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Re: 最強次元師!! ( No.413 )
日時: 2010/07/06 19:41
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)

第088次元 小さな強き約束Ⅲ

 「惜しい事したなぁ」
 「何が?」
 「リルダだよ、何で蛇梅隊に入らないんだろう」
 「知らん。何か理由でもあるんだろ。まぁリルダの問題だし、俺達が突っ込む事じゃない」
 「ちぇー・・・」

 レトとロクは、野原の奥まで進む長い小道を歩きながら秋の風景を楽しんでいた。
 どうやらロクはリルダの事に不満を抱いてるらしいが。

 「ん?誰だろ、あれ」
 「へ?」
 
 ロクは、2人でぎゃあぎゃあ騒いでる男子を見つけ、指を指した。
 その方向をひょいっとレトも覗くようにして見ていた。

 「物好きだなぁ、あんなところで遊ぶなんて」
 「いやぁ、微笑ましいよねぇ」

 と、ロクが和みの言葉を一言発した瞬間、

 「もうあれから5年経つよなぁ」
 「何が?」
 「ほら、リルダだよ、弱虫リルダ」
 「あぁ、そんな奴もいたよなぁ。あいつ、魔人に飲み込まれたらしいぞ?」
 「はははははッ!!だっせぇーッ」
 
 ロクはつい、リルダという名前に反応してしまった。

 「・・・、ねぇ」
 「あぁ?」
 「おばさん誰?」
 「リルダって、リルダ・エイテル?」
 「あぁそうだよ」
 「村1番の弱虫で、なにやっても失敗ばっかりして、すぐ泣く女っぽい奴だもんな」
 「そうそう、母さん亡くしてから何も喋んなくなってさぁ」
 「亡く、した・・・?」
 「そうだよ、あいつ5年前に家に泥棒が入って、あいつの母さん殺されたんだよ」

 2人の少年がげらげらと笑い転げている時、ロクの怒りは最高潮にまで上り詰めた。

 「雷撃ーーーーッッ!!」
 「ッ!?」
 「な、なな!?」

 ロクの雷撃は、綺麗に少年達を避け、大きな木にぶつかって粉砕された。

 「お前・・・、次元師なのか!?」
 「そんなに、楽しい?」
 「あぁ?」
 「リルダの事笑うの、そんなにおかしいの?」
 「んなこと言われても、当たり前じゃん」
 「母さんいなきゃ何にもできないだぜ?あいつ」
 「笑い者には最高だよっ!」
 「・・・そう、ならあたしは絶対あんたら許さないからッ!!」
 
 ロクは、右手を前に構えると、雷撃を放とうとした。
 が。

 「遅いよ、おばさん」
 「!!」
 「「次元の扉、発動ッ!」」
 (こいつら・・・、次元師!?)
 「瞬靴ッ!」
 「粘泥ッ!」

 2人の少年は、一気に次元技を発動させた。
 さっきロクの攻撃を読めたのは瞬靴のせいだろう。
  
 「へぇ。ま、その方が盛り上がるけど」 
 「んじゃあ、行くよ?」 
 「隙ありッ!!」

 1人の少年がロクの背後にまわって攻撃をしかけようとした。
 
 「おせぇな、やっぱ」

 突如現れたレトの肘で少年の背中を叩いてしまった。

 「い、いたの・・・?」
 「お前のアホっぷりはもう見飽きたんでね」
 「アホって何!?」
 「へぇ、2人いたんだ」
 「!?」
 「やっぱ、そうでなくちゃつまんないね」

 少年は叩かれてもなお立ち上がり、口元を服の裾で拭いてロクとレトに視線を戻した。
 
 「次はこっちだよ?」
 「ぐはぁッ!?」

 瞬靴の少年がロクの前に現れ、思い切り腹を殴った。
 少年の瞬靴は何かローラースケートのような感じで、とてつもない速さを見せ付けた。

 「おぉー、大丈夫かロク」
 「それが心配する口調ですか・・・」
 
 ロクは、服をぱっぱと払い、やはり毎回高齢、隊服を脱ぎ始めた。

 「やっぱりか・・・」
 「ねぇ、僕良い事考えちゃった」
 「へ?」
 「それは・・・」

 少年達が何かこそこそとやっているなか、ロクはオレンジ色の半袖の服でどどんと前に出た。

 「さぁ、どっからでもかかってきなさいっ!!」
 「・・・・」
 「んじゃあ、遠慮なくいかせてもらうかな」
 「?」
 「第三次元発動——————」
 
 もう1人の少年が何か構え始めた。

 「泥柱ッ!!」
 
 泥柱を呼ばれた技は、みるみるうちにレトの背後に現れ、ガシャンッ!!という音でレトを捕まえた。
 
 「何だ・・・、これ!?」
 「そこのお兄ちゃんには黙って見ててもらうよ?」
 「卑怯だね。まぁ、ハンデでちょうどいいけど?」
 「そう言ってられるのも、今のうちだよ?」

 レトは泥柱に捕まり、ロクは戦闘体勢へと入っていった。
 だが4人は気付かなかった。
 近くの木にがっしりと捕まって怯えながら見ていた少年の事など。