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- Re: 最強次元師!! ( No.509 )
- 日時: 2010/08/09 12:37
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
第121次元 偽りの笑顔
「・・・・なぁロク」
「ん?」
「何でお前、さっきからサボコロを目、合わせないんだよ」
「うん・・・・、何かある気がしてね・・・」
「・・・にしても、まさかこれで4人の英雄大六師が揃うとはなぁー・・・」
「風皇を入れれば、5人なんじゃない?」
「でも・・・出てこないぞ?」
「そうなんだよねー・・・」
「・・・んじゃ俺もう1回エンに話しかけてみっから」
「う・・・ん」
ロクは何か思いつめた顔で返事をした。
目線の先にはサボコロがいた。
「・・・・・」
「あ、そういえばお前、何で神族なのに此処にいるんだ?」
「も・・・目的の・・・ため」
「そうなのかー・・・、ま、俺あんまり気にしないからな」
「・・・・」
「おい、人と話す時は目を目を合わせてアイコンタクトをだなぁー・・・」
「・・・————————————ッ!?」
ロクは初めてサボコロと目を合わせた。
ロクは何かに気付いたように驚き、サボコロの手を振り払った。
「そんな目で・・・そんな目で笑わないでッ!!!」
「え・・・」
「どうしたの?」
「さ・・・・さぁ?」
ロクは遂に怒り、部屋から颯爽と消えていった。
手を振り解かれたサボコロは非常に驚いていた。
(ロク・・・・?)
「まぁ気を落とさないで下さい」
「きっと何かあるんじゃない・・・かな」
「そう・・・か」
(ロクは何か感づいていたって言うのか・・・?でも何に・・・)
レトはロクが言った言葉を不思議に思い、サボコロの目を見てみた。
だが何の変哲もない普通の目をしていて、ロクが怒った理由も分からない。
「・・・・・気のせいか」
「レトヴェール、だっけ?」
「あ・・・あぁ」
「ロクアンズってお前の妹なんだろ?」
「いや・・・詳しく言えば義妹だ」
「そう・・・なのか」
「それより、長かったらレト、とかロク、とかでいいからな」
「わ、分かった」
「・・・・」
レトも考えていた。
『そんな目で笑うな』と言ったロクの言葉を。
あれは一体どういう意味だったんだろうか。
「俺、自室に戻るわ。何か分かんない事あったら言えよ?俺結構常連だし」
「そうか。道に迷ったら助けてくれ」
「あぁ、了解」
レトも部屋から出ていった。
後に全員の次元師が出て行く事になったのは、およそ10分後だったが。
ロクは暗い部屋でベッドに寝そべっていた。
サボコロのあの笑顔に不満を抱いていたロクは、未だに険しい表情をしていた。
「・・・・おいロク」
「・・・・何?レト」
「何って・・・・さっきの言葉だよ。どういう意味だ?」
「そのまんま」
「そのまんまって・・・、何か思い付いたんだろ?」
「・・・・うん」
「言ってみろ。俺が兄として聞いてやるから」
「・・・・サボコロ、いるじゃん」
「あぁ、いるね」
「あの人、どうも笑顔が本物じゃないの」
「本物?」
「そう。あれは作り笑いな気がしてならない。だからずっと違和感を感じてた」
「なるほどね・・・」
「だから目を合わせた時に気付いたの。絶対に無理して笑ってるって」
「・・・・なぁ、お前って心の神、だよな?」
「うん・・・多分」
「だから分かるんじゃねぇのか?あいつが心から笑ってないって」
「そう・・・かもね」
「エンも何も喋ってくれなかったし、あいつも何か・・・」
「エンは分かった」
「ッ!?」
「エン、多分無次元に行ったんだと思う」
「はぁッ!?無次元にッ!?」
「うん・・・まぁ悪魔で推測なんだけどね」
「あぁ」
「運命に、心を奪われたんだと思う」
「心・・・・」
「感情、表現、心、全てにおいて奪われたとあたしは見る。違うかな?」
「・・・確かに、それだと納得行くけど・・・」
「でも何かひっかかるんだよねー・・・」
「どっちだ?サボコロか?エンか?」
「今はどっちもだけど。許せないのはサボコロ」
「あいつだって悪気があるわけじゃなさそうだし・・・」
「・・・んじゃ此処は心の神として、2人の心を180度回転させてみせますか」
「へ?」
「付き合ってくれる?レト」
「・・・・俺にできる範囲なら、な」
ロクとレトはロクの部屋から何やら2人を求めて出て言った。
いきなり謎の入隊をした2人の次元師。
藍色の髪の無口で冷酷な少年と、
紅色の髪の偽りの笑顔の少年。
その2人を救うべく、心の神としてのロクの戦いは、
とっくに火蓋を切っていた。
そしてレトは、その横で人間を救おうと一生懸命なロクに、
仕方ないと一言添えてついていく。