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Re: 最強次元師!! ( No.484 )
日時: 2010/07/31 13:43
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: 5YaOdPeQ)

第112次元 【FERRY】

 「雷撃ーーーーーーッ!!!」

 放たれた一瞬の光、
 その光に気付いたアニルとグリンは宙を舞い、華麗に交わした。

 「・・・、誰?」

 アニルがそう問うと、ロクは暗い煙の中から颯爽と姿を現した。
 
 「やっと現れたね、ロクアンズ・エポール」
 「もうこれ以上皆を傷つけないでッ!!!」
 「嫌だ、と言ったら?」
 「殴り飛ばすよ?」
 「はは、やっぱロクアンズは面白いや。レトヴェールなんか表情も変えずに立ち向かってきたんだから」
 「ッ!?・・・、レトに、何したの?」
 「何したって・・・」
 「そんなの決まってるじゃない」
 「「殺したの」♪」
 「・・・・・——————————ッ!!?」

 ロクは怒りで我も忘れ、神に立ち向かった。
 レトを、義兄を傷つけた罪は消えない、と言って。

 「いいじゃん、どうせ義理なんだし」
 「義理でも何でも、あたしにとっては兄なのッ!!」
 「血も繋がってないのに、兄だなんて言う資格、あんたにないと思うんだけどなぁ〜?」
 「なくていい、それでもあたしがレトを助ける理由は何もいらないから」
 「それじゃあ他人が傷ついても、あんたは助けるわけ?」 
 「それが人間なら、あたしは誰であろうと助けるよ?」
 「はははははッ!!!こんなバカな人間もいたもんだよッ、あぁー、超面白いッ!!!」
 「その腐った口元、あたしの雷で焼き腫らそうか?」
 「できるならね」

 ドン・・・————、というように神と神がぶつかり合う。
 ロクはアニルとグリン、2人の神族を敵にまわしてまで人間を護ると心に誓ったのだろう。 
 
 「おっと・・・、やっぱ君やるね、その次元技もなかなか」
 「あぁそう、なら良かった。神様の技に召さないかと」
 「・・・調子に乗るのも、いいかげんにしようね?」

 そうアニルがロクに告げる、
 とその瞬間・・・————、ッ!!

 「んじゃあ、これから召さないかもよ?」

 ザシュ・・・・————————ッ!!!!!

 「え・・・———————?」
 
 アニルが攻撃したのはロクでなかった。

 「んじゃ寝たふりしてた大事な大事な義兄さんを、殺すとしましょうか———————?」

 「レト———————————ッ!!!」

 ロクがとっさに後ろを振り向いた。
 だがその先にいたのはさっきまで小さな息をして呼吸していたレトの姿。
 今じゃ腹の中心部から多量の血が流れ出し、地面を赤く染めていった。
 血の勢いは止まらない。
 レトの息は、止まったと見られる。

 「はははははッ!!!義妹が来たからって助かるわけじゃあるまいしー?」
 「第一、神が人間の呼吸を感じ取れないとでも?」
 「ほんっと、まぬけだよねー?に・ん・げ・ん、ってさぁー♪」

 ドン——————————————————ッ!!!!!

 
 「え・・・・———————?」

 
 その衝撃、この瞬間、
 
 アニルの姿は消し飛んだ。

 「な・・・、ア、ニル・・・・?」

 アニルが最後に笑ったのはおよそ5秒前。
 一体アニルに何が起こったというのだ。

 そう、さっきの衝撃は紛れもなく手から放出された馬鹿でかい次元技の塊。
 辺りを覆いつくすような今までにない大きさの次元技を一体誰が・・・。

 「ま・・・、さか・・・———————、ッ!!?」

 グリンは突如横に振り向いた。
 そこに立っているのは闇に消え、長い髪を器用に揺らす少女。
 少女はゆっくり、ゆっくりとグリンに近づきこう告げる。

 「絶対・・・、」
 「・・・・—————?」
 「神族なんか絶対に許さないんだからぁぁああああッ!!!!」
 
 (こ・・・、この気迫は——————、一体?)

 その声はここら周辺だけでなく、世界に伝わるような大きな声。
 その声に驚き、身を動かす事もできなかったグリンはカタカタと震えている。

 「あんた・・・・、嘘でしょ・・・・?」

 少女はするりとチョーカーを解き、長い髪の毛を上に結い上げ、チョーカーで結んだ。
 俗に言う、『ポニーテール』と呼ばれる髪型だろう。

 「どこか・・・、あんたにはどこか可笑しいと思ってた」
 「・・・・」
 「でも・・・、まさか・・・」

 少女、いや、ロクはレトの前で立ち、その開く事のなかった右目を、
 
 ゆっくりと開け始めた。

 「あんただったんだ・・・、【6人目】の神族———————」

 「・・・・」
 
 「唯一2つの神章を司る—————————、神族【FERRY】———————ッ!!!!」

 
 ロクの右目には、神章が刻まれていた。
 

 【FERRY】、その人物は千年前に人間を護れずに人間に殺されこの世を去ったと言われる神族。

 「今まで気付かなかったわ、貴方の髪色が黄緑なんだもの・・・」
 「・・・・?」
 「【FERRY】は長い緑色の髪の毛。それで気付かなかったわ。可笑しいとは感づいていたのに」
 「・・・・」
 「そう、でもあんたは【FERRY】であって黄緑。それは母が金髪だったからでしょう?」
 「・・・・・」
 「あんたは人間から生まれてきた正真正銘の神族。【第二神族】だったのよ——————ッ!!」
 「・・・ッ!?」
 「まさか【FERRY】の名を持ってして第二神族だなんて・・・、有り得ない話だわ」
 「話・・・、まだ続くの?」
 「・・・・いいわよ、あたしもアニルの仇取りたい・・・・」
 
 急にグリンの笑顔が消え去っていった。
 何かに気付いたような顔で驚くと、グリンは後ずさりをし始めた。

 「待って・・・、貴方、第二神族、よね・・・?それで・・・、【FERRY】、という事・・・は・・・」

 グリンの顔を忽ち真っ青になり、冷め切った瞳でロクを見上げた。

 (まずい・・・、私、殺される——————————ッ!!!!)

 グリンがそう思った時には既に目の前にロクはいなかった。

 「次元の扉、発動」

 (次元の扉!?さっきとっくに開いたはず・・・、じゃ・・・ッ!?)

 「風皇————————————ッ!!!!」

 驚くのはまだ早すぎた。
 そう、ロクは2つ目の次元技を備えていたのだから。
 
 この状況で有り得ない現実。
 震えるグリンの姿を見て、容赦なく睨みつけるロク。

 「2つ目なんて・・・、第二神族だからって・・・・————————、そんなッ!!!」

 もうグリンに避ける暇さえ与えない。
 
 
 「第十次元、発動————————ッ!!!!」
 
 (確か十次元は禁忌のはずじゃ・・・——————————ッ!!?)

 「風雷天馬ぁぁぁあああああああああ———————————ッ!!!!!」

 悲劇と憎悪の惨劇。
 ロクはこの世で最も禁忌とされていた十次元の発動を犯してしまった事に何の後悔すらしてなかった。