コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.495 )
- 日時: 2011/02/05 10:04
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jQHjVWGa)
第114次元 神族公開
(あ・・・・、れ・・・・・)
個室でただ1人寝ていた少女はむくりと起き上がった。
(此処・・・、あぁそうか・・・あの時・・・)
少女は立ち上がり、廊下に顔を出す。
だが廊下には人もいなければ気配すら感じない。
(この時間なら・・・、食堂か・・・)
少女、いやロクは1階に下りて大きな食堂の扉を開けた。
だがそこにも人はいない。
一体皆何処に消えてしまったのだろうか。
「何で・・・いないんだろう・・・・」
ロクは本部中探し回って、皆を求め走り続けた。
そして最後に残ったのは入隊試験会場。
「まさか・・・ね」
ロクはギィ・・・っという古い扉の音を響かせ、試験会場へと足を踏み入れた。
真っ暗で何も見えない状態の中、いきなり明かりがつき始めた。
「・・・・ッ!?」
「ロクーーーーッ!?」
「起きた・・・、の?」
「確かロクって寝てなかったか・・・?」
(皆・・・、何で此処にいるんだろう・・・)
ロクは試験会場の真ん中に立っていて、全員の隊員が野球場のような椅子に座り驚いていた。
ロクはわけも分からないままただ1人ぽつんと中心に立つ。
「・・・・さぁ、ゲストが揃ったところで話を始めようじゃないか」
「話って何ですか?」
「まぁ落ち着いて聞け。普通なら蛇梅隊次元師だけで良かったのだがこれは重大な知らせなんでな」
「重・・・、大・・・?」
「単刀直入に言おうと思ってな。あまり焦らしても皆が困る」
「だから、なんであたしが来た途端・・・」
「あぁそれと言うのを忘れていたな」
「・・・・?」
「起きたのは幸いだったな、ロク」
「へ?」
「まぁその話は後で。それでは早速本題に入ろうか」
「・・・?」
「率直に言おう。この中に神族がいる」
会場の空気が一瞬にしてひっくり返り、驚かぬ者はいなかった。
そう、その瞬間に多くの悲鳴も聞こえ始めたのだ。
「えぇーーーーッ!?」
「そんな、嘘ッ!!!」
「有り得ないじゃんッ!!だってここ蛇梅隊本部だよッ!!?」
「神族って事は騙し殺すんじゃねぇのかッ!?」
「そんな・・・、嘘ついてたなんてッ!!」
「・・・まぁ色々と不満はあるだろうが静かにしてくれ」
「神族が潜んでるだなんて、初耳ですよッ!!?」
「まぁつい最近の事だしな」
「んじゃ誰なんですかッ!?」
「だから落ち着けって、私は自分で言うの嫌いだから誰か知ってる奴に言ってもらおうか」
「ッ!!?」
「この中に知ってる奴が・・・」
「そうだ。そうだろう?」
班長はちらっとキールアとレトの方に目をやった。
そしてこほんと咳をし、皆を落ち着かせる。
「さて、そいつには名乗り出てもらおうか。じゃなければ指定するぞ?」
「・・・・」
「・・・レト、どうする?」
「どうするも何も、こりゃ言うっきゃないな」
「でも・・・」
「此処で早く言おうが遅く言おうが結果は変わらない。だったらもうスパッっと言おうぜ?」
「そう、だけど・・・」
会場がざわめく中、班長はまだ手を挙げない本人に一言こう告げた。
「あぁ、言っておくけど、嘘ついたらダメだよ?バレバレだから」
「・・・・・」
「さぁ、出てきてもらおうか?」
班長が気長に待っていると、レトはごくりと息を飲んだ。
このまま隠れてもしょうがない、そう踏んだのだろう。
(やっぱ・・・・、こういう日が来るとは思ってたよ・・・・)
レト口元を歪ませて、この会場でただ1人、席から立った。
その光景に本部の隊員全員のざわめきが消え、レトに集中をしていた。
そんなレトを見て、キールアも後に立つ。
「う・・・そ・・・」
「2人は知ってるの!?」
「レトちゃんと、キールアちゃんだったんだ・・・」
「あの2人が、なんて・・・」
「えー、ごほんとな。まぁまぁ静かにしてくれ、こうやって名乗り出てくれたんだから」
班長はまたしても騒がしく驚く会場を静かにさせて、レトとキールアに目をやった。
「さて、言いたくないだろうがその人物を・・・」
「言いますよ、今から」
「え・・・、躊躇しないの?」
「俺、あんまりうじうじしてるの好きじゃないんで。言わせてもらいますよ」
会場全員が息を飲む。
レトは全く表情も変えずに口を開いた。
「蛇梅隊戦闘部隊第二番隊ッ!!!ロクアンズ・エポールだぁぁぁぁあああッ!!!」
レトによる大きな声で、会場は一瞬静まり返る。
誰もが目を見開き、レトへの視線を外さなかった。
キールアも斜め下を向いて俯いていた。
途端・・・、部隊の者全員が酷く、驚異的な声を上げた。
「えぇーーーッ!?」
「ロ・・・、ロク!?」
「嘘・・・、そんなッ!!」
「それにあの紹介の仕方はロクそっくりですね・・・」
「レトちゃん・・・、何考えてるんだろう」
「ほほぉ、やはり言ってくれると思ったよ」
「って、いつも大声で自分の事を紹介している奴が神族だ」
「・・・・、そういう意味か。んで、君達はだいぶ前から知っていたんだよな?」
「あぁ、ざっと言えば8年くらい前だ」
「8年ッ!?」
「そんなに昔から知ってるなんて・・・」
「どうして今まで言わなかったのッ!?」
「あれは8年前の事だな・・・————————」
レトは話し始めた。
ロクを神族だと知ってしまった、悲劇の夜の日を。
その横でキールアは何も言わずに顔を伏せてしまった。