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- Re: 最強次元師!! ( No.403 )
- 日時: 2010/06/30 17:01
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第087次元 小さな強き約束Ⅱ
「リルダ——————ッッ!!」
飛び込む水の音と一緒に聞こえた聞きなれた声。
お母、さん・・・?
・・・、あれ・・・?
僕、今・・・・。
「リルダ、良かったぁ・・・」
お母さん・・・?
「お母、さん・・・」
「もう、川なんかに飛び込んだら、風邪ひいちゃうわよ?」
「え・・・・」
「・・・強いとか、弱いとか、ごめんね?リルダ」
「・・・・・」
「お母さんが悪かったわ。強くなれ、だなんて・・・」
「お母さん・・・」
「リルダはね、弱くてもいいのよ。それでも、リルダには優しい気持ちがあるでしょ?」
「優しい、気持ち?」
「誰よりも強いっていうのは、力なんかじゃないわ。気持ちの問題」
「気持ちの・・・、問題・・・」
「強くなろうっていうリルダの強い心、お母さんちゃーんと分かってるから」
「お母・・・、さ・・・・」
「大丈夫、リルダは強い。リルダがまたいじめられても、お母さん絶対守ってあげるからね」
お母さんは、悪くなかった・・・—————、
それなのに・・・・、僕・・・。
「うわぁああああぁあああああぁあんッ!!」
「よく、強くなろうと心がけたね。リルダは強い子だよ・・・?」
お母さんはそう言って優しく抱きしめてくれた。
今まで1番悪かったのは自分なんだ。
自分が弱いのを生まれつきのせいにして、
僕、ちゃんと分かってなかった。
お母さんの方が、よっぽど強い人だ・・・。
「さぁ、家に帰ろう?何が良い?」
「カレーライスがいいなぁ」
「そう、じゃあ腕によりかけちゃおうかなぁ?」
「ありがとう!」
優しくて、誰より強いお母さん。
僕の憧れで、僕が世界で1番大好きな人・・・。
「お母・・・さん・・・・?」
僕が本当に強くなろうって、決意した次の日だった。
お母さんは、死んだ。
朝に家に泥棒が入ってきたのも知らないで、僕は寝てた。
何も、何も・・・。
「僕、だって泥棒なんて・・・」
「君、さっきの女の人の子供?」
「あぁ、はい・・・」
「良かったねー、家にいなかったの?」
「いました、僕、いました!!」
「え・・・、じゃあ・・・」
「あの女、言わなかったんだよ」
泥・・・、棒・・・・。
「こんな餓鬼が家にいるなんて、言わなかったんだよ!!」
う、そ・・・だ・・・・。
「嘘だぁッ!!」
「嘘じゃねぇ、いくら叩いても言わねぇから、殺したんだよ。そしたら察の野郎が・・・」
「行くぞ、もう時間だ」
「覚えてやがれ、小僧ッ!!」
お母さんは言わなかったんだ、
僕が家にいた事すら・・・、
僕を、護るため・・・・?
『お母さん絶対護ってあげるからね?』
嘘だ・・・、嘘だ・・・。
だって僕、強くなろうって・・・、なろうって・・・。
護れなかった、何1つとして。
大好きなお母さんも、その家も、
弱い自分、そのものさえ。
お母さんは、護ってくれたんだ。
僕を・・・、僕を・・・・、
「嫌だよ・・・・、1人にしないでッ!!」
お母さん・・・・、お母さん・・・——————ッッ!!
僕は、その時に次元技が使えるようになったとも知らずに、ふらふらと歩いてた。
昨日の川、
家の中、
どんなに寒くても、
もう、変えられない事実、現実。
その日から僕は決意の気持ちさえ忘れて、
ただ、何となく、
あの日の事がなかったかのように
静かに暮らしていた。