・、ずみ・・・」
頂上にいたのは、もう80は超えているであろう1人の老人。
松葉杖をつき、細くなった目をレトとロクに向けた。
「それで、任務の方をお受けしに参りました」
「ほほぉ、ありがたいなぁ。早速だが、あいつを再び封印してくれないかの」
「その、遺跡とやらは何処に?」
「この、泉の下じゃ」
「へ!?泉を泳ぐの?」
「そうではない。この泉に飛び込めば遺跡に辿り着く」
「はぁ・・・」
「あの、何故セルガドウラを知ってるのですか?」
「何故って、鬼人だぞ、セルガドウラは。誰もが知っておる」
「でも、千年前の奴です。何故?」
「・・・・・」
ヒュウド村長は言葉を失ったのか、口を閉じた。
そして、その細い目から静かに、涙を流したのだ。
「あいつは・・・・、千年前のセルガドウラでは・・・、ない・・・」
「え・・・、えぇぇ!?」
「どういう・・・?」
「セルガドウラは一度封印された。なのにもう一度甦る事は不可能なんじゃよ」
「という事は、誰かがセルガドウラに乗り移ったと?」
「わしの・・・、孫じゃ」
「!?」
「お、お孫さん・・・・?」
「孫は、セルガドウラの呪いに飲み込まれて、セルガドウラの中にいる。お願い・・・じゃ・・・」
「・・・・・」
「救ってくれ・・・、孫、いや、リルダを・・・・ッ!」
ヒュウド村長が、泣きながらそう言った。
千年前のセルガドウラが千年間眠り続け、もう1度甦りたいと願ったのだろう。
そして、村長の孫、リルダを自分の体に取り込みこの世に再び甦った。
セルガドウラが何故封印を解く事ができたのか、それは現代の力を体に取り込んだからなのか。
それなら全て合点がいく。
「・・・行くぞ、ロク」
「決まりだね!」
「やはり・・・、君達を見込んでよかった・・・・」
「必ずリルダは連れてくる!」
「んじゃ、行ってくるよ、村長さん」
「健闘を祈る・・・」
ヒュウド村長が何年もこの泉にいた理由。
それはきっと、いつか孫が帰ってくると信じていたからだろう。
その期待は、ロクとレトへと受け継がれた。
2人は帰ってくるだろうか。
「ロク、一緒に飛び込むぞ」
「うん!」
よくみれば透き通っていて、ゴミ一つない綺麗な泉だった。
泉を覗き込み、2人は一斉に飛び込んだ。
村長は、2人が消えていってもなお、泉を眺め続けた。
真っ暗な世界。
あの泉に入って何分か経った。
2人はどうしているのだろう。
「ん・・・・・」
レトが目を覚ましたようだ。
そう、2人はあの泉から落ちていたらしい。
ロクもレトも寝っ転がっている。
レトが上を向くと、泉はなかった。
どうやって繋がっているのだろうか。
「うぉ!?此処、遺跡か・・・?」
隣では気持ちよさそうにロクが眠っている。
口が大きく歪み、幸せそうだ。
「おい、起きろ」
「・・・・・・」
「起ーきーろー!」
「・・・ん・・・」
「起き・・・」
「うあ!」
「ぐぷッ!?」
ロクが左手で拳を作り、振り回した。
その時丁度レトの顔に直撃し、レトが倒れた。
ロクが目をこすり、むくっと起きた。
「うはぁー・・・、おぉ!?レトどうした!?」
「ロク・・・、いい度胸だなぁ?あ?」
「え?あ、あたし?」
「・・・・んで、着いたみたいだな」
「此処が・・・、遺跡かぁ・・・」
ロクは上を見上げた。
上からは一滴ずつ丁寧に水が零れ落ちてくる。
薄暗く、気味の悪い場所だ。
「なんか、変な感じー」
「遺跡だからな」
「んじゃ、進もうか」
ロクとレトは意思のままに歩き続けた。
だが、見えてくるのは同じ景色。
何処にも繋がってそうにない。
「・・・・・」
「なんか、何処いけばいいか分かんないな」
「めんどくさぁー」
ロクが姿勢を崩し、だらだらを歩き始めた。
見えるのは同じ景色。
果たして、2人は会う事ができるのか。
リルダ、いや、今のセルガドウラに。