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Re: 最強次元師!! ( No.554 )
日時: 2010/09/13 13:57
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*

第137次元 冷たき瞳の言葉Ⅶ

 「そらよ!!!」
 「うぉ!?」

 男が大振りに爪を振り回す。
 それを華麗に避ける師匠。
 次元師でもないのに、良くここまで戦えるものだ。

 「お前・・・何者だ?」

 あまりの戦闘慣れに、男は師匠に問う。

 「旅人だよ」
 「でも・・・ただの旅人じゃねぇよな?」
 「んー?僕は何処にでもいる旅人さ。————世界中の景色をこの目に刻む、職人だけど」
 「職人か?」
 「うん・・・立派なね」

 師匠が話し終えると男は足を構えて体勢を低くし、高速で向かってきた。
 師匠はその攻撃を少し掠りながらも避け、体勢を崩した。
 師匠の息が上がる。
 ラミアは少し、不安な顔をした。

 「もう終わりか?喧嘩売ってきたわりには弱いな、お前」
 「はは・・・普通の人間だからね」
 「んじゃあ普通の人間らしく、この世から去れ——————ッ!!!」

 男が長い爪を構えて一気に襲い掛かる。
 だが、男が狙ったのは師匠ではない。
 
 「ッ!?」
 「—————なんてな、嘘だよ」

 男の爪は師匠の後ろにいたラミアに向けられる。
 
 「ラミア君ッ!!」
 「死ね小僧!!!」

 (し・・・しょ————ッ!!)

 男の爪が深く突き刺さる。
 血しぶきを上げ、ポタ…ポタ…と血が落ちた。

 「・・・・しぶといなぁ、お前」
 「・・・はは、旅人ですから・・・」
 「し———、師匠!?」

 ラミアが声を上げた。
 爪の餌食となったのはラミアではなく、師匠。
 男の戦いでかなり体力を消耗しているはずの師匠がとっさにラミアを庇ったのだ。

 「何でだよ・・・師匠ッ!!!」
  
 師匠は、ぐったりと倒れて声も発さなかった。
 その様子を見て男達が嘲笑う。
 
 その時だ、

 ラミアの怒りが、限界を超えてしまったのは。


 「・・・・おい」

 ラミアの横を吹き抜ける風は、
 まるで師匠の体を包み込むように
 
 ただただ———、流れ続ける。


 「謝れよ」

 
 「誰にだ?」

 
 「師匠に・・・」

 「・・・?」

 
 「決まってんだろーーー—————————ッ!!!!」


 (なんだ————、この威圧感はッ!!?)

 
 ラミアの怒りが一気に周りの空気を変えた。
 吹き抜ける風も、今や暴れる猛獣のように騒がしい。

 「次元の扉——————発動ッ!!!!」

 ラミアが溢れ出る涙を抑えながら必死に叫んだ。


 「水皇ーーー————————ッ!!!!」

 ラミアの周りを水が回る。
 まるで操られているかのように舞う水は
 ラミアを包みながら放浪としていた。

 「次元技・・・だと!?」
 「ぜってぇ許さねぇ!!!」

 ラミアが右手を突き出す。
 その動作にぴくりと男が動揺した。

 「第六次元発動ッ!!!」
 「初めから・・・六次元だとッ!?」

 「水撃ーーーーーッ!!!!」

 突き出した右手から突如現れる多大な水。
 放射された水は男達を激しく包み込み、飲み込んだ。

 その姿はまるで———、竜のよう。

 「ぐごばぁっ!!」
 
 爪の男が水から這い上がり、荒い息をしながら出てきた。

 「・・・ミア・・・・く・・・」

 ラミアの近くから、何者かの声がした。
 怒りで我を忘れたラミアはそんな小さな声を聞き取る事さえできなかった。

 「————まだゲームは終わってないぜ?」

 「こんの・・・小僧が・・・ッッ!!」

 水を纏い、怒り狂うラミア。
 
 そんな弟子の姿を見て、

 師匠は静かに涙を零す————。