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- Re: 最強次元師!! ( No.388 )
- 日時: 2010/06/22 19:10
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第082次元 青き謎の師Ⅸ
隣の町で響く発砲の音、金属音、
何もかも俺の耳には聞こえなかった。
聞こえるのは、雨の音だけ。
「・・・ルノス」
「・・・・」
「なぁルノス、覚えてるか?」
・・・・・・・。
「半年くらい前に、俺達『両次元』の特訓したよな」
「・・・ッ」
「やっぱ千年間も誰一人として成功しなかった技を、俺達はできないんだな」
「ギアス・・・」
半年くらい前。
ギアスと俺はひょんなところから両次元を知った。
千年前に、2人の勇者が完成させた最強の技。
それ以降千年間、誰一人として成功しなかった。
それを俺とギアスは、何度も何度も挑戦して、成功させようと思ったんだが、
なかなか上手くいかなかったんだ。
「でも・・・、そんなの・・・・」
「もしもさぁ」
「・・・?」
「もしも、お前の仲間に次元師ができたらとことん教えてやれよ、俺達ができなかった両次元を」
「できるわけねぇだろ?俺とギアスが出来なかったんだぞ・・・?」
「そんなの、そいつら次第だ・・・」
ギアスは弱った声でかすれかすれにそう言った。
「ごはぁッッ!!」
ギアスはもう動かない体を必死に抑えていた。
体内の何処かが傷つき、完全に動けなくなってしまったんだろうな。
「もう・・・、時間がねぇ。早く・・・、れを・・・」
「なぁ、ギアス」
「・・・・・?」
「俺達、また会えるよな?」
俺は小さく笑い、そう言った。
ギアスは、笑顔で頷いた。
「もちろんだ・・・、ルノス。だって俺達は・・・・・」
「・・・・友達、だもんな?」
俺は手を構え、ギアスを地面へと寝かせた。
溢れる涙は止められなかった。
「第八次元発動——————」
俺は次元唱もなく、ギアスに手を翳した。
この現実は、
俺の作った幻覚ではないだろうか—————?
そう、何度も何度も思って
何度も何度も、苦しんできた。
現実から目を背ける事ができないのなら
その現実を、真正面から受け止めてやる。
そうだろう?
「ギ・・・・アス・・・—————————」
カ・・・—————ッッ!!
「幻夢移思同——————ッッ!!」
俺はもう、ギアスに何も、何もできなかった。
「あ・・・・がと・・・・な—————」
ギアスの最後の言葉は耳に透き通るように入っていった。
そして、ギアスは消えていった。
俺の幻覚の世界に。
ギアスがこの世にいた証くらい、俺は欲しかった。
何度も願ったよ
違う未来 違う現実
でもこれが現実だよな?ギアス
変えられなかった
何もできなかったんだよ、俺は・・・—————
「うああぁあああぁぁああぁぁああぁああッッ!!!」
雨の中。
俺は必死になって、声が嗄れるまで、
今までにないほど、泣き叫んだ。