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- Re: 最強次元師!! ( No.378 )
- 日時: 2010/05/28 18:53
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: g5yX4cMd)
第078次元 青き謎の師Ⅴ
昼の少し過ぎ、師匠が家に戻ってきた。
修行もしないで遊んでいる2人を見て驚いている。
「修行は・・・、どうしたんだ?」
「あ、おかえり」
「おかえり師匠ーっ」
「質問に答えて欲しいんだがね」
「あぁ、終わったぞ」
「はぁ!?」
「んじゃ今から見せるからちょっと待って下さいよ師匠ー」
レトののろけた言葉に腰をぬかす師匠。
師匠はもう驚く事しかできなかった。
「んじゃあ見ててくださいね、師匠」
「あ、あぁ・・・」
レトは深呼吸をして一気に水風船に元力を含ませた。
すると、先程のように水風船が破れ、中から水が零れ落ちた。
「おぉー・・・、よく出来たなぁ」
「まず、元力は力の源。まぁ言わば心の可能性と言いますか」
「心の可能性ねぇ・・・」
「元力は無限大じゃない。それは知っていますが、何故水風船を破る事ができたかと言うと・・・」
レトが外の水道から手に水を汲み、師匠とロクの元へ持って行った。
師匠がごくりと息を飲むと同時にレトが深呼吸をする。
「行きますよ」
レトの一言で、レトは水に元力を含み、一気に弾けさせた。
師匠は言葉も出ずに驚いていたが、レトは微笑み、ロクは飛び跳ねていた。
「と、言うと?」
「そう、この水風船の中に入っている水だけに圧縮した元力を注ぎ込み、割ったわけ」
「なるほどねぇ・・・、良く分かったなぁ」
「元力を制御するには、ロクみたいに元力が馬鹿でかいと難しいんだ」
「馬鹿でかいって何さー」
「だから、どうするか考えたんだけど、やっぱ元力は縮めて圧縮した方がよく強さも増すかと」
「ほほぉ、間違ってはいないな」
「元力は次元師が技を出す時にの、いわば交換条件の源です。
元力を一点に集中させて強さを増すにはこうするしかないし、制御せずに元力を使うのは危ない」
「つまり、元力がどれだけ多くても、必ず制御できる段階まで圧縮して攻撃しないと拙いって事っ!」
「・・・・んじゃあこれはできるかな?」
「「?」」
師匠が水風船を取り出し、上にひょいっと投げた。
そして、腕を上に上げ一瞬だけ力を込めると、落ちてきた水風船は割れていた。
「えぇーー!?」
「な、何だこれ・・・」
「水風船の中に元力を入れるというのは手の上だけじゃないぞ?」
「な、何・・・?まさか空気中に元力を放出して割れと・・・?」
「そゆことー♪」
「「そゆことー、じゃないッッ!」」
師匠が盛大に笑っている時、レトとロクはもうキレる寸前まで来ていた。
まさかそんな上級な修行をさせられるとは。
「嘘だよ。これはやんなくていいや。プロ級だし。俺は単に『両次元』をやりたかっただけさ」
「両次元?」
「お前らにゃまだ早いよ。もっと次元技がまともになったらな」
「ちぇー」
「両次元って何なんだ?」
「ん、これはプロの次元師でも不可能に近い奇跡の技さ」
「奇跡?」
「そんなに難しいのか?」
「難しいなんてレベルじゃない。もう無理の領域だよ、両次元は。
お互いを本当に心から信じ合った者同士でしかできない超難関な最強技、それが両次元」
「両次元っつう事は、2人って事か・・・」
「まぁその上もある。その上は『複次元』。多数の人間がやる神業だな」
「か、神業・・・」
「複次元って成功した奴いんの?」
「この世ではまだ発見されてねぇ。そんな最強技誰ができるっつうだろうね」
師匠が空を仰ぐようにして雲を見つめていた。
遠い、何もない真っ白な雲を。
「さぁ、んなこた放っておいて家入るぞ。修行は続くから覚悟しとけよー?」
「「はーい」」
未知の領域にある『両次元』と『複次元』。
その技はこの世で神業、とまで言われている難関、なおかつ最強の技。
両次元は千年前、2人の勇者が行ったとされているが、まだ複次元は発見されていない。
ただ、千年前の人物の2人以外誰にも出来なかったため、今ではそんな技に挑戦する者もいない。
『お互いを心から信じあえる者同士』。
それが両次元の条件である。
お互いを信じる事のできない人間に両次元は不可能とされているのだろう。
ただ、ロクとレトは悲しい瞳を浮かべた師匠の顔で、何か不自然な想いを抱いていた。