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Re: 最強次元師!! ( No.576 )
日時: 2010/10/27 21:11
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)
参照: 最強次元師!!等、色々と執筆中—*

第146次元 同等の力

 「く・・・っ!!」
 「どうしたどうした?それだけかぁ?レトさんよー」
 
 金属音は止む事なく響き続ける。
 レトは一旦体勢を立て直すため、偽者から離れた。

 「・・・つうかそろそろ教えてくれねぇか?」
 「何をだよ」
 「俺が、代表になれない理由だよ」

 静かなこの空間が、
 何の音もなく、世界が止まったように静まり返る。
 偽者は深い溜め息をついて、1度うな垂れ、怠けそうな顔でレトに目を向けた。
 
 「そんなの・・・自分自身がよく分かってんじゃねぇの?」
 「分かんねぇからお前に聞いてんだろ?」
 「聞けよ」
 「誰に」
 「自分の・・・心にだっ!!」
 「ッ!?」

 偽者が前方から猛スピードで向かってくる。 
 レトは辛うじて避けたが、
 偽者の攻撃が腹部に掠めた。
 
 「く・・・ぅッ!!」
 「そろそろヤバいんじゃねぇーの?」
 「何が・・・だ」
 「お前の体内」
 「・・・っ!!」
 「運命に取られてるんだろ?」
 「・・・」
 「もう、諦めちまえば?」

 偽者が、レトに冷たく言い放つ。
 レトはその傷ついた体で立ち上がる。

 「・・・諦めねぇよ」
 「今でも運命の能力に負けそうなのにか?」
 「それでも・・・俺は決めたんだよ!!」
 「そんな体で・・・何を決めたんだよ」
 「代表になって、理不尽なこの世の法則を、ひっくり返してやろうってッ!!」 
 「だーかーらー、今のお前じゃ無理なんだって」
 「・・・何を根拠にんな事言ってんだよ」
 「今の状況だよ」
 「・・・・・」
 「大事な女1人護れねぇで、大事な妹の心を更に傷つけて」
 「・・・ッ!?」
 「・・・・・—————、何が、代表なんだよ?」
 
 その台詞は、
 何処かで聞いた事のある言葉だった。


 『大事な奴1人護れねぇで、何が代表だよっ!!!』


 紛れもなく、レトの言葉だった。


 「お前、矛盾してんじゃねぇのか?」
 「ッ!?」
 「自分は護れないのに・・・人に言う権利はねぇんじゃねーの?」
 「・・・・」
 「そこが・・・お前の弱いところだっ!!!」
 
 偽者は、
 前方から姿を消した。

 (くそ・・・っ!!何処から・・・!!)


 「こっちだよ、俺の片割れ♪」

 「—————ッ!!?」

 「十字斬り—————ッ!!!」

 レトの背中に、大きな切込みを入れる偽者。

 「ぐぁぁああっ!!!」

 その衝撃は、自分が今まで元魔や次元技に与えてきたのと同じ力。
 自分が与えてきたダメージを、今正に与えられている。
 どういう気分なのだろうか?


 「お味はいかがかな?レト君」
 「・・・っ!!!」

 (弱いだなんて・・・1番考えちゃいけねぇのに・・・・・っ!!!)

 誰もを上回るエポール兄妹の力。
 その力を前にして、レトは屈する。
 自分の力と同じ力を、
 どうやったら乗り越えられるのか?
 そんな言葉がレトの頭をぐるぐるかき回し、
 心も体も、
 めちゃくちゃにしていく。