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Re: 最強次元師!! ( No.546 )
日時: 2010/08/26 21:25
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第132次元 冷たき瞳の言葉Ⅱ

 今日も食堂は騒がしい。
 たった1人の少女の声のせいで。

 「あとえびふらい1034本持って来て下さぁーーいっ!!」
 「あぁ・・・なんか慣れてきた」
 「ん?どうふぃたほ?」
 「・・・いやぁ、変な妹を持ったなぁ、と」
 「変ふぁ妹っふぇなんふぁおーーっ!!!」
 「え?何て言ってるのか俺全然分かんなぁーい」
 
 (・・・レトめ・・・・)

 ロクは頬張ったえびふらいをごくりと飲み込み、一気に水を飲んだ。
 ぷはぁーッっという一言を添えてロクはコップを空にしてテーブルに置く。

 「にしても良く食うなー・・・お前」
 「育ち盛りですから」
  
 (いや・・・全然関係ねぇだろ、それ)

 「っていうか良く食べるのはあたしだけじゃないよ」
 「へ?」
 「あっちに・・・ね?」
 「あぁ・・・そっか」

 この蛇梅隊内で食事の量が並外れに多いのはロクだけじゃなかった。
 美少女のような顔立ちで次元師としての腕も確かな、ラミア・ミコーテも、大食いの1人。
 ロクはもうとっくに目の仇にしていた。

 「ねぇラミア、今日は大食い勝負の日だよ?」
 「誰がそんなのやるって言ったんだよ」
 「えぇー!?だってつまんないじゃんかぁーっ!!」
 「・・・俺はやらない。他の奴とやれ」

 いつもロクが誘っては、ラミアは断ってきた。
 そんな日々がもう1ヶ月続いている。
 周りもそろそろ諦めるだろう、と噂をし始めた。

 「今日も静かに食べれなかったよ。頼むから1人に—————————」
 「逃げるんだ?」
 「ッ!?」

 ラミアが頭を掻き、テーブルの椅子から立ち上がろうとした時、
 ロクが小さく言葉を吐いた。

 「な・・・」
 「そんなに食事が大好きなら、競い合うのも楽しいんじゃない?」
 「・・・んなわけないだろ」
 「競うっていうよりは、誰かと隣同士で食べる方がいいと思うけど」
 「大きなお世話だ」
 「だからいつもそんな寂しそうに———————」
 「だから大きなお世話だって言ってんだろッ!!!」

 ガタンッ!!、という大きな音をこの食堂に響かせたラミアは息を荒くしていた。
 ラミアの目の前にあった食べ物も、無残に散っている。

 「・・・余計なお世話だ」

 そう言ってラミアが立ち去ろうとした時、

 
 「食べ物を粗末にするなこの美少女的少年めぇぇぇーーーーッ!!!」

 「—————ッ!!?」

 ガラガラ・・・・、

 ロクは見事な跳び蹴りをラミアの背中に打ち込んだ。
 ロクの目にはもう怒りに塗れていて周りさえ映さなくなってしまっていた。

 「あんた何様なのッ!?こんなに食べ物ぐちゃぐちゃにしてッ!!!」
 「・・・・っ!?」
 「逃げるの!?そうやってまた自分に言い訳つけて食べ物から逃げるんだっ!?」
 「そうじゃねぇよ」
 「だったら今すぐ綺麗に片付けてっ!!」
 「・・・やだ」
 「何で?」
 「大体お前こそ何なんだよ人の事嗅ぎ付け回って。何か俺に用でもあるのか?」
 「あるって言ってるじゃん、なのに人の話を聞こうともしないからっ」
 「聞く暇があるなら任務行った方がましだ」
 「任務?食べ物1つまともに大事にできない奴が何言ってんの?」 
 「はぁー?いいか、お前がしつこく付きまとうからこうなったんだよ」
 「食べ物を粗末したのはあんた自身でしょっ!?」
 「いいやお前だっ!!」
 「ラミアだってばっ!!」
 「お前だっ!!」
 「ラミアっ!!」

 2人の言い争いはまだ続くかと思いきや、ラミアは颯爽と消えていった。
 食堂での騒ぎは一旦終わりを告げ、零れた食事や汚れた周辺をロクがせっせと片付けていた。

 「・・・・おかえり」
 「ったく・・・何なのあいつー」
 「だから言っただろ?本部内一の一匹狼だって」
 「だから、ラミアは本部内一の一匹狼じゃなくて・・・———————」

 ロクはふっ、と笑い、ラミアの怒った顔を思い浮かべた。

 「あたしが本部内一の美少女的少年、にするって事っ!!」
 「な・・・なんだそりゃ・・・」
 「あたしがラミアを馴染めるようにするっ」
 「どうやって?」
 「そうだね・・・まずは——————」

 ロクは一瞬の悩みを打ち消すかのように掌の上で手をぽんっと叩いた。

 「あの冷たい目の訴えの声を、聞くべきだね」