コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.475 )
- 日時: 2010/07/28 12:14
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: mwHMOji8)
第107次元 雪大合戦
何週間が経ち、レトとロクの傷もすっかり治った。
どんな生命力だ、と周りからひそひそと噂されていたが。
すると、窓の外には綺麗な雪が降っているのに2人は気がついた。
「うわぁー・・・、綺麗ー」
「今年は降るのが早いなー、いつもは1月あたりなのに」
「そうだね、まだ12月だもん」
「12月、といえばそろそろお前の誕生日じゃねぇか?」
「誕生日って言うの?拾われた日なのに」
「まぁまぁ、そんときゃ蛇梅隊全員で盛大にやろうな、誕生日会」
「そだね・・・、そうしてくれると嬉しい」
「・・・、ロク、元気ないな」
「まぁ、さっき嫌いな食べ物でラミアと大食い勝負したから気分悪くってさ」
「そうですか・・・」
レトとロクはただ雪を眺めるのは嫌になったらしく、外へ出て行った。
まっさらで何もない銀色の水平線。
上を向けば灰色の濁った雪空。
そんな当たり前の風景を眺め、2人は軟らかい雪の上で寝ていた。
「気持ち良いなー・・・」
「ちょっと冷たいけどね」
「・・・」
「・・・」
「「雪合戦でもやりますかッ!!」」
なんと2人の意見は一致。
言葉が鱧ってしまった事に笑っていた2人はゆっくりと立ち、雪球を作り始めた。
「さぁー、今回は負けないぞー?」
「先に3回当たった方が負けねッ!!」
「よーい・・・」
「「ドンッ!!」」
雪球を行ったり来たり、投げたり隠れたりする2人。
その姿は、この前までの戦いの日々をなかったかのように思わせた。
雪ではしゃぐ2人を見て、蛇梅隊次元師達が一斉に集まってきた。
「ルイルもやるー♪」
「なかなか面白そうな事やってるじゃないですか」
「俺は単にロクとの大食い勝負で負けたから雪合戦で勝ちたいだけ」
「・・・ルイル姉さんがやるなら、私もやる」
「レトーーッ♪あたしと一緒にやろーー?」
「あ、の・・・、僕苦手、なんだけどな・・・」
蛇梅隊の次元師隊員達が1人残らず現れた。
その光景にレトもロクも喜びを見せた。
「まぁ人数多い方が盛り上がるもんねっ!」
「それじゃあ8人で4人ずつ組んで雪大合戦でもやりますかッ!!」
皆でじゃんけんした結果、
レト、ガネスト、ルイル、ミル。
ロク、ラミア、ティリ、リルダ。
というチームに分かれた。
これは仕組まれているのか、とか思いながら始まった雪大合戦。
結果はどうなるのやら。
「さぁこっちから行くぞー?」
「さっきまであたしに当てられなかったレト君が何をほざくやら」
「ロクの腹狙えりゃ気持ち悪くなるだろう、よッ!!」
「おっと・・・、レト君、つめが甘いよー?」
「ルイルガネストと一緒だーい、わーい♪」
「ちょっとルイル、くっつきすぎです、当てられますよ?」
「それじゃあ2人で1人ということでっ!!」
「どういう意味ですか〜?」
「・・・ルイル姉さんがあっちにいるから、投げられない」
「はぁ?お前何言ってんの?」
「うるさい外見少女。あんたは的にしかならないわよ」
「この女・・・」
「ねぇレトーっ!!一緒に頑張ろうねー?」
「あ、あぁ。いやちょっと待て。身動きとれないんだが・・・」
「いいじゃーん、1人当たれば2人でしょ?一心同体みたいでさっ」
「なんだそれ・・・」
「あ、あの・・・、僕どうすれば・・・?」
個人なりにめちゃくちゃになりそうな雪合戦。
そこで、白衣姿のあの少女も現れた。
「・・・、何、やってんの?」
「おー、キールア」
「雪合戦か・・・、面白そうだけどあたし帰らせてもらうわね」
「んじゃあなんのために来たんだよ」
「ちょっと見物。外が騒がしかったからね」
「んじゃついでに審判やってくれよ」
「はぁー?何でー?」
「誰が当たったか・・・、これじゃ分かんねぇんだ・・・」
「あぁ・・・、そうゆうことね」
どんな結末を迎えるか分からないこの大合戦に審判としてキールアも参戦。
元気な皆を見てほっと一息ついていた。
「ねぇー、レトー?」
「なんだよー」
「誕生日に何くれるー?」
「まぁ、兄からの愛ならくれてやるけどー?」
「そんなのいらない。どうせならさー・・・」
「んー?」
「秘密を暴露ー、とか?」
「・・・、え・・・」
その時、投げ合っていた雪球がレトの手から滑り落ちた。
それはキールアが持っていた笛も同時に。
レトとキールアは血相を変えていた。
「え・・・、何?」
「あ、いや。ひ、秘密かー」
「レトの恥ずかしい過去でもいいよー?」
「そんなのお前に暴露する必要ないじゃん」
「んじゃああたしの秘密とかはー?」
「・・・・・、し、知らないし」
「えー?ほら、本人が知らなくても他の人が・・・」
「知らないって、言ってるだろ?」
レトのあまりの冷たい台詞に少し戸惑ったロク。
キールアも2人から目を逸らしていた。
「・・・何なのさ、そんなに真剣になっちゃって。冗談冗談、やっぱ別のがいいー」
「・・・そうか」
「どうせなら、あたしの記憶とかがいいけどねー?」
「かもなー」
ロクは不審を抱いていた。
さっきまで真剣な表情だったレトは何なんだったんだろう、と。
雪大合戦はロクチームの勝利で終わりを告げた。
その帰り際、レトとキールアが何か話しているのを、ロクはうっかり見てしまっていた。