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Re: 最強次元師!! ( No.557 )
日時: 2010/09/17 18:57
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*

第140次元 殺し屋に隠された秘密

 「あの時のラミア、結構怖いし可愛かったもんね〜」
 「可愛いは余計だ。あの後俺を騙してメイド服着せたお前は何なんだー?」
 「まぁ・・・似合いそうだったしっ」
 「・・・・」
 「ラミアちゃんの過去ってそんなに辛かったんだぁー・・・」
 「すごいですね、悲しいと言いますか・・・」
 「別にいいんだよ。もう師匠の事は追ってないし」
 「嘘つけ」

 ラミアが語っていると、
 そこでレトの言葉が入った。

 「え」
 「任務がいつも長引きして帰ってくるのも遅いお前が何言ってんだー?」 
 「いや・・・それは・・・」
 「その任務先の観光スポットや有名な場所をまわってていつも帰ってくるの遅いんだろ」
 「・・・まぁ・・・な?」
 「でも・・・師匠の夢をお前が背負うんなら、文句ねぇけど」
 「旅人・・・、それにこの髪紐の持ち主も探さなきゃなんねぇしな」
 「だな」
 「・・・そういえば」
 「ん?」
 「サボコロちゃん、どうするのぉー?」
 「「あ」」

 レトとロクが思わず言葉を零した。
 そういえば…サボコロの事をすっかりと忘れていた。
 


 「お前が関係してるって・・・どういう事だ?」
 「簡単に言えば・・・俺が終わらした事に・・・なる」
 「詳しく聞きたい、いいか?」
 「サボコロが・・・、いいならな」
 「・・・?」
 「あれは千年前の事だなぁ・・・」

 千年前。
 そう、炎皇や雷皇、双斬などの英雄大六師が生きていた時代。
 炎皇の殺し屋一家は、サボコロのミクシー家との関係も深かった。

 「・・・よく参られた、——」
 「いえ、レイズ様のためなら東へも西へも行く覚悟ですので」 
 「頼もしいな、我弟子よ」
 「はっ!!」

 炎皇は任務のため、ミクシー家の主であるレイズの元へと行った。
 その任務は…勿論“殺し屋”としての仕事だった。
  
 「数日前に標的にしたあ奴らを・・・」
 「あ・・・あの」
 「・・・?」
 「私、——は辞退してはいけないでしょうか?」
 「・・・何?」
 「人を死へと誘う事・・・もうこれ以上はできませぬ!!」
 「・・・それが本音か、——?」
 「はい」

 炎皇は決して好んではいない。
 自分と同じ人間を…殺す事など。
 
 「・・・良いだろう」
 「!?」
 「我も・・・もう殺しなど勘弁と思っていた頃だった」
 「レイズ・・・様」
 「心優しき人間に、人を殺す事はできぬな。・・・良くぞ言った、——よ」
 「レイズ様・・・ありがとうございます」
 「この事は内密にな。周りに知られたら偉い事になろう」
 「どういう事ですか?」
 「・・・我ら殺し屋を、信じている者もいれば妬み、恨む者もいるのだ」
 「・・・・」
 「だから・・・我・・・は・・・ッ!!」
 「レイズ様!?」

 その時、不明な病に侵されていたレイズは倒れてしまった。
 医者を呼んだが、もう手遅れだった。
 炎皇がレイズの部屋へ入ると、レイズは本に何かを書き記していたのだ。

 「・・・レイズ様?」
 「お・・・おぉ・・・丁度良かった、——よ」
 「その本は・・・?」
 「これを・・・千年後に我子孫に、渡して欲しい」
 「そんな・・・ッ!!!」
 「お前しか・・・頼れないのだ」

 死に際に書いたレイズからサボコロへのメッセージ。
 それは千年の時を超え、今、現在のミクシー家へと受け継がれた。

 
 「俺が殺し屋をやめたいって言ったから・・・ミクシー家の暗殺は終わったんだ」
 「待てよ・・・そんなに簡単に殺し屋ってもんはやめられるのか?」
 「いや・・・元々レイズ様は殺し屋なんて柄じゃなかった。・・・優しい人だよ」
 「・・・・」
 「悪い・・・いきなり変な事言って。・・・ホントごめん」
 「いや、いいよ。俺も少し冷静にならなくちゃな」
 「え?」
 「・・・ありがとな、炎皇」

 サボコロはその後、静かに自室に戻っていった。
 炎皇を置いて、ただ1人で。
 
 
 「サボコロ、どうしようか?」
 「どうしようかって・・・お前が発端だろ」
 「でも・・・」
 「やけに元気ねぇな、どうした?」
 「サボコロは・・・傷ついてないかな」
 「え・・・」
 「あたし達に責められて・・・傷ついてないかな」

 (ロク・・・そんな事考えてたのか・・・)

 サボコロに強く当たり、もしかしたらもっと心を閉ざしてしまったのではないのだろうか。
 ロクはそう思っていた。
 殺し屋の事、妹の事、炎皇の事…。
 全てひっくるめて、考え込んではいないだろうか。
 
 「・・・そんなの心配する必要ねぇと思うぞ?」
 「・・・え?」
 「お前はお前のやり方であいつに仲間意識させるんだよ」
 「あたしの・・・やり方」
 「そうだよロクちゃんっ!!」
 「サボコロもロクも、僕等の仲間ですから」
 「まぁ、俺も一応ね」
 「・・・あたしはルイル姉さんが良ければそれでいい」
 「あ、あたしも・・・かな」
 「ぼ・・・僕も・・・ロクさんをし、信じてます・・・」
 「・・・皆・・・・」

 周りの皆からの言葉を貰い、ロクは再び微笑みだす。
 その微笑みは、勝利を確信した顔だった。

 「そうだね・・・あたしのやり方でいいなら」
 「それでこそ俺の妹だ。・・・元気ねぇロクなんて不気味だからな」
 「不気味って・・・レト・・・」
 「確かに元気ないロクちゃんは見たくないよね♪」
 
 任務室にいた皆はそれぞれ自室に戻った。
 もう夜なのだろう。

 真黄色に光る丸くて大きな月。
 その月を眺めながらサボコロは何を思いのだろう。
 今宵もまた…哀れし人の涙は光る。