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Re: 最強次元師!! ( No.501 )
日時: 2010/08/05 09:34
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第116次元 目的

 「え・・・・?」
 「お前は半年の間、ずっと眠っていたそうだな」
 「ちょ・・・、は、半年って・・・?」
 「・・・?お前は、時々目を覚ましていたのではないのか?」

 班長からの不明な質問に動揺するロク。
 そう、あの日からもう半年年月が流れていたのだった。

 「あ、あの日は昨日じゃないんですかっ!?」
 「いや、今日は1031年の7月1日だが?」
 「嘘・・・、半年・・・・?」
 「これはレトからの情報なんだが、ロクは夜に目を開けては歌っていたそうだな」
 「歌・・・?」
 「あぁ、レトがその歌声を聴きながら寝ていたと言っていた。だが毎日ではなかったな・・・」
 「でもあたし、1度も起きてませんし、ついさっき目を覚ましたんです。歌なんて・・・」
 「・・・・本当に、何も知らないんだな?」

 ロクはこくんと頷き、班長に目を向けた。
 まさかロク本人もこのような事態に陥っているとは思わなかっただろう。

 「・・・お前のその顔を、俺は信じていいんだよな?」
 「信じるか信じないかは班長自身で決めて下さい。ただあたしは1度も起きてない事を主張します」
 「・・・良いだろう。もう戻っていいぞ」
 「班長」
 「ん?」
 「班長はあたしの事、敵だと思いますか?」
 「どうだか。ただし俺はお前を、仲間だとは認めんがね」
 「・・・そうですか、では」
 
 ロクはそのまま何処にも立ち寄る事なく自室に足を運んだ。
 班長はそのロクの姿を険しい顔でずっと見送っていた。

 流石に廊下ですれ違うと噂が聞こえた。

 「あれ、神族のロクアンズだよな・・・?」
 「第二部隊だからよく覚えてるけど・・・、まさか裏切られるなんてね・・・」
 「目合わせたら殺されるぞ。さっさと行こうぜ・・・?」

 援助部隊の声がどれだけ小さくても、ロクにとっては大きな事だった。
 ロクは過ぎていく援助部隊の人々に、目も合わせる事ができなかった。
 
 “裏切り者”
 そう思われてもしょうがなかった。
 ロクにとっても他人にとっても、それはまだ信じ難い事実。
 この蛇梅隊に神族がいる事態、可笑しいと思い始めているのだろうか。

 「これじゃ任務も無理かな・・・」

 蛇梅隊全員に知られた以上、街全体にも知れ渡る事になる。
 これではまともに任務も行けないし、街に出歩く事さえ難しくなった。

 「おー、ロク。どうしたー?」

 唯一、
 レトだけがロクに普通に話しかけてきたのだ。

 「え・・・」
 「・・・?おーい、ロクー?」
 「レトは・・・普通なの・・・?」
 「普通って・・・今までお前を神族だと思って接してきたんだから、当然だろ?」
 「そ・・・か・・・・」
 「何かあったのか?」
 「ううん。ただちょっと安心しただけ」
 「ふーん・・・」
 「でもあたし、本当にどうしようかな・・・。これじゃ皆に避けられて生活できないし」
 「俺は今のまんまでも十分お前らしいと思うけどな」
 「へ?」
 「だってロクが悪い事したわけじゃないし。第一悪いのは神族全員じゃないし」
 「そうなのかな・・・」
 「お前、確かフェリーなんだろ?あの心の神族妖精」
 「うん・・・、そう言ってた」
 「だったらなおさら問題ねぇよ。だってフェリーは千年前だって人間のために死んだ神族だぞ?」
 「確かに・・・・そうだったね」
 「だから同じ神族でも、フェリーは人間側、それ以外は皆敵だ。ロクが恨まれる要素は1つもない」
 「そか・・・ありがとう、レト」
 「ま、少なくとも俺はロクの見方だから、安心すればいい。多分キールアもだと思うし」
 「うんっ。なんかレトに言われて元気でたっ!それに、あたしの目的も変わらない」
 「目的?」
 「この世の人間のために戦う事。それがあたしの目的だから。どんなに人間に嫌われても、ね?」
 「それでこそ我義妹。ま、俺のアップルパイを横取りすることろは改善して欲しいけどな」
 「なんだそりゃ、改善なんかするわけないじゃん」
 「少しは試みろよ、一応脳みそあるだろ?」
 「何ッ!?今の一応ってッ!!あたしがバカみたいな言い方じゃんかッ!!」
 「だってバカだろ?」
 「・・・・もういいです。戻ります」

 ロクは自室の扉を開けて電気をつけると、ベッドに行くまでもなく床に倒れた。
 このまま自分はここにいていいのだろうか。
 いつか皆に嫌われる日が来るのではないか。
 そういう不安など、多分ロクは持ってはいない。
 
 嫌われても、追い出されても構わない。
 それで人間のためになるのなら、自分は命の尽きるまで人間のために尽くしたい。
 
 ロクの思っている事は、悪魔で人間のための思考だった。


 『ねぇ〜、いいの?フェリーをあのままにしても』
 「しょうがないさ。あいつは人間側なんだから」
 『でもさぁー、あいつ何しでかすか分かんないよぉ〜?』
 「何をしでかそうがはあいつの勝手。それでも僕の野望を妨げる事は不可能だよ」 
 『さっすが〜っ、1番の神族だよねぇ〜』
 「でもあいつは千年前とは違って次元師。侮る事はできない」 
 『でも、いけるんじゃない?・・・・【GOD】なら———————』