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- Re: 最強次元師!! ( No.391 )
- 日時: 2010/06/22 20:55
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第083次元 青き謎の師Ⅹ
「・・・そんな・・・」
「研究所・・・」
「・・・まぁ、そんな昔の事、今更悔やんでる自分が情けないけどな」
ルノスは膝を地面につけ、昔話を語り終えた。
一番の親友であり、戦友であるギアス。
その悲しげな存在に、ルノスがどれだけ涙を流したのだろうか。
「・・・そろそろ来る、気をつけろよ?」
ルノスがそう言った瞬間、水玉から男から弾けるように出てきた。
「・・・お前・・・、よくも・・・ッッ!」
「やっとお出ましか・・・、待ってたぜ?」
「落ち零れが、逃げた癖に」
「ッッ!」
ルノスは腕を構え、一瞬にして男、いや、ドリーの懐に入った。
「ッ!?」
「聴元ッ!」
次元唱も唱えずに、男に幻覚をかける。
だが、男は顔を抑えるふりをして、にやりと笑った。
「・・・!?」
「甘いぜ?ルノス」
ザン————————ッッ!!!
「ぐはぁッッ!」
ドリーの持つ大きな包丁で、ルノスの横腹を豪快に切った。
「師匠ッ!!」
「今助けま・・・——————」
「来る・・・な・・・」
「「ッ!?」」
「これは・・・、俺とあいつの問題だ・・・。お前らは、手出すなよ・・・?」
ルノスは途切れ途切れにそう言った。
「死にそうになりやがって。んじゃあ行こうかな?」
「・・・ッ!?」
ドリーはルノスを避け、ロクとレトの元へ走った。
「えッ!?」
「さぁ、お前の大事なもの、また護れるかよ?」
(あいつ・・・、ロクとレトを・・・ッッ!?)
「くそ・・・——————ッッ!」
ザク—————————ッッッ!!!
ロクとレトはゆっくり目を開けた。
だが、ロクもレトも、無傷だったのだ。
「う・・・そ・・・・・?」
「一体・・・・ッ!?」
レトが下に目をやった時、
地面の草が、赤く染まっていたのに気付いた。
「ッッ!?」
「し・・・しょ・・・・」
地面で横になっていたのは、紛れもなくルノスだった。
「師匠・・・、師匠ッッ!?」
「はは・・・・、また・・・・怪我が・・・」
ルノスは弱った体で一生懸命に喋る。
まるで・・・、あの時のギアスのように。
「・・・・もう、後戻りはできねぇ、な?」
「何言って・・・ッ!」
「お前らに託すよ、俺らの『夢』」
「ゆ・・・、め・・・?」
「俺達ができなかった、『両次元』、お前らに託すって・・・・、言ってんだよ」
ルノスは軽く血を吐き、よろよろと立ち始めた。
「し・・・ッ!」
「心配すんな・・・、護ってやるよ、全力で」
「しけた事してくれるな?ルノス」
「しけだろうが、うけだろうが・・・、俺は護るぞ。自分にとって・・・大切な奴くらいな」
ルノスは腕を構え始めた。
傷ついた、ボロボロの体になってまで。
「第、九次元発動・・・・」
「きゅ、九ッ!?」
「なん・・・だと・・・!?」
ルノスの目には、何故か涙のようなものも見えた。
何か、思い出しているのだろうか。
「俺だけ倒そうったって、無理なんだよッ!!」
「誰がいつそんな事言った?」
「何・・・?」
「お前と俺で、2人一緒に死ぬんだよ」
「何だとッ!?」
「・・・・今すぐにでも行ってやるよ、ギアス」
そう、ルノスの独り言が聞こえた。
「幻夢、移思同——————————ッッ!!」
あの時と同じ技で、あの時と同じ風景を見せた。
眩い光りと共に、一気に2人は消えて行った。
ふと、こんな声も聞こえた、
『今まで、本当にありがとな・・・・————————』
と。
小さく、囁くような1言。
その言葉は、幻覚と共に、一瞬にして消えた。
「師、匠・・・・・」
「嘘・・・だろ?」
「これ・・・、師匠の幻覚じゃないの?」
「俺達に、また修行を・・・・」
レトの声も、ロクの声も、
潤んだ瞳によって途中で掻き消された。
一瞬の瞬きも許さなかったこの瞬間で、
ルノスは消えていった。
自分の幻覚の世界へ。
「し・・・、うああああぁああぁあッ!!」
「何で・・・、こんな・・・・・」
ロクは耐える事もできずに、泣き出してしまった。
ギアスを失った時のルノスの気持ちも、
こういうものだったのだろうか?
例えそうなら、どうなっていただろうか。
今のレトとロクの気持ちは、
昔のルノスと同じであると、
そう、現実は物語っていた。