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Re: 最強次元師!! ( No.353 )
日時: 2010/05/10 14:02
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 7hsLkTT7)

第070次元 千年に続く魔人Ⅴ

 大きな呻き声を上げたセルガドウラ。
 その声はこの洞窟さえも震え上がらせ、地震が起こったようになっている。
 口元が何か溶けるようにドロドロになっていて、でも口の形はちゃんと残されている。
 曲がった大きな角もその威厳さを見せ付けている。
 
 「で、でかいな・・・」
 「あ、来る!!」

 ロクがそう行った先には、セルガドウラが自分の体ほど大きな剣をレトに向かって振り下ろしてきた。
 その衝撃も並じゃない。
 一気にまわりが煙で覆われ、2人の姿も見えなくなった。

 「・・・っあぶねぇ・・・」
 「レト、いる?」
 「なんとか」
 「あいつ、攻撃力半端じゃないよ」
 「分かってる」

 セルガドウラは一度周りを見渡し、煙の中から出てきたレトを睨みつける。
 その時、隣にはロクの姿はない。
 セルガドウラは何か気付いたのか一瞬で振り向いた。

 「雷撃ーーーーッ!」

 ロクはセルガドウラの左斜め上から両手を突き出し構えていたのだ。
 だが、ロクの攻撃にセルガドウラが早く気付いたため、腕でその攻撃を防いでしまった。
 しかも、セルガドウラは巨体。
 ロクの攻撃が当たっても、くらうはずがない。

 「・・・・それだけか・・・?」
 「・・・くっ・・・」
 
 セルガドウラはまたしても大きく剣を振り上げ、ロクに向かって一直線に振り下ろした。
 そのスピードに避ける暇もなく、ロクに直撃してしまった。
 「ロク!!」
 「うあぁぁッ!!」
 
 叩きつけられた勢いとともに、ロクは地上へ落とされた。
 その衝撃はさっきとは違う。
 宙にいたロクに、大きく振り下ろした剣は、赤く染まっていた。

 「ロ・・・、ロク!!」
 「が・・・ぁ・・・っ」
 
 レトが急いでロクの元へ駆け寄った。
 ロクは膝をつき、左手で重心を支えていた。

 「ロク、大丈夫か!?」
 「へへ・・・・、まともに、くらったよ」
 「やばいな、あの瞬発力。気をつけねぇと」
 
 ロクは、なんとか起き上がって、隊服を脱いだ。
 普通のオレンジのTシャツに、下は半ズボン。
 腕を鳴らし、膝に手をつき口を歪ませる。

 「ど、どうした・・・?」
 「これからが、本番だいッ!!」
 「気合の入れなおしですか・・・」
 
 ロクは隊服を近くに脱ぎ捨て、腕をぶんぶん回した。
 セルガドウラは大きな巨体をこちらに向かせ、大きな口をあける。
 そして、あの剣をロクに向かって振り下ろす。
 だが、ロクはにやりと微笑み、見切ったかのように右へ避けた。
 ロクがべーっと舌を出し、笑うその姿がバカらしく思えたレトは一息ついた。

 (例え義理でもこれが妹なんてなぁ・・・・)

 次々にセルガドウラをおちょくっていくロクは女の子なんだろうか。

 (母さん・・・、間違えて男拾ってきたんじゃねぇの・・・?)

 毎日の食事の量、バカらしい行動の数々、戦いの最中に隊服を脱ぐというセンスのない行い。
 これは、女性と言って良いべきなのだろうか。

 「へっへーんだ、こっちおーいでー♪」
 「やめろよ・・・、お前いくつだ・・・・」
 「13!!」
 「・・・・分かってるんですか・・・」
 「!?」

 その時、突然セルガドウラが攻撃をやめた。
 なんとも不自然な行動にロクが驚く。
 セルガドウラは剣を落とし、今までになかった表情を向けた。

 「貴様・・・・まさか・・・・!?」
 「・・・・・?」



 「千年前の・・・・・街娘・・・・・、
                       『フェアリー・ロック』か・・・・!?」