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Re: 最強次元師!! ( No.41 )
日時: 2010/01/24 22:22
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: Nct0nxVL)

番外編 キールアの想い

 「ねぇレト、一緒に買い物に行かない?」

 キールア・シーホリーはレトに話しかけた。
 そのキラキラした目に負け、レトは一息つく。

 「分かったよ。丁度俺も出かける予定だったし」
 「ありがとう〜」
 
 キールアの思わぬ笑顔に、レトが頬を赤く染める。
 そして、そっぽを向いて他愛のない返事を返した。

 「・・・・別に」
             *

 「いっぱい売ってるね〜」
 「だな」

 あまり町に出てなかったレトは、驚いた。
 笑顔と人が溢れていたのだ。
 その光景は、すごく暖かく、今までの戦闘の日々を忘れさせてくれる。

 「良い、町だな」
 「だよね。ねぇレト、夕飯何がいい?」
 「別に何でも良いけど」
 「いいから、レトの好きな食べ物にしてあげるよ」
 「そういわれてもなぁ〜」

 とレトが言った瞬間だった。

 「キャーッ!あの金髪の男の子、かっこいい〜!」
 「本当に美形ね〜。こっち向いてー!」
 
 レトのまわりにはいつの間にか大勢の人々が・・・。
 一気に囲まれてしまったレトは、慌てながらあたりを見回す。
 そう、レトは結構モテる方なのだ。
 金髪で後ろに髪をしばってあり、顔つきは結構かっこいいとか・・・。
 蛇梅隊でも人気の方。
 でも、皆レトに近づけない。
 あの妹がいるから。

 「あ、え、えと・・・」
 「握手してー!」
 「名前教えて下さーい!」
 「何処に住んでるんですかッ!?」
 
 色々な質問を受け、困っているレトを見て怒っている少女が一人。 
 間違えなくキールアだ。

 「レト、なんか・・・」
 「キールア!ちょ、助け・・・」
 「レトなんかもう知らないんだから!」
 「・・・・・え?」
 「いつまでも可愛い女の子と群れあってればいいじゃないッ!」

 ついにキールアの怒りは爆発。
 キールアは、そのまま町の市場に向かった。
 レトを置いて。
 
 「レトの、バーカ」

 キールアは一人、買い物を続けながら呟いた。
 レトは今でもあの女子軍団に囲まれている事だろう。
 そんなキールアの後ろに、見知らぬ男の姿が・・・。

 「お嬢ちゃん、一人?」
 「・・・!?」
 「俺らと遊ばない?」
 「あ、あの・・・」
 「いいからいいから」
 「い、いやですッ!」
 「結構可愛いじゃん。こういうの俺好みだし♪」
 
 五人くらいの男共は、キールアを囲んだ。
 キールアは、泣かないように堪え、その場に立ち尽くした。

 「いいじゃんか、さぁ、俺と一緒に・・・」
 「い、いやあぁぁあぁッ!!」
 「お前らその女の子に何してんの?」
 
 その声と共に男の背中を蹴り飛ばす少年が一人。 
 その姿はまさしくレトだった。

 「レト・・・・」
 「俺の連れに何してくれたのかなー?」
 「ってめぇ!チビだと思って手加減しねぇぞ!」
 「黙れ」

 レトは、手をポケットに突っ込んだまま、その男の顔を蹴った。
 キールアは、その光景に口を開けてぽかんとしていた。

 「チビだと思って甘く見るなよー?」

 レトの悪の笑みに男達はぞっと震え、走り去っていった。
 
 「レト・・・」
 「俺、夕飯はカレーが食べたいや」
 「え・・・?」
 「・・・・いいか?」
 
 キールアは少し驚き、また笑顔を見せた。

 「うん、お安い御用!」
 「それにしてもさぁ」
 「ん?」
 「何であいつらに薬品飛ばさないんだよ。お前の実験薬なら一発で倒せたぜ?」

 キールアはまた怒りだし、レトに向かって叫んだ。

 「もう!少しは女の子の気持ちくらい分かりなさいよドバカ!」
 「はぁ?」

 キールアは怒っていたが、その心の中は嬉しさでいっぱいに違いない。
 
 「・・・・なに笑ってんだよ」
 「なーんでもないッ♪」
 「?」

 レトは少し疑問を抱えていたが、キールアは笑顔に満ち溢れていた。
 そして、キールアの家からは美味しそうなカレーの匂いが漂っていたという。