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- Re: 最強次元師!! ( No.377 )
- 日時: 2010/05/25 18:09
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: g5yX4cMd)
第077次元 青き謎の師Ⅳ
真っ赤に燃える夕日の下。
ロクとレトの汗と染み付いた水が光りの照り返しを受け光っている。
既に70は超えているであろう水風船が下に落ちていて、2人の息も上がっている。
朝の9時から初めて8時間。
夕方の5時になった。
「ちくしょう・・・、全然分かんねぇ」
「もう疲れたー・・・」
「お疲れお疲れーっ」
家の中から清清しく現れた師匠を睨む2人。
手には何やら飲み物が握られていた。
「師匠・・・・」
「それ、くれるんですか?」
「あぁいいぞー。そのかわり、これが幻覚か本物か見抜いたらなッ」
「・・・・・」
「何だその顔は」
「いや、随分と酷い事をする師匠だなと」
「まぁそう言うなよ。さぁ、どっちだ?」
レトとロクの前に飲み物を突き出し、見比べる2人。
だが、迷いもせずレトはすっと師匠の手から取り飲み始めた。
「な・・・・、え!?」
「レト、分かった、の・・・?」
「当たり前だろ。っていうか本物じゃなかったらただのいじめですから」
「あぁ、そう・・・・」
「疲れきった俺らに対し、幻覚の飲み物を出す酷い人間が何処にいるんだよ」
「そう言われてみればそうだね」
心理的理由を述べ、レトは飲み干し家へと入っていった。
師匠はため息をつき、ロクとともに家に入った。
「さぁ、見つけたかな?」
「何を」
「何をって・・・、水風船を破裂させずに破る方法さ」
「ぜんぜーん」
「そうか、んじゃまた明日頑張るんだな」
師匠の軽い言葉にいらつく2人。
8時間も頑張ったのにその台詞はないだろう、という視線を送っていた。
「元力か・・・」
「どうしたのさレト」
「いや、ひっかかってなぁ」
「元力の事?」
「あぁ、元力って力の源だろ?それをどう制御するんだろうなぁ」
「さぁ?一点に集中とかじゃない?」
「一点に集中?」
「ほら、よくやってんじゃん。力を集中させるーって」
「・・・・へぇ・・・」
レトとロクはもう疲れきっているのかうとうとしていて、欠伸をして布団に入り込んだ。
(一点に集中・・・か・・・)
レトが手で頭を支えるようにして上を見上げた。
何か考えようとしていたのだろう。
だが、睡魔に勝てずに眠ってしまった。
「やるぞー、ロク」
「はぁーい」
「頑張れなー、俺はちょっと出かけてくっから」
「「行ってらっしゃい」」
「おうよッ」
師匠、ルノスは満面の笑顔で家を出て行った。
レトとロクは早速水風船を片手に持つと、修行を始めた。
カラフルな水風船の詰まれたダンボールを横に、元力の修行に励む2人。
「・・・、一点ねぇ・・・」
「レト、まだ考えてたの?」
「あぁ、まぁな」
「あんま信じない方がいいよ?役に立たないし」
「んー・・・」
レトが眉間にしわを寄せ一生懸命になって考えていた。
その横で水浸しになるロク。
どちらも頑張っているようだ。
「あ」
レトが小さく何か言った。
紛れもなく何か分かったような顔をしている。
「どうしたの?」
「・・・・分かったかも」
「えぇーー!?」
「ちょっと貸して」
「い、いいけど」
ロクは手に持っていた水風船をレトに渡した。
レトは軽く深呼吸し、水風船を掌で挟み込むようにして持ち、一気に元力を注ぎ込んだ。
その時、ぷしゅー・・・っという音で、水風船が破れ、中から水が現れた。
「おう、出来た」
「えぇーー!?何でー!?」
「・・・そうか、そういう事ね」
「どういう事なの?ねぇってば」
レトは口元を歪ませた。
昨日1日かけて考え込んだ修行の秘密を、今この時分かったのだから。
ロクは、何が何だか分からないままおとおととレトのまわりを回っていた。