コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.371 )
- 日時: 2010/05/18 21:26
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 7hsLkTT7)
第076次元 青き謎の師Ⅲ
「んじゃ始めようか」
「こんな水風船どうすんだよ」
「わーい水水ー♪」
外に出され、2人の手に水風船を置いた。
師匠はこれで修行すると言っているが・・・。
「これに力込めてみ」
「ん?げんりょくってやつ?」
「そうだ。元力はお前らの技の源。すっごく大事なものだ」
「よーし行くぞーッ」
ロクが手に力に入れ、元力を風船に注ぎ込んだ。
と、その瞬間。
「うわぁッ!?」
バンッという大きな音ともにロクの顔がびしょ濡れになってしまった。
水風船が割れてしまったのだろう。
「な・・・な・・・・!?」
「なにやってんだよロク」
「だ、だって力込めろって・・・ッ」
「制御だよ、制御」
「制御?」
「そうだ。その水風船が破裂せずに破る事ができれば制御可能という事」
「破裂せずにって・・・、それ、無理なんじゃねぇの?」
「まぁまぁ、お前らの元力次第だよ」
師匠はそう言い残して家の中に入っていった。
ロクは箱に入った新しい水風船を取り出した。
「こんなにいっぱい、どうやって作ったんだろう」
「しかも一夜で・・・」
「まぁ、やるか」
「破裂せずに、ねぇ・・・。元力の制御ってどうやってやるんだ?」
「わぁッ!?」
「・・・・、ロク、お前は少し頭を使え」
「だってー」
「むやみにやっても意味ないだろ?」
レトが考えているうちに既にロクが水風船を割ってしまった。
それも豪快に。
(元力が制御できないと、まともに技が出せないってわけか・・・・)
「ねぇねぇレト、もしかしてこの水風船少し普通のより軟らかいんじゃない?」
「へ?」
「さっきからずっとやってるけど、お祭りで売ってるやつより少し軟らかくて破裂しやすくなってる」
ロクの言葉にレトが固まって水風船を触ってみた。
だが、その変化は何も感じられない。
「レト言ったよね?『むやみにやっても意味ない』って」
「あ、あぁ・・・」
「経験から気付く事だってあるんじゃないかな、とあたしは思うよ?」
レトは思い切り何も考えず水風船に元力を注ぎ込んだ。
割れた瞬間、レトは何かに気付いたような顔になって、目をぱちぱちしながら驚いていた。
「でしょ?」
「ま、まじだ・・・・」
レトは水風船の重さと性質に気付き、ぽかんとしていた。
何より自分がロクの1歩先をいっていたのに、こういう行動的な部分はどうもロクに負けてしまう。
それが、性格の違いなのか観察力の違いなのかは分からないが。
「まずはやってみる・・・か。いいところに気付くじゃんロク」
「へへっ。さっさどんどんやろーッ」
(まさかロクに気付かされるとは・・・・、思ってもみなかったな)
はしゃぎながらびしょびしょに濡れていくロクを見て少し微笑むレト。
修行中でも戦闘中でも、
笑顔を忘れないのが大事な事だと、
そうロクは思っていたのだろう。
まぁ、流石に全身が濡れているロクを見て本物の馬鹿だとは思ったかもしれないが。