コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.494 )
- 日時: 2010/08/01 19:04
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
番外編 友達の証
キキィィィィィィィィィ————————————ッ!!!!
バ——————————————————ッッ!!!!!
少女が轢かれる直前、
何者かが横から少女を引っ張り、一瞬にして救い出した。
少女は目をまんまるにして驚き、今の一瞬に動揺までしていた。
「なんで・・・・、あんたがいるの・・・?」
「何でって・・・、なんか嫌な予感したんだよね。昔からそういう勘は働くんだよねぇー」
そうやって少女を助け出したのは、なんとルイル・ショートスだった。
先ほどの公園から走って追いかけ、この状況になりながらも少女を救い出したのだ。
「あんな事して、貴方も死ぬところだったのよッ!?」
「・・・?、だから?」
「だから?・・・・って・・・・」
「あたし、言ったはずだよ?友達になりたいって」
「・・・・」
「友達になりたい人に対して、命がけで助けるのは当たり前、そうじゃない?」
「・・・・・当たり前、なんかじゃないわ」
「へ・・・?」
「そんなの、絶対に有り得ないッ!!友達を助けるなんて、バカバカしいッ!!」
「バカバカしくて結構ッ!!だってあたしそういう人間だもん」
「・・・・・」
「あたしが出会った女の子も、こういう人だから」
「・・・・ッ!!」
「だからあたし思った。命がけで人を助けるって当たり前なのかなって」
「そんなわけないでしょ?第一・・・」
「・・・・ねぇ、もしかして友達、いたの?」
「・・・・ッ!?」
「いたんでしょ?だからあんな態度・・・」
「貴方に関係ない。ただ・・・」
「ただ?」
「礼だけは言っておくわね」
「そか、良かったっ!」
「・・・・、本当に」
「・・・?」
「友達、信じてるっていうの?」
————————そう、私だって信じてた。
昔の私の友達は大好きだった。
この子みたく笑顔の絶えない優しい子。
だからずっと信じてたのに。
ずっと待ってたのに。
「ねぇティリ、友達ってさ」
「ん?」
「あたし達みたいな事、言うんだよね?」
「そう・・・かもね」
「だったらティリ、此処の公園で待っててよっ!友達の証を持ってきてあげるからっ!」
「友達の・・、証・・・?」
「そう、あたし達が友達っていう、証っ!」
嬉しかった、何よりその言葉が。
だから信じてたのに、友達っていう言葉を。
「リ・・・・、リ・・・?」
私が何時間も何時間も待ってたのに、リリは姿さえ現さなかった。
リリは来なかった。
そう、それは全部“偽り”だったから。
「リリ・・・?どうして・・・?」
「どうしても何もバカらしいよね?あたしこういう人騙すのだーい好きだから♪」
「今までのは全部嘘だった・・・、の?」
「そう、嘘♪近所の子にあの子と友達関係が1年続いたらご褒美貰える約束だったの」
「・・・う・・・、そ・・・・」
「もうあれから1年経ったし。もうダルくてしょうがなかったよ」
「そんな、リリッ!!」
「あんたとなんか、友達になりたいって思ってる人1人もいないんだからね—————?」
「——————————ッ!!?」
その言葉が私の心を閉ざした。
私と友達になりたいと思う人なんて、誰もいないんだって、気付いたから。
だから嫌いなの、“友達”っていう上辺だけの付き合いなんて。
「・・・もう帰らせて。雨が酷くなったから」
「でも・・・・ッ!!」
「友達なんて・・・、上辺だけの関係じゃない」
「・・・・、これあげる」
「・・・?」
「この帽子、半日かけて作ったの。あたしとお揃い♪」
「・・・・ッ!?」
「上辺だけ、とか言わないでよ。そんなの悲しくなるだけだし」
「・・・・・・・」
「人生笑顔じゃないとつまんないよ?笑わないと損損っ!」
「笑・・・う・・・・」
「あたしだって貴方に何があったのかなんて分からないし、気持ちも知ったこっちゃない。
でもあたしは貴方が好きだから友達になりたい。笑顔のない人を救いたいっ!ただそれだけなの。
どんなに貴方が嫌いでもいい。でも忘れないで」
「・・・・?」
『世界中の何より、笑顔が1番————————、だよ?』
「————————————ッッ!!?」
「貴方が毎日あの公園に通ってたのは、誰かと友達になりたかったから、でしょ?」
「そ・・・・れは・・・・」
「素直って大事だと思う。まぁあたしも未だに素直になれないとこ沢山あるけどね」
「・・・・・」
「お願い、とは言わないよ。でもあたしは待ってるからね♪」
ルイルは一言そう残し、傘を拾って歩き出そうとした。
だがその時、
「ティリナサ・ヴィヴィオ・・・・」
「え・・・・・?」
「私の・・・、名前・・・」
少女、いやティリナサ・ヴィヴィオはそう言った。
ルイルは忽ち笑顔になって・・・。
「あたしルイル・ショートスっ!今後とも宜しくねっ!ティリちゃんっ!」
今までにない笑顔でそう言った。
ティリも小さく微笑んだ。
「そういえば・・・、幾つ、だっけ?」
「私は・・・7」
「そっかぁっ!あたしは9。年齢違うけどいいよね?」
「ルイル・・・、姉さん」
「へ?」
「そう、呼んでもいい・・・?」
「・・・・もっちろんっ!!」
ルイルとティリ。
この2人には年の差なんて関係のない友情が出来上がった。
ルイルとティリはその後に別れ、ティリも1人、街を歩いていた。
今までになく嬉しそうに。
(私は多分求めてた・・・・、あの公園で本当に友達になってくれる人を・・・。
でも私は大きな間違いをしてた。友達というのは全てが悪いわけじゃない、いい人もいる事を。
ルイル姉さんと出会ってやっと分かった気がする、本当の友達の意味・・・。
私もああいう人になりたかったのかなって、今更気付いた・・・・)
ティリはずっと抱いていた友達への執念を砂のように消す事に成功した。
ルイルと出会って学んだ事、それは。
友達の証・・・、それはこの世に物体として存在するものではない事。
友達同士で築き上げていくものだ、と。