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Re: 最強次元師!! ( No.493 )
日時: 2010/08/01 19:05
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

番外編 友達の証

 ルイルはまたしても昼食を食べ終えたあと、公園に走っていってしまった。

 「はぁ・・・、はぁ・・・、今日、いるかな・・・」
 「・・・・、また貴方ね」
 「良かったー、毎日来てるんだ?」
 「・・・・」
 「いいかげん、話してくれてもいいじゃんっ」
 「貴方ような人間と話す事なんてないけど」
 「・・・、そんな冷たい事言わなくてもいいじゃん」
 「・・・じゃあ、貴方は暖かい事を言ってくれるのかしら、この私に」
 「え・・・・」
 「・・・・」
 「暖かいとか冷たいとかは別としてー・・・。とりあえず、目を合わせて話してくれるかな?」
 「嫌」
 「・・・ねぇ、明日も来る?」
 「来ない」
 「あたし、ぜっーったいに貴方と向き合って話せるまで、毎日ここ来るからねっ!」
 「それじゃあ私は2度と此処には来ないわ。貴方がいるならね」
 「・・・・いい?」
 「私は会いたくないの。余計な事しないで」

 少女は言い捨てると、またしても去ろうとした。
 が、

 ガシ———————ッ!!

 「・・・・え・・・・?」
 「・・・やっと目合ったね。貴方綺麗な目してるね、羨ましいっ」
 「・・・・・離して」
 「いーやーだっ!名前だけ教えて?」
 「嫌。離してッ!!」

 少女はルイルの手を振り払うと、1度も振り返らずに去っていった。
 ルイルは自分の手を見て悲しい気持ちになったのか、もう1度手を握り返した。

 「・・・絶対、絶対待ってるからねーーーーッ!?」
 「・・・・」

 少女からの返事が返ってこないまま、ルイルはまたニッっと笑った。

 「やっぱ、あたしあの子好きかも♪」

 ルイルはまた鼻歌を歌いながら、家へと足を運んだ。

 あれから幾日も幾日も、
 ルイルはあの公園を訪ねた。
 少女があれから現れた事はないが。
 
 そして、3ヶ月が過ぎようとしていた・・・——————。

 「あ・・・、そうだっ!」

 ルイルは何か部屋で作り始めた。
 その様子にガネストも不思議がっていたが、
 ルイルの笑顔を見て安心したように食器を片付けにいった。

 「今日いるかなー・・・」

 天気、雨。
 今日もあの少女の姿は見えなかった。
 ルイルが帰ろうと振り向いたとき・・・————————、

  
 「あ・・・・・ッ!!!」


 後ろには、傘を差したあの少女がいた。


 「やっぱり、来てくれたんだっ!」
 「・・・バカじゃないの?」
 「・・・へ?」
 「私を待って、3ヶ月経った。どうしてそこまでして私の名前を知ろうとするの?」
 「ただ単に名前が知りたいわけじゃないの。友達になりたかったんだ」
 「・・・友達?」
 「うん、友達っ!」
 「・・・・、残念だけど、それは無理ね」
 「へ・・・・?」
 「私は友達なんて戯言で繋がった関係の人間なんて嫌いなの。いいかげんやめてくれない?」
 「嫌だっ!だって・・・っ!」
 「私はもうこの街には来ないわよ。そろそろ引越しするの」
 「え・・・」
 「貴方と2度と会う事もないわね。幸運でしょ?」
 「・・・・、バカじゃないの?」
 「・・・・?」
 「それじゃああたしが引越し先まで貴方に会いに行くッ!!」 
 「・・・・ッ!?」
 「だってあたし貴方と友達になりたい、友達になりたいのッ!!」
 「嫌だって言ってるの。鬱陶しいからついてこないでッ!!」

 少女がルイルに言葉を発した瞬間、
 ルイルは街に響き渡るくらい大きく笑い始めた。

 「はははははははッ!!」
 「・・・何が可笑しいの?」
 「全部、全部だよっ」
 「全部・・・・?」
 「そうやって自分の感情押し殺して、何の意味があるの?」
 「意味はないわ」
 「『笑顔は何よりの宝であって、心の証—————ッ!!!』」
 「・・・・それ、何?」
 「この間出会った女の子の名言。そのおかげであたしもガネストも笑顔を取り戻せた」
 「だから?」
 「だからその腐った心、あたしが根っこから叩き直して上げるッ!!」
 「・・・・無理。貴方じゃ絶対ね」
 「無理じゃない。貴方は笑顔がなさすぎなの。それこそ本当のバカって言うんだからねっ!!」
 「・・・、もう帰っていいかしら?」
 「絶対帰さないッ!!貴方があたしに名前を教えてくれるまで、絶対に帰さないからッ!!」
 「・・・・どう、して・・・」
 「・・・・?」
 「どうしてそこまでして友達なんかになろうとするの?」
 「そんなの、あたしが貴方を好きだからに決まってるでしょ?」
 「・・・・・っ!?」
 「相手に好かれるためにはまず自分から。だから・・・」
 「私は・・・・、絶対友達なんか作らない————————ッ!!!」

 少女はまたしてもルイルに怒鳴りつけ、その怒り狂った表情でルイルの横を通っていった。
 ルイルはその場に立ち尽くし、無力な自分に心を痛感していた。
 自分じゃあの子を救えないのか、友達になれないのか、と。

 (どうして・・・・、私があんな子にあそこまで動揺しなきゃいけないの——————?)

 少女は早歩きで街を走り、途中でぴたりと止まってしまった。

 (友達・・・、だなんて———————)

 その時だった、

 少女が横に振り向いた時、大型のトラックが目の前に現れた。
 

 キキィィィィィィィィィ————————————ッ!!!!


 (友達・・・・、なんて・・・—————————ッ!!!)