コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.431 )
- 日時: 2010/07/15 19:50
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第095次元 瞬技
「レ・・・ト・・・」
大きな爆音の中、荒々しく登場したのはレトだった。
双斬を握り、キラーの技を防いだのか。
「・・・あー、探すの大変だったぞこのやろー」
「レトヴェール・エポール・・・。いつか力を交えた奴だったな」
「まぁな。さて、移動しようか?」
「我の目的はシーホリー家の暗殺。移動させはしな・・・—————」
キラーが言葉を言い終わる間もなく、大きな爆音が鳴り響く。
またしても煙に包まれたキラーは腕で口を塞ぎ、辺りを見回した。
「・・・・な・・・ッ!?」
だが、この場にはキラー1人だけで、レトとキールアの姿はなかった。
(まだ近くにいるはず・・・、必ず見つけ出す)
キラーは地面を踏みしめる音と共に探し歩いた。
「・・・ここまで来れば安全かな」
「レト・・・」
「ちょっとでかい気を感じたんでね。来てみりゃこの様か。油断も隙もねぇな」
「・・・・」
「・・・・なんか、あったんだろ?」
「あ・・・、いや・・・」
「あとでゆっくり聞く。今は逃げろ。お前、追われてるんだろ?」
キールアは寂しそうな顔をしてこくんと頷いた。
「・・・分かった。キラーの捕獲は俺の仕事だ。んじゃ行ってくる」
「あ・・・」
レトが立ち、キラーを追いかけようと歩き出した時。
キールアが、まるで力のこもってない手でレトのズボンを裾を掴んだ。
「絶対・・・・、戻ってきてね・・・?」
その意外な一言に、レトは一瞬戸惑いを見せた。
が、
「・・・・あぁ、約束する」
と良い笑顔をキールアに向け、安心をさせた。
キールアも寂しく笑って返した。
レトがキールアから大分離れたところでキラーを発見した。
レトは家の屋根から降り立ち、キラーの前に姿を現す。
「・・・ここ、か」
「シーホリーの娘は何処だ」
「教えないし、第一何で追いかけてんの?」
「・・・・お前には、最も関係ない話だッ!!」
「ッ!?」
キラーは一瞬にしてレトの目の前に現れ、レトの腹を思い切り殴った。
「ぐはぁッ!!」
「さぁ立ち去れ。今ならまだ殺さないでやろう」
「お前ら剣闘族は・・・、無闇に人を殺せないんだろう?」
「・・・知っているか」
「常識の範囲以内だよ、さぁて、教えてもらおうか?」
「だから貴様には関係ない話だと言っている」
「関係・・・、なくない」
「・・・?」
「キールアは俺の幼馴染で大事な奴なんだッ!!なのにお前なんかに傷つけられてたまるかッ!!」
「貴様らはそういう関係に当たるのか。・・・なるほど。だが、それでも教えられないな」
「そこまでして言わないなら・・・」
レトが腹から出血しているのにも気にかけず、双斬を反対に持ち始めた。
刃を後ろにまわし、何かを始めるかのように。
「瞬斬ッ!!」
レトはその姿勢から0.3秒でキラーの懐に入り込み、剣を上に上げてキラーの腕を切り裁く。
「ぐあぁあッ!!!」
「やっぱり・・・、この速さには追いつけねぇよな・・・?」
「ぐ・・・、なるほどな。我の速さに追いついた事は褒めてやろう」
「へへんだ」
「だが、我の“瞬技”に追いつける者などいないッ!!」
「瞬技・・・?」
キラーは風の如くレトの前から消え去った。
「・・・?」
「我の足は、光の如しッ!!!」
「ぐはあぁッ!!?」
「まだまだぁッ!!」
キラーの足の速さについていけず、レトは膝をついた。
レトは肩、背中、腹、腕、足、到る所をキラーにやられ、立つのが精一杯までに達していた。
「まだ立つか。その根性は認めよう」
「・・・くそ・・・ッ」
「・・・・・何故、あの娘だけ生きているのか教えようか?」
キラーがぽつりと何か語りだした。
「剣闘族では、シーホリー家を3人と断定した日があった。その時はまだ3人しか存在していなかった
からだ。だが、その次の日、奴らは生んでしまったのだ、1人の子供を。
そのせいで我らは3人と見ていたもので、1年の月日が経ってしまった」
「い・・・、1年!?」
「他にも色々と仕事があり、シーホリー家の暗殺が遠まわしになってしまった。
その時だ、我らがシーホリー家を4人ではなく、3人殺したのは。
我らは3人だと思い込んで3人を殺した。母、父、弟、と。だが1人だけ見逃してしまっていた」
「それが・・・、キールア・・・?」
「そうだ。そしてその後に改めて分かったのだ。もう1人、シーホリー家に生き残りがいる、と」
「それで・・・、1人だけ・・・」
「・・・分かっただろう。さぁ、死んでもらうぞッ!!!」
キラーがまた一瞬にして消えた。
レトは、キラーが迫ってくる緊張感とキールアの悲しい過去の現実に囚われて動く事もできなかった。
キラーが勢いよくレトに攻撃をしかける瞬間・・・—————ッ!!
・・・・・・、
・・・・・・、
わずか2cm、
キラーの腕とレトの顔の距離があと0.1秒でも経てば衝突していたその瞬間に、
何処からか静かな発信機の音が鳴り響いていた。