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- Re: 最強次元師!! ( No.399 )
- 日時: 2010/06/28 20:50
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第085次元 千年に続く魔人Ⅹ
すると、すごい勢いで2人の手の間から光りが零れだした。
「な・・・、何だッ!?」
「何・・・これ・・・・」
その光りは瞬く間にレトの体を包みだした。
ロクは、その姿に呆然としていた。
「・・・行くぞ、ロク」
「う、うん」
2人は呼吸を合わせてまた大きく叫んだ。
「「雷斬——————ッッ!!」」
“雷斬”と呼ばれたその技の名を叫び、ロクは力が抜けたかのように地面に座り込んでしまった。
雷斬は、どうやら雷を帯びていて、普通の双斬とは何かが違った。
「・・・へ?」
「どうやら、俺の番らしいな」
「何だと・・・、両次元ッ!?」
セルガドウラは目をまんまるにして驚いた。
「千年間も誰1人として成功しなかった両次元を・・・、何故ッ!?」
「それはずばり、あれだな」
「うん、あれだね」
「・・・・?」
「「愛ッ!!」」
馬鹿っぽく叫んだつもりだった2人の姿を見てセルガドウラが呆れ顔。
何で、こんな2人に出来たのだろうと不安でしょうがないのだろう。
「んじゃ、行きますか」
「いってら〜」
「・・・・ッ!?」
「雷斬りーーーーッ!!」
レトが雷の帯びた双剣を横に振るった。
すると、そこから弧を描くようにして雷が飛び出した。
「ぐあああぁぁああッ!!」
「お、おぉー・・・」
「す、すごい・・・・」
雷斬りは見事にセルガドウラの腹部に命中し、セルガドウラは倒れてしまった。
「貴様・・・・らぁッ!!」
「やっべ、怒らせちった」
「責任取ればかやろー」
「ロク、お黙りなさい」
「な・・・、なんという口調・・・!?」
レト、セルガドウラの目の前から一気に駆け抜け、背後にまわった。
セルガドウラも少し戸惑い、懸命にレトを探している。
「こっちだぞー?」
「・・・・なッ!?」
「八斬切りーーーーッッ!」
八斬切りはセルガドウラの背中にヒット。
見事な早業だ。
「うっしゃ、命中ッ」
「速い・・・、何故・・、だ・・・」
「俺達が何で両次元できたかなんて知らないけど、とりあえずセーフだな」
「本当だよねー・・・」
レトの異様な足の速さにセルガドウラも流石に驚いてるようだ。
多分、キラーとの戦いで強くなったのだろう。
「なぁセルガドウラ、そろそろ中にいる子供、出してくれない?」
「出してたまるか・・・ッ!やっと手に入れた魂なんだッッ!!」
「何のために、千年間生きてきたんだ?」
レトは、セルガドウラに問い詰めるようにして話し始めた。
雷斬も、手を下ろしているかめに使わない気だろう。
「何、だと・・・?」
「今まで、何で生きてきたんだ?」
「そんなの、死ねなかったからに決まっているだろう?我は封印されていたのだ・・・」
「その封印、解こうと思えば解けるだろ?何でそうしなかった?」
セルガドウラの口が、その一言によって閉ざされた。
「・・・何でだよ」
「我は千年間、この泉の下でずっと眠り続けてきた。そうすれば、いつか会えると思っていた」
「いつか?」
「人間によって処刑されてしまった、あいつに」
「ま、さか・・・」
「我はフェアリーの笑顔が誰より好きだった。もう千年間も待ったんだ、あの日から」
「あの日?」
「フェアリーは、処刑される前日、我にこう言った」
『またいつか会おうね。絶対に約束、だよ?』
「と。だから、まだ我は待つ、千年経った今でも、この、この土地で」
「そうか・・・、それで・・・」
「ねぇ、セルガドウラ」
「・・・何だ?」
「その約束、あたしが果たしてあげる」
「はぁ!?」
「何、だと・・・?」
「いつか、何年経っても、あんたの目の前にフェリーを連れてきてあげる、約束ッ!」
ロクは、笑顔で小指を差し出した。
セルガドウラは、いつかこんな笑顔を見た事があると、呟いた。
「・・・・その笑顔、そっくりだな、フェアリーに」
「へ?」
「澄んだ汚れのない緑色の髪。首にかけていた何よりも輝いていたペンダント、そして・・・」
「・・・・?」
「誰にも負けない、優しく偽りなき笑顔」
セルガドウラは、さっきまでレトに殺気を向けていたが、今では優しい表情になっていた。
(そして何より、その台詞————————)
「セルガドウラッ!!」
「・・・?」
『絶対に約束、だよ?』
フェリーの台詞を、ロクが告げた。
千年も待っていた、心優しき魔人に。
「そうか・・・、では、破るでないぞ?名も知れぬ娘よ・・・」
「うんッ!!」
「それでは、魂だけでもここに残そう。子供の若き魂は返す」
「ありがとうーッ!」
セルガドウラの体から、す・・・っと子供が出てきた。
セルガドウラは眠るようにして、目を瞑っていった。
(ありがとうな・・・—————————、心優しき人間の娘よ)
「ん・・・ぁ・・・?」
「お、目覚めたか」
「良かったーっ」
「此処、ど、ど何処ですかッ!?」
「洞窟だ。よかったなぁ、無事で」
「た、助けてくれたんですか・・・?」
「あぁ、それが任務だし」
「まぁお礼なんぞいらんぞよ」
「お前が言うな」
レトとロクは、リルダという少年を助け出した。
くるくる天然パーマにおどおどとした性格、まるで女の子のようだ。
「あ、ありがとうございますっ!」
「でも、こっからどうやって出るかなー・・・」
「横に道でもないの?」
「さっき見たら俺らの戦闘のせいで崩れてた」
「あ」
「あ、大丈夫ですよ」
「「?」」
「僕が、出してあげますっ!」
リルダは、まるで少女のような可愛い笑顔で微笑んだ。
・・・何でレトとロクが両次元を成功させたのか、分からない気もしない。
何故なら2人は、成功させたい気持ちより、2人が義理の兄妹という事以外考えてなかったからなのだ。
もし、何にも考えてなく、成功ばかり考えていたなら、きっと成功などしなかった。
だが2人は千年の長き時の渡りにつれ、その神業を成功させてしまったのだ。
ゆるく、お互いを強く思うという曖昧に繋がった絆で。