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- Re: 最強次元師!! ( No.414 )
- 日時: 2010/07/09 19:18
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第089次元 小さな強き約束Ⅳ
(何で・・・、何であいつらが・・・?)
少年、いやリルダは木の陰に隠れてロクの様子をずっと見続けていた。
(確か・・・、デンマとペルリだな、あいつら)
デンマ・ワイス。
瞬靴の次元技を使っていた髪の毛が上に立っている少年。
ペルリ・ジビゲール。
粘泥の次元技を使っていた右目が髪の毛によって隠されているミステリアスな少年。
2人とも少年ながら、優れているバトルセンスの持ち主だ。
「ち・・、くしょうめ・・・」
ロクは、瞬靴で何度もやられている体を抑え、よろよろと立った。
レトは未だに泥に捕まっていて手助けもできなかった。
「なぁーんだ、でかい口叩いてたわりには、超弱いじゃん」
「このまま一気に倒しちゃおうよ、デンマ」
「そうだな、ペルリ」
(やばい・・・、やら・・・、れる)
ざっざっという草を踏みしめる音を鳴らしながらロクへと近づくデンマとペルリ。
ロクは、流石に限界なのか攻撃もしかけようとしない。
「やっぱ、生まれつき弱い奴と強い奴は決まってるんだよ」
「僕もそう思う、だよね?お姉ちゃん」
「・・・、んなわけないじゃん」
「は?」
「生まれつき弱いとか、強いとか、何言ってんの?」
「何って、立派な理屈だろう?」
「そんなの屁理屈だよ」
「何処が?今現時点で君、負けてるんだよ?」
「負けてるって、そんなのまだわかんないじゃん」
「分かるって、もうそろそろ決着つくし」
「大体、あんた達だって最初から強いわけじゃないでしょ?」
「君馬鹿?俺らは生まれつきつよい人間なの。努力なんてする必要ないし、楽ができる」
デンマはロクにそう告げた。
だが、ロクの険悪な顔に変化は何一つ見られなかった。
(何で・・・、何でまだ戦うんだろう、あの人)
「・・・時間もったいない、これで終わりだッ!!」
「ッ!?」
ロクの目の前にデンマが突如現れ、ロクが驚いて避けようとした瞬間—————。
「こっちだよ?」
ロクの耳元には別の声が聞こえた。
「泥元奪ッ!!」
ロクの腕に、紫色のどろどろした液体がついた。
ロクは振って落とそうとしたが、何もならなかった。
「何・・・、これ・・・」
「そいつ、君の元力奪っていくよ?」
「何・・・、言って・・・!?」
その時、同時にロクの体がビリビリとしびれ始めた。
「うあぁあぁあああぁああああああッ!!!!」
「はははははははッ!!そのまま苦しんで死んじゃえッ!!」
「これで僕らの勝ちだね♪」
デンマとペルリの作戦により、どんどん元力を吸い取られていくロク。
もう、勝ち目はないのだろうか。
(あの人だって弱いじゃないか・・・、あいつらに手も足もでないじゃないか・・・)
「さぁ降参してくれる?俺らに逆らった事、土下座して謝れよ」
「謝るなら今のうちだよ?」
「・・・・」
「何とか言えよ、おい」
「無理・・・、だね」
「は・・・」
「謝るもんかッ!!!悪いのはリルダじゃないッ!!」
「まだわかんないの?」
「実際リルダもお前も、弱いじゃん」
「・・・確かに、弱いかもしれないね」
「ほーれみろ」
「でも、弱いから強くなれるんじゃないの?」
「・・・・は?」
「弱い人は強くなりたいと思っていれば絶対強くなるッ!強い人が弱い人を虐める権利なんてない!!」
「何言ってんの?お前。負けててその口?」
「生憎、その口しか持ってないんでね」
「生意気、やろうよデンマ」
「・・・・そのうち元力を失うだけだろ。さぁ、謝れよ」
「嫌だ。第一なんでリルダが弱いだなんてそんな分からない事が言えるの?」
「知らないのか?あいつ村1番の弱虫で、何にもできない馬鹿なんだぜ?」
(そうだよ・・・、僕は・・・、誰より弱い・・・)
「だから?」
「は?」
「だから何?リルダは全然弱くないじゃんッ!!」
「弱いだろ?お母さんいなくちゃ何にもできない屑なんてさ」
「それでもリルダは強くなろうって決めたんでしょ!?諦めなかったんでしょ!?」
「でも実際強くなれなかったんだよ、あいつはッ!!」
「それは違うッ!!」
「・・・?」
「強くなろうって心がけた人が誰よりも強い。強くなりたいって心から思ってる人が強いの!!
それなのにリルダを嘲笑うようにして虐めて、泣かせた奴なんて最低の弱い奴がする事なんだから!」
「お前、本当にうざいな」
「うあああぁあああぁぁッ!!」
「そのまま元力吸い取られちまえッ!!」
(あの人・・・、何で僕のためなんかにあんなに傷つけるの?弱いんじゃないの?
強くなりたいって心から思ってる人が強い?
そんなの屁理屈だッ!!
どうして弱いのに立ち向かおうとするの?
どうして勝てないって分かってて挑もうとするの?
どうして・・・——————?)
「リルダは・・・、強い子だよ?」
(ッ!!!)
「は?」
「リルダは誰より強い、あんた達なんかより、100万倍強いんだからッ!!」
「んじゃあ証明してみろよ、リルダがそんなに強いんならなぁ。お前の理屈、聞かせてみろよッ!」
「理屈?証明?何言ってんの?」
「あぁ?」
「そんなくだらないプライドに拘ってるからいつまで経っても強くなれないんだよ」
ロクの放った言葉1つで、デンマの表情が変わった。
「あぁ、そうかもな。でもリルダは逆にプライド1つもなかったもんで母親を殺しちまったんだぜ?」
「殺した・・・?」
「あいつ、お母さんに護られて今生きてんだよ。情けねぇよなぁ、全く」
(・・・・さっきの、ロクさんの言葉って・・・——————)
デンマの言葉によりどんどん閉ざされていくリルダの心。
弱い自分が大嫌い、そう思って沼のどん底に落とされたリルダの気持ち。
だがリルダは、ロクの言葉に少しだけ心を動かされていた。