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Re: 最強次元師!! ( No.551 )
日時: 2010/09/04 22:45
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第134次元 冷たき瞳の言葉Ⅳ
 
 (ラ・・・ラミアが・・・泣いて・・・る?)

 あまりの状況に声を喉に詰まらせたロクは立ち止まってしまった。
 そして、何も言わず、何の音もたてずに屋上のドアをゆっくり閉じ、出ていった。
 ラミアが泣いていた。あの、一匹狼と謳われた少年が。
 だが、何故?

 「ラミア・・・」

 何故泣いていたのか。そして何故屋上で?
 そんな疑問が次々とロクの頭を襲う。
 ロクはくしゃりと髪を掴み、何も言わずにその場を後にした。

 
 「・・・・?」

 レトの自室には、レトは滞在しておらず、
 なんと1人で任務に行ってしまったらしい。

 「レト・・・」

 まさか置いて行かれるとは思っていなかったロクは溜め息を吐き、隣である自室へと戻った。
 ベッドにダイブするようにして飛び込み、ロクは顔を上げずに何度も考えた。

 何故、ラミアは泣いていた?
 何故、ラミアは今までその涙を隠していた?
 何故・・・ラミアはあんな寂しそうな目をしていたのか。

 何度か考えているうちに、ロクは寝入ってしまった。
 考えたくない。
 そう、ロクの脳裏を何かが過ぎた。

 
 「・・・・おい」

 
 ロクが目を覚ましたのは、レトの声…。
 
 ではなく、何故かラミアの声だった。

 「ラ・・・ミア・・・?」
 「お前・・・屋上にいただろ」
 「っ!?」
 「・・・そうだろ?」
 
 ラミアは、ロクに拷問するかのように問いかけた。
 ロクは…口を開かなかった。

 「・・・言わない、か」 
 「・・・?」
 「お前も、あの人に似てるよ」
 「あの・・・人?
 「・・・・何でもない。じゃあな」
 「あ・・・っ!!」

 ロクは、ベッドからがばッっと起きて、ラミアを呼びとめた。

 「・・・何だよ」
 「何で・・・・来たの?」
 「・・・別に、俺の事、お前はバカにしねぇのかなって」
 「・・・しないよ」
 「・・・?」
 「だって・・・大喰らいに悪い人はいないもん」
 「・・・あそ」

 ラミアは先程とはまるで違う態度を取り、ロクの部屋から出ていった。
 ラミアは気付いていたのだろう。
 あの時、ロクが屋上で自分の泣き顔に気付いてしまった事に。
 だがロクはラミアを事をバカにするような事はしない。
 ラミアはそれを何故か、『あの人と似ている』と言っていたが。

 「・・・・あの人って・・・誰だろう」

 色々は不安が過ぎる中、
 ロクは夕食を食べに食堂へ足を運んだ。


 食堂についたのは良いけれど、流石にラミアの姿はなかった。
 いたのは戦闘部隊の援助隊員と、医療部隊の人達。
 ちょくちょく副班長の姿も見えていた。
 
 ロクはいつも通り、椅子に腰をかけた。

 「余計な事はすんなって・・・言ったのに」

 隣で溜め息を吐きながら、何やらぽつりと呟く少年。
 レトはアップルパイを黙々と食べながらそうとだけ言った。

 「余計な事っていうか・・・」
 「余計な事なんだろ?どうせ」
 「・・・・」
 「何があったかは別に問わないけど、ラミアをあんま傷つけたりすんなよー?」
 「・・・何で?」
 「何でって・・・だってあいつは同じ戦闘部隊の仲間だろ?」
 「・・・そうだね」
 「・・・?」
 「ごめんあたし、もう1回行ってくるっ!!」
 「待て」
 「・・・?」
 「ちょっとだけ、待ってくれ」
 「何?急いでるんだけど」

 ロクが焦った声でそう言った。
 だけど、そんなロクの気も、レトの言葉で吹っ飛ばされた。

 「なぁ、ラミアの昔話とか・・・興味ないか?」

 レトは、自慢げにそう言った。
 机から足を出して走る準備をしていたロクの足は、ぴたりと止まった。

 「昔・・・話?」
 「あぁ、任務先でラミアの名前を知ってる奴に会ってな。そんで色々聞いたんだ」
 「そ・・・その人、なんてっ!?」
 「まぁ落ち着け。最初から順を追って話す」
 「う・・・うん」

 そう言われたロクはゆっくりと戻り、椅子に腰をかけた。
 レトが水を少し口に含み飲み込むと、ロクは小さく喉をこくんと鳴らす。

 「ラミアってさ・・・実は髪伸ばしてるのに理由あるらしいぞ?」
 「へ?」
 「ラミアの青い髪だよ。何でだと思う?」
 「んー・・・母親がそうだから?」
 「近い。・・・ってかそれ、俺か?」
 「あ・・・そういえばレトはそうだったね」
 「まぁ正解は・・・」

 レトは少し言葉を止めた。
 次の言葉が出るのを、ロクは懸命に待っていた。

 「あいつの師匠が・・・青くて長い髪だった。・・・だそうだ」
 「し・・・師匠?」
 「あぁ、そしてあいつは今もその師匠の面影を探してる」
 「面影・・・」
 「でも、何故かラミアはその師匠を恨んでる」
 「へ?何で?」
 「何故かというと・・・だな」

 レトの飲んでいた水の中の氷が、カラリと音を立てて崩れた。
 その時、衝撃の一言がロクの鼓動を走らせる。

 
 「ラミアの次元技が————————————、その師匠の命を奪ったからだ」