コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.555 )
- 日時: 2010/09/14 18:34
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第138次元 冷たき瞳の言葉Ⅷ
「水撃ぃぃーーーっ!!!」
ラミアによって放たれる水の塊。
その水はまたしても男達を襲い、飲み込んでいく。
「「第七次元発動————ッ!!!」」
両者が次元唱を唱える。
「水弾ーーーッ!!!」
「裁爪ーーーッ!!!」
水と爪がぶつかり合う。
2つの攻撃が相殺し合い、その煙の中から姿が見えた。
「はぁ・・・はぁ・・・、やるな、小僧」
「謝れ」
「断るって言ったら?」
「ぶっ殺す!!!」
ラミアは低い姿勢で走り、手を広げた。
「第七次元発動——————ッ!!!!」
ラミアは男の懐まで入り込み、足を止めて手を構えた。
「水撃ーーーーーッ!!!!」
「——————————な・・・ッ!?」
勿論、言うまでも無くラミアの水撃は直撃した。
男は倒れ、もう息も絶え絶えだった。
「う・・・・ぁ・・・っ」
辛うじて、まだ息はある。
それを確認したラミアは、
なんと、もう戦えない男に向かって、
手を構えた。
「・・・第八次元発動」
「—————ッ!?」
「・・・ミア——————、君・・・っ!!!」
師匠は必死になって叫んだ。
だが、師匠の言葉など、ラミアの耳には届かなかった。
「水げ—————————ッ!!!」
(殺られる・・・こんな小僧に—————————ッ!!?)
「ラミア君ッ!!!」
「—————ッ!?」
もう遅い。
ラミアが師匠の言葉に気付くのが、
遅すぎたのだ。
ラミアの放った水撃は見事に目の前の敵を捕らえた。
そう、師匠が男を庇わなければ。
「し・・・・しょう・・・?」
ラミアは我に返ったのかふっと気が抜けたように座りこんだ。
師匠が目の前で倒れていた姿を見て——————、ラミアは叫ぶ。
「師匠ッ!!!」
誰よりも大事。
まだ1日もこの人と過ごしていなかったのに、
ラミアはそう思っていた。
「師匠・・・、どうしてっ!!!」
「ミア・・・く・・・」
「っ!?」
「すまない・・・許してくれ」
「な・・・何を・・・」
「君を戦いに巻き込んでしまったのは、私が不甲斐なかったからなんだ・・・」
「違う!!これは自分の意思で・・・っ!!!」
ラミアの頬には、一筋の流れる涙。
1つ1つ、丁寧に落としていく。
その涙は土に染み、溶け込んでいった。
「もし君が私のせいでこれから大変な事になってしまったのなら・・・1つだけ、聞いていいかな?」
「何・・・を?」
「君は——————、何を求める?」
掠れ掠れで弱弱しい師匠の声。
その声をしかと受け止めるかのようにラミアは師匠を見下ろした。
「え・・・・」
「君の夢・・・聞きたいな」
「俺の・・・夢・・・」
「いいかな・・・?」
「・・・今のとこ、何も・・・。それより・・・ッ!!!」
「・・・?」
「早く病院行かないと師匠が・・・っ!!!」
「師匠って・・・呼んでくれたんだね?」
「え・・・・」
「今まで、『あんた』だったから・・・ちょっとね」
「んな事、今関係ねぇだろ!!!」
「ラミア君、僕の夢はね・・・」
「師匠!!」
「この美しい世界を・・・全て見る事だったんだ」
「・・・美しい・・・世界?」
「うん・・・珍しい花や大きな山。人が交わる街とか・・・自然現象とか」
「それが何だって・・・っ!!」
「でも・・・叶わなかった」
師匠の体はもう動かず、
ただ、1人で自分の夢を語り続けた。
「まだあるだろ師匠!!」
「君に・・・頼みたい」
「・・・?」
「僕の夢を・・・引き継いで欲しい」
「どうして!!」
「世界中の物を見て、学んで、聞いて、生きて欲しい・・・それが君への願いだ」
「んなの・・・、俺が許さねぇぞ!!!」
「ありがとう・・・やっぱり君は優しい子だった」
「え・・・」
「初めて会った時、君は僕とあんまり話そうとしないし、冷たい態度をとっていた」
「・・・・」
「でも・・・君はすごく優しい子だよ。強くなれる良い子だ」
「そんなの・・・」
「僕の大事な人から預かった髪紐・・・君に預けるよ」
「え・・・」
「僕の変わりに・・・届けて欲しいんだ」
師匠はラミアの溢れる涙を、見つめながらそう言った。
自分が死にそうなのに、優しく微笑んで。
そして師匠はゆっくり口を開いてこう言った。
「ラミア君——————、強くなりたいなら、力を求めなさい」
「・・・—————ッ!!?」
「誰の心も揺るがすような、優しい強さを」
「し・・・しょ・・・っ」
「力を求める事・・・それが今の君にぴったりだと思うよ」
「師匠・・・師匠っ!!!」
「バイバイ・・・僕は今日1日、君に会えた事を誇りに思う」
「そんなっ!!」
「弟子の目の前でこの世から去れるなんて—————、僕はなんて幸せ者なんだろ・・・う・・・」
「師匠———————ッ!!!」
そしてゆっくり、ゆっくり目を閉じる。
今までの過程を終了し、
任務を終えて幸せそうに眠る師匠。
きっと…、安らかな眠りにつけただろう。
「師匠ぉぉぉぁぁぁぁぁああああああ—————————ッ!!!!」
自分の犯してしまった過ちに、今更ラミアは気付いた。
俺は…なんて事をしたんだろう。
師匠の言葉なんか…聞いちゃいなかった。
俺のせいで…師匠が…ッ!!!
「う・・・グス・・・、グス」
真っ暗な闇に包まれ、
月光の光に照らされて1人の少年は泣く。
己の憎しみのせいで死へと追い詰めてしまった大事な人を、
ただ目の前に泣き叫ぶ。
『ラミア君——————、強くなりたいなら、力を求めなさい』
今のラミアに、
師匠の言葉が深く深く、
突き刺さる——————————・・・・・・・・・・、