コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.520 )
- 日時: 2010/08/16 18:00
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
第125次元 世界一の宝物Ⅱ
「ちょっとっ!!あたしはチョコのケーキって言ったはずだけどッ!?」
「そうでしたか?いつもクリームをお頼みになられるので、そちらかと」
「謝る気あるの?」
「いえ、全く」
「もう〜〜っ!!!」
今日も宮殿は騒がしい。
新人執事のガネスト・ピックと、
次期王女のルイル・ショートス。
この2人を見て、ため息をついていたのは多くのメイド達だった。
毎日毎日喧嘩三昧。こんな2人を一緒にいさせていいのかと、不安を抱えていた。
「前の執事の方が100万倍は良かったぁ〜〜ッ!!」
「僕だってさっさと終わらせたいです」
「・・・・もう、知らないっ!!」
「ご勝手に」
ルイルは怒りのあまり部屋に戻ってしまった。
ガネストが綺麗に立っていると、メイド達が集まってきた。
「どうなさいました?」
「ちょっと、いいのかしら?ルイルお嬢様にあのような口をきいて・・・」
「あれでなくては次期王女は務まりません。もう少し厳しく接するべきです」
「え・・・ただ端に王女が嫌いなだけじゃないの?」
「それだけだったらもう逃げてますよ。王女には王女らしく生きていって下さらないと」
「・・・でも」
「・・・・そういえば、ルイルお嬢様には亡きお姉様がいらっしゃるとか・・・」
「・・・ッ!?」
「そうよ、でも不運の事故で亡くなって・・・それからよね」
「・・・?何がです?」
「ルイルお嬢様、お姉様がいた頃にはまだ明るくて元気だったのよね」
「そうそう、でもお姉様が亡くなってから、すっかり笑顔が消えたのよ」
「まだあんなに小さいのに・・・」
(お姉様の死により笑顔を失う・・・か)
「でも・・・それだけであんなになるとは・・・心の弱いお嬢様だ」
「そんな言い方・・・ッ」
「・・・これが現実ですよ?メイドさん」
「・・・ッ!?」
ガネストは夕食の準備を済ませ、颯爽とルイルの部屋へと向かった。
ガネストは扉に手をかけたが、中から声がする事に気がついた。
「・・・・?」
「お・・姉・・・ちゃ・・・っ」
(レイルお姉様・・・か)
「本当は・・・いたい・・・に・・・」
「・・・・?」
「笑い・・・たいのに・・・っ!!!」
(——————ッ!?)
「寂しい・・・・会いたいよ・・・お姉ちゃん・・・っ!!!」
「・・・・・何も、言えない・・・か」
ガネストはルイルが泣き止むまで、ずっと扉に背をもたれ、立っていた。
「おぉー・・・良く来てくれた、感謝するぞ次元師殿」
「はい、兄は急用で来れないんですけどね」
「構わん、任務の方は、内容はもう・・・」
「はい、承っております」
「そうか・・・ではあの2人を頼むぞ」
「はいっ!!」
(優しい国王様だなぁ・・・。レトもあれぐらい優しければ・・・)
なんと、ロクの任務先が、ここショートス家の宮殿だったのだ。
その内容も定か・・・あの執事と王女の事だった。
「どんな人達だろうなぁー・・・」
ロクが期待しながら部屋に向かうと、扉の前で寝息をたてながら立っている少年がいた。
あの姿からして執事だろう、とロクは確信した。
「何やってるんだろう」
ロクは、執事の肩をとんとんと叩いた。
でも起きる様子がないのでロクはすぅっと息を吸い込み・・・。
「起きろーーーっ!!」
「おわぁッ!?」
ガネストの耳元で叫んだのだ。
ガネストは耳を抑えながらもロクの方に顔を向けた。
「だ・・・誰ですかっ!?」
「・・・ねぇ、そのご飯、冷めちゃうんじゃない?」
「大丈夫ですよ、暖房効果が施されてますから・・・・」
「へぇー・・・今の時代ってすごいねぇ」
「貴方も今の時代じゃないんですか?」
「・・・あ、そっか」
「・・・誰ですか?と聞いてるんですが」
「・・・聞きたい?」
「はい、できれば簡単に」
「いいよ、教えてあげる」
ロクは自慢げな顔でふふふっと笑い、腰に手を当てて空いた右手の人差し指をビシッっと突き出した。
「蛇梅隊戦闘部隊第二番隊ッ!!ロクアンズ・エポールだぁぁぁぁーーーーッ!!!」
(・・・・な・・・・っ!?)
ガネストは呆気に取られて声も出なかった。
その恥ずかしいポーズをよくできるな、とガネストは感心した。
「・・・どうしたの?」
「んで、そのロクアンズさんは何しに来たんですか?」
「任務だよ、勿論極秘♪」
「はぁー・・・」
(本人達には喋るなって・・・言われたね)
「せいぜい邪魔にならないで下さいね。・・・次元師さん」
「・・・何言ってるの?」
「?」
「君と王女も、次元師でしょ?」
「・・・ッ!?」
「図星だねぇー、分かるもんは分かるのよ」
「・・・なんという直感ですか」
「さぁ?まぁ蛇梅隊に勧誘するつもりはないけどねー」
「・・・・」
(のろけた口調・・・エポールの姓・・・間違いないな・・・)
「蛇梅隊始まって以来の期待の新人、エポール兄妹の妹さんですね?」
「ほぉ・・・、良く知ってるねぇ」
「まぁ、そこらじゃ有名ですから」
「え、もう有名なの?この国も?」
「ええ」
「ほぇー・・・」
この宮殿に入り込み、任務をしにきた蛇梅隊新人隊員のロク。
ルイルは泣き疲れたのか、すやすやと眠っていた。
我儘王女と冷酷執事の目の前にようやく現れたロク。
ロクは、どうやって2人を変えるつもりなのだろうか。
その真相はまだ、誰にも知られない。