コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.558 )
- 日時: 2010/09/29 20:41
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
- 参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*
第141次元 笑う事
「・・・あのー、ロクさん?」
「ん?何?レト」
「俺はそんな事要求してないぞ?」
レトの突っ込みはこの任務室に響き渡った。
何故レトはそんな事を言ったのか。
そんな事、言うまでもなかった。
「何ってあたしのやり方で———————」
「お前のやり方ってのは・・・」
「?」
「任務室のド真ん中で孔雀の格好をして踊る事かァァァァァァァァァッ!!!!」
レトの怒りは紛れもなく本物。
任務室では皆がロクから目を逸らしていた。
無理もない、ロクは美しい孔雀の格好をして立っているのだから。
「・・・これが何?文句あるのー?」
「ありすぎだバカ。それにどう突っ込みを入れたらいいか分からん」
「んー・・・結構良いと思ったんだけどなぁ・・・」
(えー・・・)
「それにこれがあたしのやり方だから」
「いや・・・大分違うと思うんだが・・・」
「そう?」
「うん、かなりな」
「やっぱ白鳥の方が良かったかな・・・」
(そっちにするつもりだったのかァァァァァァァァッ!!?)
孔雀も白鳥も似たようなものだ。
レトは完全に呆れていて、突っ込む元気さえ無くしていた。
「ロクちゃん、それ・・・何?」
「何って・・・孔雀だよ?」
「孔雀・・・ですか」
「何?ガネスト」
「いえ、個性的で素晴らしいと思います」
「そう?やっぱガネストは分かるんだねーっ!!」
「ガネストは別の意味でそう言ったんだよ」
「ラミアまで・・・ラミアも着る?」
「死んでもやだ」
「・・・・何だそりゃ」
「私も勘弁。・・・それ、アホらしいわよ?」
「ティリにまで言われたんですけど・・・」
「に、似合うんじゃない?ロクちゃん」
「そうかな?いやぁー、ミルも着る!?」
「いや・・・遠慮しておくよ」
「えー・・・」
「僕もちょっと・・・やめておこうかな・・・」
「皆してー・・・いじめだぁッ!!!」
「現実を見ろ、このアホ」
「アホじゃないもん」
「んじゃあ何だ?」
「え。・・・えー・・・と」
「ほら、アホじゃん」
「アホじゃないもんっ!!!」
今日も騒がしいこの任務室。
皆は日に日に…ロクの事を信用しつつあるのだろうか。
だが、やはりロクの信用はまだ得られているとも言えない状況だった。
「俺やっぱお前が妹だなんて信じられないんだが・・・」
「何それーバカにしてんの?」
「もうお前の事をバカとしか言えないですけど」
「他に言葉ないの?」
「アホですか?それとも大バカですかー?」
「レトなんて嫌いだァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
ロクは任務室から逃げるようにして帰ろうと走っていった。
だがそこで丁度任務室の扉が開いたのだ。
そこに現れたのは…。
「「あ」」
紅い髪にバンダナをし、大工のような格好で現れたあの少年。
「何・・・してんの?」
「いや、これは違うんだよ!?決してあたしが自分からやったわけでは・・・っ!!!」
ロクが必死に誤解を解こうとしていたが、
それは事実だったのだ。
サボコロは・・・ぷっと吹き出した。
「・・・え?」
「はははははははっ!!!お前、似合いすぎだっつーのっ!!」
「ちょ・・・サボコ・・・ロ・・・」
「あー悪い悪い、あまりに似合ってたから・・・」
「・・・その笑顔だよ」
「・・・え?」
「あたし、サボコロ大好きっ!!!」
「・・・へ?」
ロクはそう言ってサボコロに抱きついた。
孔雀の部品が所々サボコロに当たって痛そうな顔をしていたが。
「いってェェェェェェッ!!!」
「これからも宜しくね、サボコロ!!!」
「・・・あ・・・あぁ」
ロクの見事な変装により、サボコロは心から笑う事ができた。
さて、あの孔雀の衣装は何処から持ってきた物だったのだろうか。
まぁ、言うまでもなくあのロリコン班長であろうが。
「・・・はぁー、今日は良かった良かった!!」
「ったく・・・」
「でも・・・まだ問題があるね」
「え?」
「エンだよ。あの日以来1回も会ってないし・・・」
「俺も、あんまり一緒に任務行かないんだ」
「今度はエンだねぇー・・・。どうやって取り戻そうか」
「・・・エポール兄妹で・・・ありましょうか?」
ロクとレトの背後から、何者かの声がした。
すぐに振り向くと、そこには元霊のような、着物を着た少年が浮かんでいた。
「・・・拙者、エン殿の元霊の『光節』と申します」
「光節・・・?」
「エンの・・・次元技って事か?」
「御意。・・・貴方方の実力を見込んで、頼みたい事が御座います」
「う・・・うん」
「エン殿を・・・どうか、どうか・・・。救って下さいませんか?」
「救・・・う?」
「エンを?」
「御意」
「事情を・・・説明してくれる?」
ロクも思っていた通り、
エンは亡き姉のために無次元の扉を開いてしまった。
そのせいで死ぬかと思われたエンだったが、
ロクやレトと同様、デスニーに送り返されたのだ。
たった一言、
『また会おう』
とだけ言われて。
「・・・やっぱり・・・・」
「貴方方に・・・頼むしか・・・・」
「分かった。明日までには考えておくよ」
「忝い」
そう、サボコロが本物の笑顔を取り戻し、心を開いてくれただけでは、
ロクの問題は解決しない。
エンが失ってしまった感情を、
心の神であるフェリーが取り戻さなければならないのだった。