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Re: 最強次元師!! ( No.385 )
日時: 2010/09/09 17:21
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第081次元 青き謎の師Ⅷ

 ド———ド——・・・・・・ン。

 6月23日、天気、雨。
 今日、『メルドルギース第二戦争』というものが行われた。
 俺らのような実験体はこの戦争に無理やり引きずり出された。
 メルドルギースというのは、メルギースとドルギースという国が戦争を起こす時の名称。
 俺達は運悪くメルギースの研究所にいたため、戦争に参加する事になった。

 「ちくしょう・・・、戦えるわけねぇじゃねぇか・・・」
 「しょうがねぇ、とりあえず俺らは生き残る事を優先に行動しよう。クリナは此処にいろよ?」
 「え?何で?」
 「女の子を戦争に出す何ざ俺達紳士は許さねぇのー」
 「紳士じゃないぞ」
 「まぁまぁ、とりあえずクリナは安全な木陰とかに隠れてろよ?」
 「うん・・・、でも2人は?」
 「俺らはしょうがねぇから行ってくらぁ。生きてたら戻ってくるさ」
 「あ、ありがとう、2人とも」
 「「どうも」」

 俺とギアスは走って戦場へと向かった。
 絶対、絶対生きて帰るんだと心に約束しながら。

 「さて、どうする?ルノス」
 「どうするって・・・、とりあえず逃げなきゃ始まんねぇじゃん」
 「んー、お前は元々次元師なんだし、かっ飛ばしゃいいだろ?」
 「ばかやろー、そんなに元力使ったら俺死ぬし」
 「・・・・そか。んじゃとりあえず逃げて、戦えそうな奴がいれば叩きのめすッ!」
 「そうするか」

 悪魔で俺達はまだ子供。
 大人の戦争に紛れる年齢でも、強さでもない。
 それでも、俺達は一生懸命に戦った。
 元力が、尽きるまで。

 「はぁ・・・、はぁ・・・、そろそろ休むか。さっきの戦闘は、ちょいキツかったし」
 「だな・・・、ちょうどいいからあの木陰に——————」

 と、俺が言いかけた瞬間。
 俺の肩を、誰かがとんとん、と叩いた。

 「ッ!?」

 俺が驚いて振り返った時、そこには俺達の仲間がいた。
 その仲間の名前は『ドリー』。
 大型のちょっと顔の怖い奴だった。

 「なんだよ驚かせんなよー・・・」
 「わりぃわりぃ、1人じゃ心細くて」
 「そうだったのか、んじゃあ俺達と一緒に———————」

 ザク—————————ッッ!!

 ギアスが笑顔でドリーに話しかけた瞬間。

 「ギアスッッ!?」
 
 ドリーは肩に大きな包丁を持っていて、舌で卑しそうにぺろりと舐めた。
 ギアスは、横腹を支えながら倒れていった。
 
 「お前・・・、何すんだよッ!!」
 「何って、殺しただけさ」
 「何でって聞いてんだよッ!!」
 「理由は1つ、俺がドルギースの人間だからだよぉッッ!」
 「・・・なん・・、だと・・・?」

 何で、何で・・・ッ・・・!?

 「戦えよルノス、俺はお前と戦いに来たんだ」
 「ふざけるな。誰がお前なんかと・・・ッ!!」
 「なら、秘密を教えてやってもいいんだけどなぁ?」
 
 ひみ・・・、つ・・・?

 「な・・・」
 「やっぱり気になるのか。ギアスの事だよ」
 「ッ!?」
 「あいつ、実は人間じゃないんだよ」

 ・・・・は・・・・・?

 「は・・・?」
 「あいつはあの研究員達が作った、人造人間なんだ。人間じゃねぇんだよ」

 何・・・、言ってんだよ・・・、こいつ・・・。

 「・・・・・」
 「あいつは、人間の友達なんて1人もいなかったんだよッッ!」
 「クリナは・・・・、人間じゃないのか・・?」
 「合成人間。クリナは人間と機械を混ぜ合わせた不完全体次元師だ」
 
 何を・・・、言ってるんだこいつは・・・・。

 「クリナもギアスも、人間なんかじゃねぇ、ただの機か・・・——————」

 機械・・・・?

 誰が・・・・・・。

 ギアスは・・・、ギアスは人間だッッ!!


 「第五次元発動ッッ!!」
 「ッ!?」
 「幻覚夢想ッッ!」
 
 俺は幻覚の夢を見せる技、『幻覚夢想』をあいつにかけた。

 「な、何しやが・・・ッ!?」
 
 俺は走った。
 雨の中、ギアスを背負って。
 どんなに息が切れても、
 どんなに怪我が痛くても、
 それでも俺は走った。

 例え、本当にギアスが人間じゃなくても。


 暗く細い道。
 俺はその先の小川を乗り越え、広場に出た。
 
 そこでギアスを横にして、口に水を含んでやった。
 ギアスの傷はとても深い。 
 どうこうできる問題じゃ・・・・。

 「ル・・・ノス・・・?」

 ッ!?

 「ギアス・・・?、ギアス!!」
 「此処、広場か・・・?」
 「あぁ、良かった、良かったよ」
 「・・・・わりぃ、な」
 「・・・?」
 「俺、人間じゃないんだ」
 「嘘だろ・・・?」
 「嘘じゃねぇよ、人造人間っていう人が造った・・・」
 「嘘だッ!!お前は、俺の友達だろ?仲間だろ?冗談やめろよ・・・、ギアス・・・ッ!」
 
 どうしても現実と夢を区別できなかった。

 誰が?誰が人間で誰が機械なんだよ。

 誰が・・・・、ギアス?ギアスは違うッッ!

 いつの間にか、俺は泣いてた。
 雨じゃない。
 目から零れ落ちる、涙。

 「ごめん、ホントごめん。でも、許してくれるか・・・・?」
 「そんな・・・・、ギア・・・」
 「俺、もう動けないみたいなんだ。さっきの攻撃が丁度核に当たってな」
 「分かった、すぐ研究所に戻るから、絶対まだ間に合うからッ!」
 
 俺がそう言っても、ギアスは優しい笑顔で首を横に振った。
 
 「ありがとな。俺はそういう人間の友達が欲しかったんだ」
 「ふざけんなよ・・・、お前も、人間だろ・・・・?」
 「もう俺の体は動かないし、あと数分で壊れる。そこで、親友のお前に頼みたい」
 「・・・?」
 「俺を、壊してくれ」

 ・・・・は?

 「何・・・、だよ・・・それ・・・・」
 「お前の手で俺を壊してほしい。どうせ壊れるなら親友のお前の手で・・・」
 「無理・・・、だよ・・・」
 「え・・・」
 「お前を壊すなんて、俺にはできないッッ!」
 「でも、お前じゃないきゃ嫌なんだ、お願いだ・・・、ルノス・・・」
 「・・・・・ッッ!!」

 誰がこんな結末望んだんだ?
 誰がギアスを造ったんだ?

 どうせ別れる事になるなら、

 いっその事出会いたくなかったよ。

 「ルノス・・・・」

 お前を、ギアスを、
 俺が壊すのはできない。

 例え親友でも、戦友でも、

 ギアスをこの手で、俺の手で、

 壊ス事ハデキナイ————————。