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Re: 最強次元師!! ( No.417 )
日時: 2010/07/09 19:27
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)

第090次元 小さな強き約束Ⅴ

 広い野原の真ん中辺り。
 レトは泥に捕まり、
 ロクは泥の効果によりどんどん元力が奪われていく。

 「はぁ・・・、はぁ・・・」
 「そろそろ限界か、にしてもお前、元力半端ねぇな」
 「こんな事普通はありえないんだけど・・・」

 ロクは、手足に巻きつかれた鈍い紫色の泥を取り外そうと必死になっていた。
 レトも泥の柱から脱出するため、必死になっていた。
 
 「さてと、こいつらやったあとにリルダもやりにいくか」
 
 (ッ!!?)

 「そん・・・・、こと・・・せない・・・」
 「んあぁ?」
 「そんなこと、死んでもさせないッッ!!」
 「まだやるのか?元力も残ってないのに」
 「元力を全て失った次元師はもう2度と次元師には戻れないんだよ?」
 「苦しめよ、エポール兄妹さん」
 「リルダは・・・、強いんだか・・・ら・・・」
 「まだ言うか」
 「リルダは、あたしが絶対守るッ!!!」

 (・・・—————ッ!!?)

 その時、リルダの頭の中で何かが通った。
 リルダは、ふるふると震えながら、地面にぺたりと座り込んだ。

 (そう・・・、だ・・・・。僕、やっと気付いた・・・・)

 リルダは、この5年間1度も流さなかった涙を、今流し始めた。

 (そうだ・・・、母さんは、間違ってなんかない。
  母さんがはじめ「強くなって」と言ったのは、
  “心”として、強くなって欲しかったからなんだ。
  でも僕は“力”として強くなろうとしていた。
  母さんは僕に誤解させてしまった事に、必死に謝ってたんだ。
  そして強くなろうって心がけた僕の事を、強いって言ったんだね・・・。
  間違ってなかった。
  悪いのは、やっぱり僕だけだった、
  これで・・・、全部分かったよ、お母さん。
  そして・・・————————)

 「第五次元発動・・・ッ!!」
 「ッ!?」
 「だ、誰だッ!!」
 「爆連ッッ!!!」

 木から颯爽と現れたリルダは五次元の力を使い、2人を吹っ飛ばした。
 その時、ロクに取り付いていた泥もはがれた。

 「な・・・、リルダ・・・?」
 「お前、何でッ!?」
 「全部聞いてたよ。ありがとう、ロクさん」
 「あ・・・、うん・・・」
 「やっと分かったんだ、お母さんが強くなれって言った本当の意味」
 「今更か?弱虫に変わりはねぇな」
 「もう弱虫なんて言わせないッ!!」

 リルダは、掌を太陽に伸ばすように挙げた。

 「第五次元発動ッ!!」
 「爆連ならもう効かな・・・」
 
 リルダは掌の上に小さな爆弾を置いた。

 「爆落散ッ!!」

 思い切りデンマとペルリに投げつけた。
 その衝撃で、煙がむくむくと周りを覆った。

 「げほ・・・、なんだ、威力ないじゃん」
 「このまま一気に・・・—————」
 「第六次元発動ッ!!」
 「何ッ!?」
 「何でッ!?」
 「爆雑連ッ!!」

 多くの爆弾がテンポを外れてデンマとペルリの周りを爆発させていく。
 煙が消え去っていた頃には、2人は倒れこんでいた。

 「つ、つえー・・・」
 「リルダ・・・」
 「お、お前調子乗るなよ・・・?」
 「お前なんか僕らだけで・・・ッ!」
 「許さないよ?」
 「は・・・」
 「これ以上僕の仲間を傷つけるような真似したら、絶対に許さないッ!!!」
 「・・・・ッ!!」
 「逃げるよ、デンマッ!」

 デンマとペルリは逃げるようにして走り去っていってしまった。
 リルダの今までとは違う声、表情。
 それがあの2人を追っ払った原因だろう。

 「・・・・あの、大丈夫ですか?」 
 「あ、平気平気、これくらい・・・——————」

 グキッ!!
 ロクの右腕の付け根が音を鳴らせた。
 瞬靴でやられた時の傷だろうか。
 
 「あ、あの・・・っ」
 「あぁ、気にしないでっ!」
 「・・・そういうわけにもいきませんよ」
 「へ?」
 「僕も向かわなければなりません」
 「・・・・?」
 「“蛇梅隊本部”に」
 
 リルダの少し悲しげな笑みにより、ロクも大喜び。
 やっと次元技は消え、柱から開放されたレトはほっと一息ついた。

 「2人とも疲れただろ?俺まだ元気だからどっちかおぶるよ」
 「い、いいですよっ!元はと言えば僕の責任ですし・・・」
 「責任、か。あたしの辞書に責任なんて言葉、ないね」
 「ロクさん・・・」

 レトはリルダをおぶり、ロクは非常に痛い右肩を抑えて歩き始めた。
 ロクの右腕はどうやら骨折しているようだが。

 リルダは自分の悲しみに打ち勝った。
 それだけで、お母さんは天から微笑んでいるであろう。

 
 ありがとう・・・・・——————————。